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スポンサーを探しています

みなさんお元気ですか。
スプリントコーチ の秋本真吾です。
子供たちからトップアスリートまで人の足を速くするという仕事をしています。

タイトルの言葉。
アスリートが競技を続けるためによく使う言葉です。僕もそういった時がありました。

今日は企業にスポンサーを求める場合の話をしたいと思います。

大学を卒業して競技を続けるために直面する最も大きい問題は資金面ではないでしょうか。競技によっては莫大な資金がかかるスポーツもあります。競技を続けるためのほとんどが企業に所属するという形になります。企業によって雇用形態は異なると思いますが、おそらく大きく分けてこの3つではないでしょうか。

1.社員(フルタイム勤務、会社それぞれで勤務形態が異なる)
2.契約社員(比較的自由、出社しても事務作業がメイン)
3.プロ(出社はほぼなし、競技だけに取り組める状況)

僕もそうでしたが3を狙いにいきますが、世の中、野球やサッカーバスケのようなプロスポーツ以外で3で雇用されている選手はほぼ皆無です。

なぜでしょうか?

ここでスポンサーの意味についてもう一度考えてみましょう。

スポンサー(英語: Sponsor)とは、団体、個人、スポーツのチーム、イベント、施設、番組などに対し、広告やPRを目的に金銭を支出する団体あるいは個人、すなわち広告主である。*wikipediaより

選手にとっては資金面をサポートしてくれるのでメリットしかありません。では、スポンサー側にとってのメリットとはなんでしょうか?

スポンサー側にとっては、選手が自社のロゴなどをユニフォームや帽子、靴等々身の回りの品につけてもらうことによって、TV、印刷媒体等にでるわけであり、そのことによって製品そのものの宣伝、さらにスポーツ振興に寄与していることによる健康、健全性等々と自社のイメージアップにつながります。ですので、大会で優勝するような強い選手、さらにはメディアで取り上げられやすいメジャースポーツの選手には、多くのスポンサーがついたり、高額のスポンサー料が支払われたりします。
*引用先→http://ikikatadatabase.com/archives/6099

ここで考えなければいけないのが、選手とスポンサー側の双方のメリットはなにか?ということです。

僕は大学院を修了してからも競技を続けたいと思っていました。その当時、400mハードルで日本ランキングが6位でした。まず、陸上界で実業団で雇用してくれそうな企業を探し、自ら電話やメールで問い合わせしました。身内の繋がりで大企業の社長さんにも直接営業させていただく機会もありました。結果全てダメでした。

なんでだよ?こんなに競技を続けたいという強い思いがあるのに分かってくれないんだと何度も思いました。

今考えると絶対に無理だった理由は2つです。

1.自分のことだけを考えた営業
2.スポンサー側にメリットがない

1.自分のことだけを考えた営業
→僕の当時の営業資料を見ると、自分の宣材写真と競技実績しか書いてませんでした。これで「僕の夢買ってください!」って言われても先方は「で?」って思うだけです。皆さんは陸上競技を見て何位の人を見ますか?花形の種目100mは今やスター選手が多く、応援したい選手が仮に勝てなくても注目はすると思います。ただ、初見でTVや競技場で400mハードルという種目の日本6位に目が行くことはほぼないと思います。つまり、人の目にすら止まらないんです。その選手がスポンサーをしてほしいと言われても心を動かすことはできません。僕の場合、営業先へ身内からお会いさせてもらったこともあるのでお情けで時間を作っていただいたという感じでしたが、飛び込みで営業した場合、確実になしです。

2.スポンサー側にメリットがない
→上記でも触れましたが、スポンサー側にとってのメリットは企業の売り上げが向上することや、イメージアップです。日本代表にもなれない、もしくはなっていたとしても、露出も少ない、企業の売り上げを向上できるような提案もない選手にスポンサーしようと思うでしょうか。僕はスポンサーが見つからない時に冷静にこう考えました。「自分が社長だったら自分にスポンサーするかな?」と。答えは余裕でNOでした。

そもそもスポンサー関係なく、人が就職し企業に所属した場合、与えられた時間働き、それが売り上げに繋がり、その成果が給料に反映されるわけです。

僕は、釣具のルアーメーカーの陸上部に所属していました。9時から15時まで働いて給料をもらい競技を続けていました。もしこれが、プロの雇用形態だった場合、僕がどんなに結果を出しても、釣具のルアーは売れたでしょうか?社名が入ったユニフォームを着て、日本で2位になって、全日本実業団でリレーでチームが優勝して、アジア最高記録を出しても、僕ら陸上部の活躍でルアーが売れるなんてことはありませんでした。

そもそもスポーツ選手が企業に大きな売り上げであったりイメージアップをどの程度貢献できているのでしょうか?

僕は競技を引退し、自分自身がこれまで陸上競技で培ってきた「足を速くする経験」を子供たちや多くのアスリート向けにカスタマイズしコーチングすることを仕事にしています。

よくよく考えると引退しても現役の時と自分という「商品」を売る立場は変わっていません。ただ、間違いなく今の方が自分を売る自信があります。

それは世の中にとって「必要」なものだからです。
なにより自分のやっていることの「価値」に気づけたからです。

おそらく、今後、コロナの影響で多くの会社が業績悪化を理由に解雇者を出すとすると、真っ先に売り上げに貢献できていないアスリートを切りにいくでしょう。

僕が当時の自分にアドバイスをするとしたら

1.自分の価値を分かっているか
2.自分の価値と営業先の企業理念や企業特徴に親和性はあるか
3.自分が自分にスポンサーしようと思えるか

行動は大事だけど、よく考えて。と言うでしょう。
強い想いと行動力は必ずしも報われません。

そもそも、企業にスポンサーしてもらうことが競技を継続するにはベストな手段なのでしょうか。

昔とは違い、SNSが普及している今、アスリートが新しい競技の継続の仕方に気づけるか。形にできるか。

そして、それ以上に大事なのは、プロアスリート(特に個人競技の場合)として競技成績以外で成し遂げたいことがあるかどうか。何のために競技を続けたいかではないでしょうか。

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