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ネロの81日間 ②

病気の症状が進んで来た頃、ネロは私の部屋のベッドの下に入り込みそこで1日過ごすことになりました。
私が仕事から帰って来て部屋に入ると出てくる。
しばらくベッドの上でまったりしてまた下に戻り寝る。
母や姪っ子が逢いに来ても呼びかけると出て来ずにしっぽだけ振る、そんな感じでした。
なので、夜はずっと私の部屋で2人だけの時間を過ごしました。
いっぱい思い出話もしました。
話してる途中に、この子とはお別れなんだ…と思うと悲しくなり泣きながら話しました。
仕事中も何をしてても頭がいっぱいで常にお腹の中に悲しみの渦がぐるぐると回ってる感じでした。

これでは前に進めないと思い、アニマルコミュニケーターさんにセッションを依頼したのです。

質問は5つ。
通常はその質問に順番に答えていく形で返信が返って来ますが、ネロはコンタクトを取って直ぐに話し続けてくれたそうで、あんな風に手紙のようなメッセージになったそうです。

また今現在の体の状態は伝えてくれず(その必要性を感じていないらしい)
けれど心は穏やかで、深く優しい気持ちを感じたとの事。
私のことをすっぽりと包み込むような、ネロにとってもそうすることが心地よさそうに感じられ、同時に私の優しさに包まれ、甘える安心感のようなものも感じたそうです。

私はてっきり苦しみの中で耐えているのかと思っていたので、ネロの心が穏やかである事に内心ほっとしました。

そして、何故私の部屋か出て来ないのか聞いてもらいました。

以下、コミュニケーターさんのお返事です。

一緒に過ごすこと、そのことが今のネロくんにできる最大で最善のことのようです。

ママとふたりだけの時間を過ごすために
また、ママが他の家族に気遣わずに一緒に過ごせるように、一緒にいることに集中できるようにママのお部屋にいるそうです。
ベッドの下にいるのは、隠れているというのか
ネロくんも今はママとのことだけに集中したいようで、他の家族のことはあまり意識していないようです。
姪っ子さんが会いにきても出てこないようにも感じられました。

元々ミルコさん自身が、常に自分以外のことを優先させてきたようにも感じられ、そのことをわかっているから、とっている行動のようでした。
お母様や姪っ子さんが嫌とかいうのでは全くないのです。

この答えを聞いて私は少し嬉しかったのです。
私と二人の時間がネロにとっても幸せな時間だとしたら私はなんて幸せ者なんだろう、と。
確かに母や姪っ子が部屋に来ても絶対にベッドの下からは出てきませんでした。
でも私が部屋に入るとスルスルと出てきて私の横にピッタリと引っ付いて寝るのです。

そしてマルコはマルコでネロが私と一緒にいられるように母と姪っ子の気を惹いてくれてたようです。
ネロが言っていたマルコは協力してくれていると言うのはそういう行動だったのです。

こんな2人だけの日々が7月の頭まで続きましたが、6月の後半はベッドに上がることも出来ないくらい弱り、私はベッドの下に毛布を引き出来るだけネロの姿が見える所で寝る事にしました。
ベッドの下に手を入れて眠るネロを撫でる。
たまにそのまま寝てしまい、ハッと目が覚めるとネロがじっと私を見ている…そんな事もありました。

トイレもそばに置き、お水とご飯も近くにおいてましたが、ご飯はもう食べられなくなっていて、水も飲むまでにしばらく時間がかかっていました。
口の中に腫瘍が転移してきて舌が出ないのです。
直接口を水に付けて長い時間をかけて飲んでいました。
多分命を繋げるために水だけは飲むように努力してくれてたのだと思います。
その水も口から出る血で赤く染まり始め、飲んでる途中で血で真っ赤になるので何度もお皿を変えました。

ネロは寝ていることが多くなり、ベッドの下に敷いていたマットには血があちこちに付いていました。
そして病気のなんとも言えない匂いがし始めて私の部屋はネロの匂いに包まれていました。
きっと、他の人には不快な匂いだったかもしれない。
でも私には愛おしいネロの匂いです。

その匂いが今もするんです。
仕事中、休憩中、ネロの事を考えるとこの香りが漂って来るんです。

あ、いまネロが私のことを考えてる?もしかしてそばに居る?
錯覚かな?って思ってたのですが、ある日仕事帰りに友達に家まで車で送ってもらい家の前に着いた時にこのネロの匂いが車の中に漂って来ました。
あ、ネロの匂いがする〜って言っても友達には匂わないようで、私はそのまま車を降りて玄関ドアを開けると、なんとネロがフラフラに転けそうになりながら私に向かって歩いて来てたのです。

「ねろ!」

ビックリしてネロを抱き抱えて、やっぱりネロの匂いだったんだ!
私がネロを想い、ネロが私を想うとネロは来てくれる。
それがわかるように匂いがするんだ、、
と、その時確信しました。
ネロはいつも私のそばにいる…
そう、今もそばに居てくれているのです。

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