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ニコンF2の50年とMINAMATA、アイリーンスミスさんの今

70年代に世界を震撼させたユージンスミスの写真集MINAMATA

このほどジョニーデップらの手で映画化され、映画祭でも喝采を浴びた作品MINAMATAが今国内で上映中です。

LIFE誌面を飾った世界的写真家-ユージンスミスの妻アイリーンさんは現在は京都に暮らし,環境破壊反対をテーマに活動を続けている。

朝日新聞のインタビューに答えた彼女の眼前にはフォトミック・ファインダーを載せたニコンF2の姿も。夫スミス氏が水俣取材初期に愛用した機種だ。

実は撮影機材一式は熊本で盗難に遭って紛失している。これを知ったミノルタ・カメラ(当時)は無償でカメラ機材を提供していた。映画で使われる機種も史実通りミノルタが揃えられている。

当時のモノクロ写真を拡大するとスミスさんはペンFやスクリューマウントのフジカも愛用していた様子だ(盗難前なのかは不明)

ジョニーデップが製作にも携わって、主演した映画MINAMATAは、実は熊本県水俣ではロケを行なっていない。地元には映画の公開を受けて様々な反応もあることも事実.そっとしておいて欲しいと言う声も聞こえてくる。

映画ではチッソの企業責任を追求する地元民達の奮闘とそれに対峙する見えない圧力との軋轢が描かれる。スミス氏の取材活動も波瀾万丈と言える困難を乗り越えた末のものだった事がわかる。

撮影が行われたのはセルビア・モンテネグロの田舎、インディペンデント系の限られた予算で70年代日本の暮らしぶりを再現するのは難しい仕事。瓦屋根の建物が見当たらないとか子役の日本人を集められないと言った苦労は感じられるものの、真田広之、國村隼はじめベテラン勢を配し、何とかして日本で起きていたこの事実を伝えようと言う情熱の様なものを私は感じることができた。

水俣の補償問題,公害認定は現在進行形の問題

それはアイリーンさんにとっても企業による環境破壊と闘う世界の人々にとっても同様。

50年も前のニコンF2が今でも現役ツールとして充分通用するのと同じように…

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