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3,5兆円の使い方

日産がこのほど発表した電動化プランは向こう10年で2兆円の規模。トヨタが先頃発表した1,5兆円規模の投資計画をも上回る巨額なもので、年間の売上高に比較しても決して小さくはない数字です。

9年間に電動車の比率を欧州で75%まで、国内も55%に引き上げて、7年後には全個体電池も実用化しようと言うもの。現在のeーpower搭載車が占めていのはまだ10%と言うから軽も含めた売れ筋の車種は少なくとも皆ハイブリッド化を済ませないといけない計算。セレナもノートも勿論、キャッシュ・カイやヨーロッパ向けチェリー、軽でも電動化が不可欠。当然リーフの更新版も準備しないと!な目標です。

オンライン・プレゼンテーションの終わりには気になる三台のイメージCGがお披露目されました。まだ実体の無いプランの段階でしょうけど、一台はオープンのスポーツカー.もう一台はピックアップトラック、そして定番のSUVワゴン。
いずれも北米市場で外貨を稼ぎまくった240Z、ダッツントラックの末裔にあたるもの。これらが出揃う頃なると日産は再び北米マーケットから大きな利益を手に出来るのだろうか?

そして間もなくデビューするはずの軽規格電気自動車・IMKですが、最大の焦点は販売価格の値付け、利潤をどこまで削いで普及を図れるのか?日産の本気度が試されます。

電池のコストはそう急には下げられない筈なので、製造コストを切り詰めたとしてもリーフの価格を極端に下回ることは難しいのでは?と考えるのが素人の私の勝手な見立て。もしもこの予想が外れてプリウスをも下回るような値段設定で発売されるとしたら、eos-kissデジタルが価格破壊でデジ一眼を広く普及させたのと同様に,EVの普及に大きな一石を投じることにも繋がるのですが・・・・・


同じくトヨタが先に発表した1,5兆円の巨額投資プランの方はというと、電動車の本格生産に向けて株主の不安感を払拭した上で、エンジン関連部品製造メーカーへの意思表示でもあったのかもしれません。噂に上っている全個体電池のEV登場も明言されていますが、日産と違うのは電池パワーとそれ以外の両面作戦だという事。これには水素などの燃料供給インフラの整備も要するだけにトヨタ単独の努力ではどうにもならない部分もありそうです。

水素インフラの拡充もメーカー単独では限界がある。本来ならカーボンニュートラルを呼び掛ける政府の側がもっと積極的な支援策を打ち出すべきでないだろうか?現行のEV補助金だけで普及に弾みがついているとはとても言い難い現状。電池の開発や生産は半導体や液晶の生産・開発に代わって、日本が主導権を握れるかどうかのカギを握る重要な分野になるに違いありません。生産者任せで知らん顔のままでは韓国勢に敗れた液晶テレビや携帯電話の二の舞にもなりかねない。ここはトヨタを見習って政権なり霞ヶ関の官庁なりが大胆な電池政策を打ち出せないものだろうか?

目標の数字だけを並べて、そこに至る道筋が示されないのは泡沫候補の選挙公約にも等しいと思うのですが…、はて、我々はどんな2030年のカーライフを迎える事になるのでしょうか?

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