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カオスな中にも成長を感じる1歳3ヶ月



「んっ!」

ヒナが勢いよく指さして声を上げる。
その指先にいるのは大抵、犬か電車だ。
7月7日、1歳3か月となった。


犬、ほんのり猫が非常に気になるらしく、動物系の番組で犬が映ると一目散にテレビの前へ。
街中でも散歩中の犬を見るなり反応し、しまいには犬用のペットシーツのパッケージを見るだけで反応するようになった。

先日、妻が買ってきた幼児用の雑誌に「外で見るいろんなもの」というページがあった。ダンゴ虫や花や木の写真があるなかで、ヒナは決まって犬と猫を指差す。シンエヴァの綾波レイ(仮称)のように
「これは何?犬と形状が違う」
と思っているのか、はたまたどちらも同じだと思っているのかは分からない。ただ、この2種類の生き物は彼女のなかで別枠の存在のようだ。

 

家から保育園までの道は線路沿い。電車が走ってくるとすぐにそっちを見る。いつの間にか電車が気になるようになったらしい。家ではたまに電車が走る音聞こえて、それにも「んっ!」と反応を示す。
先日、やや遠出の移動中の車内で号泣してしまった。どれだけなだめても、飲み物を与えてもダメだったのに、電車が走っている動画を見せたところ、号泣が嘘のように静かになった。30分以上飽きずに電車の動画を見続けられるのはすごいが、泣き止む動画が渋すぎる。
しばらくはこの二大巨頭がヒナのブームになりそうだ。

 

急激に意志の疎通が取れるようになった。
座ってと言われればちゃんとイスに座るし、食べたくないものがあればこれ見よがしに首を振る。
逆に気になるものがあれば、隠しても目で追い続けるし、のどが渇けば冷蔵庫を指さしたり、コップを指差したりもする。

ご飯を食べるときは手を合わせて「いただきます」、終わったときは手を合わせて「ごちそうさま」ができるようになった。
(たまーに、「ごちそうさま」をした後にも口を明けて待っていたりもするけれど)
こうして思い返してみると、食べることに関するものは、インプットのスピードが早いように思う。

 
食べるといえば、『進撃の巨人』がついに完結してしまった。
妻が読んでいたことがきっかけでアニメを見始めたけれど、圧倒的な脚本力にどハマリ。不気味なシーンが多くて、諫山先生の頭のなかはどうなっているのだろうと何度も思う。

ヒナを見ていると「小さな巨人」だと痛感することが日々あった。ぎこちない歩き方や、食べ物を口に放り込む姿はまさにヒナそのもので、それがさらに巨人の不気味さを加速させていたりもする。
能力を持つ巨人を食べることで、その巨人の記憶を伝承させる描写があったけれど、ヒナが食事に関することをグングン覚えていく様子を見ると、食べることは、記憶に直結するのだなとしみじみ思わされる。そう考えていくと食育は想像以上に大切なことなのかもしれない。進撃が教えてくれることは多い。

 

ヒナが妻と風呂に入り、頭を洗っていた時に、突然泣き出したことがあったらしい。
抱き抱えられていたけれど、急に降り立ち、端の方に移動。そのまま催してしまったそうだ。
その後はシュンとした様子で、しばらくおとなしかったという。一連の流れを見ていないので、妻に聞いた話だけれど。
シュンとしたのは、怒られると思ったからシュンとしてしまったのか、なんだか悲しくなってしまってそうなのかは分からない。どちらにしても、今までは何も考えないまま垂れ流し的に排せつしていたものが、そうじゃなくなっている。
移動したのは、人の上で“する”のは良くないということも、なんとなく理解している、ということだろうか。
知らない間に考える力がついていて、本当に驚かされる。ピンチはチャンスという名フレーズを想起するような、まさかの出来事がかえって成長を感じられる瞬間となった。
食べ物の後でこういう話をすることはなんだか申し訳ないなと感じるけれど、このカオスさこそが育児だなと常々思う。

 そして今はまた再び体調を崩している。
保育園はお休み。一日に2度も嘔吐した。それも布団の上で。
胃液のにおいが残っているような気がする部屋で、安らかに親子3人眠る。あのヌメヌメとした感触を思い出しながら、文字を綴っていく。

元気とは言えないけれど、ヒナにとって2度目の夏はもう目前に迫っている。布団はまだ乾かない。

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