売上高=単価×販売数
売上高は『単価×販売数』に分解できる。
飲食店で考えると『客単価×客数』という感じになる。
そんなのわかってるよ!
という話なんだけど、本当にわかってますか?
『客単価』と『客数』を正確に出そうとする場合、たいがいの飲食店が『客数』をベースとして『客単価』を計算していると思う。
お客様の来店数をカウントする方が確実だし簡単なので、まずはそちらを把握して、売上高を割れば『客単価』が算出できる。
ただ、飲食店の場合、正確な『客数』というのはなかなか把握しにくい。例えば、メインメニューでラーメン、サイドメニューでミニカレーとソフトドリンクを販売しているとする。
ご来店いただいたお客様が全員ラーメンをご注文いただけるのであれば、ある程度計算は出来る。ただし、1人で2杯食べるということも発生する可能性があるので、ラーメンの販売数=客数とはならない。
また、中にはミニカレーだけ、ドリンクだけのご注文でお帰りになるお客様もいる。なので、どこまでを『客数』と考えるのか。ここを事前にしっかり決めておく必要がある。
最近はPOSレジ等の発展で、メニュー別の販売数という数字も簡単に入手できるようになった。昔ながらのレジでデータ取得していない場合は、そもそも販売数がカウントできないってこともあるかも。その場合はがんばって手計算するしかない。
メニュー別販売数を月単位で集計することで『客数』を算出していく。
例えば、今月の販売数は
・ラーメン 10杯
・ラーメン大盛 20杯
・ラーメン特盛 5杯
・ミニカレー 20皿
・ソフトドリンク 10杯
だったとする。
① ラーメンの販売数=客数とすると、今月の『客数』は35となる。
② 全メニューの販売数=客数とすると、今月の『客数』は65となる。
今月の売上高が10万円だったとすると、
①の場合の『客単価』は 10÷35≒2,857円
②の場合の『客単価』は 10÷65≒1,538円
となる。だいぶ変わるよね。
フードコートにある飲食店とかだと、サイドメニューだけとかドリンクだけってご注文もあるだろうけど、普通の場合、ほとんどもお客様がメインメニューをご注文になるはず。なので、飲食店では①で考えることが多いんじゃないかな。
売上を増やす方法は、『客単価』を増やすか『客数』を増やすしかない。
その店舗の状況次第だけど、高級店ではない飲食店で1日1回転(1席あたりの客様が1日で1名ということ)しかない状況で、売上を上げたいからと商品の単価を上げた場合、どうなるだろうか?
お客様の中には『高くなった』と感じられてご来店がなくなってしまうかもしれない。私の個人的な意見だが、高級店以外の飲食店においては、まずは『客数』を増やすことを考えるべきだと思う。
『客数』はそのお店の支持率だと思う。ご近所の他店と比べても利用したいと思わせるような魅力がそのお店にあれば、自然と『客数』は増えていく。お客様に『また来たい』『今度はあの人を連れてこよう』と思ってもらえるようなサービスをすることが『客単価』より大事なことだと思う。
『客単価』を吊り上げるというか操作しようとしてもおそらく失敗すると思っている。お客様は神様ではないが馬鹿でもない。その店、その商品の価値がどのくらいであるかという判断は適切にしているはずである。
いかにも町中華という店構えの中華屋さんで1杯3,000円の素ラーメンを出したらどうなるか。どんなに高級食材で出汁を取っていても、激レアな小麦粉で製麺していても、フチがかけたどんぶりで出てきて、黄ばんだ透明のテーブルクロスがかかったガタガタする机で食べたいと思うだろうか?
例えが適切じゃないかもしれないけど、お客様にはお店に対するイメージがあって、ある程度そのイメージの範囲に入っていない価格の商品には手を出さないのだと思う。
原材料の高騰やお店のキャパシティなどの理由での値上げというのは仕方ないことだと思う。また、セット販売やご注文時のお店側からの高単価商品のご提案などでの『客単価』アップを狙うのは全く悪い戦略ではない。むしろどんどんやるべきだと思う。
ただ売上高が欲しいというだけの値上げは、お客様にも見透かされてしまい、かえって客数減少に傾いてしまう可能性が高い。
商売はやっぱり『三方よし』の気持ちが大切なんだと思う。自社が儲かるだけでなくお客様にも喜んでいただけて、世の中のためにもなる。そのためにも、まずは、お客様に喜んでもらえる商品、サービスを提供することを心がけることが大事なんだと思う。まずは『客数』
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