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8ミリフィルム

「国道飛ばさないでいてね。それだけはしないでね。」
「アイドル風に喋ってみたりしたこと馬鹿みたいだったわ。」
「奥歯であくび噛んだ日すらベタ惚れで馬鹿ロマンスに見えたのに。」
「君の愛情が欲しかった。でも間違えたんだな。」

こんなにも歌詞に共感できたのはいつぶりだろうね。
あの頃の私はこの歌詞に共感する日が来るなんて思いもせずに、軽い口から謳われる軽い言葉を信じきっていた。
あの人もわたしも馬鹿だった。
馬鹿みたいに甘い言葉で取り繕って、都合よく騙されて。
それでもわたしは君のすべてが大好きだった。
君の内面がすきだった。
君も同じ気持ちだと信じていた。信じたかった。

毎日のかわいいもだいすきも嬉しかったけどそんなことより電話しようの一言が欲しかった。
結婚しようねの言い合いもよかったけど結婚した後の話がしたかった。
たった一言のおやすみとおはようが欲しかった。
君の愛情が欲しかった。

電話できなくても、返信が遅くても、会えなくても、写真の1枚も貰えなくても、ボイスメッセージを返して貰えなくても、大好きだから愛していたから我慢できていた。
文句も言わず馬鹿みたいに忙しいの言葉を信じて物分りの良い彼女でいたつもりだった。
どこで間違えちゃったのかな。

もう終わったし、大嫌いだし、私には関係のない人だけど、国道は飛ばさないでいてね。

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