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旅のお供と言えば。

ある日のこと。
どうしても自然に触れたくて、車を走らせ、ちょいとお山の方へ。
私は、自然のあるところが大好きで。…つばめだけにね。
(笑わなかったひと、あとで職員室に来るように。

幼いころ。
普段は、なかなか家族で一緒に過ごす時間の取れない父が。
休みが取れるたびに、急に思い立ったように。
日帰りアウトドアだのお泊りキャンプへ、
連れ出してくれていたおかげかもしれません。
母は、そんな父の急なアウトドア宣言!に、
最初はご機嫌を損ねてしまうのだけど。
私たち兄妹が、歓声をあげつつ、変なダンスを踊りだすと…。
次第に笑って、何をもっていくのか?作戦会議を開いてくれるのでした。
秋川渓谷や霧降高原、中津渓谷に…地名は忘れちゃったけど、
富士山の見えるところや、温泉地の近く等々。
決してアウトドア向きではない、父のお気に入りの自家用車に、
たくさんのアウトドアグッズを詰め込んで。
後部座席の両脇を兄たちに陣取られ、少し窮屈な真ん中の座席で。
車中はまるで遠足バスの中のよう!
お歌を歌って。たくさん笑って。
時々、兄たちにお菓子を取り分けてもらいながら。
誰よりも一番、大声で歌って、笑っていたのは、父でした。
 
父にとって旅のお供と言えば、ゆでたまご、なのですが。
目的地へ向かう途中。
休憩時に、2個も3個も食べちゃうから、母に怒られたりしていて。

それが。
私が、大人になった今も!
おうちの中なのに、ゆでたまご論争を繰り広げるものだから、
もう、おかしくって。
『家の中で食べるゆでたまごも、格別なんだよなぁ!
 どこか、出かけている気分になるからな!』
アジシオを片手に。
口元についた黄身をポロポロと落としつつ、そう語る父。
そんな父の健康を気遣うがゆえに、文句をいいながら、
その手元から、ゆでたまごを遠ざける母。
二人の間に立ち、仲裁をしつつも。
あぁ、好きなモノって。
いくつになっても変わらないんだな…と思うのでした。

つづく。

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