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オブセッション感想

※ネタバレ大いにあり。9/19(月)13時公演の配信特典である対談の内容も含みます。

オブセッションは、チケットを本気で取ろうとしていたのですが、取れず・・・!こればかりは見届けたかったので迷わず配信を観ました。(2公演観た)

あらすじは公式サイトでチェックしてくれよな!

シュチュエーションはかなりシリアス。目の前にある事実は恋人を殺された者、殺してしまった者。しかし曽根崎の中に三原の恋人アイが現れることによって、二人がお互いを知る時間を得ることとなったのが今回のキーであったと思いました。

他人から悪い噂を聞くけどまだ自分は関わったことがないような人のこと、自分が関わってみるまでは勝手に決めつけないようにしようとするのが一般的だと思っているんですけど。自分が関わってみたら、たしかに性格上他人の噂を聞いてわかるところはあれど、意外とそこには信念があったり外的要因があったりして、良いところもたくさんある人だと分かる。なんてことはよくあります。


ただし今回は恋人を殺されている。噂どころか目の前にはリアルに物理的にショッキングな事実がある。その経緯は知らないにしろ。

よほどのことがないと、この関係での友情や信頼は生まれないと思うが、「よほどのこと」が起きてしまった。

シリアスな展開で本人たちは大真面目な中、コメディタッチで話が進む今作を落とし込むのはとても大変だっただろうなと思いました。アドリブの余地もそれほど無かったし。

大内さんがその中で一役買ってくれていたように思いました。最後のどシリアスに持っていくまでは最強コメディスパイスとして勢いよく飛び込んでくれる。安定感も抜群。最後は誰より牙を剥きましたが。すごい。しかし柳はまったくさ〜!あれで最後自分が撃ち殺してんですから、犯罪犯して証拠隠滅も何もないでしょうよ!?

柳への文句はさておき。笑

コメディは会場全体の空気が作る面白さもあると思うので、本当に劇場で観たかったなと・・・思います・・・悔しい!

対談で二人が話していたこと、なんとなく分かりました。役柄がどのような人物であるか、最後まで試行錯誤していたような様子でした。

騙されやすくて流されやすい三原は、もっとちゃらんぽらんかと思っていましたが、底抜けに優しいだけで、意外と芯がある。人を信じる強さがある。でもそれで損することにもなる。彼だからこそ憑依する恋人の存在を信じ、曽根崎と過ごす時間を作り出しましたね。

本田さんが迷っていたという曽根崎の役作りは、確かに言われてみれば難しい。最初、名前を呼べば彼女を憑依させることができると分かった時などの反応は、悪役に回ろうという気配を感じましたが、

わたしの中では、時々見せる寂しそうな、何か諦めたような様子がどうにも気になり、一度も悪い奴とは思えませんでした。

クズ男を演じればいいのか、クズ男だと周りに思われている人を演じればいいのか迷ったとはっきり言っていましたが、

わたしの最終的な印象としては、何かしら本人に要因があるにせよ、人に信じてもらえないことによって自分を諦めてしまった。結果、自らクズ男を演じることすらしてしまっている。そんな感じに思えました。

諦めて、どうせ信じてもらえないなら無駄な抵抗はやめよう、、自分のせいでいいや。

それを救ったのが三原であったのでしょうね。

信じてくれる三原のおかげで、自分を諦め、自虐的に振る舞うのをやめて、真っ直ぐ状況と立ち向かう力が湧いた。

そこで柳がしょーもないから撃ってしまうんですけどね!!!しょーもなー!何か曽根崎が喋ったことが引き金になってる?とか考えましたがそんなこともなさそう。人として動揺している、もう追い詰められて自分のことしか考えられない、そんな中、曽根崎が自分を信じてくれた三原に対して素直な想いを伝えようと、まっとうなことをしようとするのが見ていて耐えられなかったのかな。

あそこの照明好きでした。
柳が本性を剥き出しにし、照明をバックに壁に大きく映し出され、恐怖を煽ろうとする。

しかし信じてくれた三原のために命を張ろうとする曽根崎が柳の立ち位置に入れ替わり、今度は曽根崎の影が大きく映る。曽根崎のまっすぐな行動が柳にとっての脅威に変わる。

劇場で見たかったよ〜!!!!
他にも配信では見えなかった仕掛けがあったりするのかしら。教えてね!

そしてわりとあっけなく曽根崎は撃たれてしまうわけなのですが、ここから数分のラストが良過ぎちゃった。
演出も素晴らしかったので、あっけない寂しさ悔しさは忘れ去られ、なんなら少し救われてしまいました。
これはメリーバッドエンドってやつなんだろうか?

ここまでの共演を重ね絆を育んできた二人の役者のシンクロする動きとセリフ。言葉にするほど安い。見るに限る。

この劇場の規模感で、たった三人で繰り広げられる迫真のお芝居を生で見てもらう。
出演者にとっても、そのファンの方々にとっても、貴重で大切な作品になったのではないかな。

あっという間の期間だったでしょうが、お疲れ様でした!

本田さんが演劇の間口が広がるきっかけになれば、というようなことを言っていましたが、見事そうなったのでは。

今後もいろんな作品に出てほしい素敵な役者さんたちです。

ではではこの辺で。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

演劇最高〜!

追記:
この記事を投稿したものの、愛ちゃん含め4人の人格について考え出すと止まらないことに気付く。
人の善悪について考えさせられる。独りよがりな部分がそれぞれにあって、それが複雑に交わって今回の結末に至ったわけだけれど、全員が被害者で加害者なのではないか。これでもう一本記事書く?笑
三原がそもそも女を見抜けなかったわけだけど、と言うかあの三角関係に巻き込まれた曽根崎の最後があれってあんまりだ・・・。

演劇って面白い〜!

皆さんの感想もたくさん読みたいのでよろしくお願いします!

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