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夢は叶う。らしい。 #日々短文随筆

2021年12月8日。ZOZO創業者でスタートトゥデイ社長の前澤友作氏(46)が、日本の民間人として初のISS滞在のため、宇宙へ行った。

数日前から気にはなっていたので注目していたのだが、ふとTwitterを見ていたら「今日のこの後か。」と気づいた。

特に用事もなかったので、日本時間の午後4時から開始する前澤氏のYouTubeチャンネルのライブ配信を観ることにした。


時間通りライブが開始。画面の左上にはカウントダウン。発射までの約40分間、これまでの前澤氏の訓練についてであったり、ロケットの分離の手順であったり、いろいろと解説を聞いて「へー」「大変だなぁ」という気持ちで観ていた。

えらいもので、こんな歴史的なイベントにも関わらず、YouTubeのライブチャットは規制がかからないギリギリなワードを連呼するコメントなどで荒らされていた。

Twitterを見てみると、不謹慎ながら発射の失敗を予期するツイートなどもあった。他人、とりわけ成功者の失敗を願うのは人間の性なのだ。


そして発射の時間になった。スタジオに漂う緊張感が伝わってくる。


カウントダウンが0になり、点火。ロケットがみるみる打ち上がっていく。


配信の中で解説されていた手順でロケットが段階的に分離していく。分離する様子は取り付けられた定点カメラで捉えられ、さながら新体操選手の演技かのような無駄のない軌道に乗って地球へと落ちていく。その様子から、ロケットが重力に逆らい、まさに宇宙へと向かっているんだということが理解できた。


これはすごい映像だ!


途中一度だけ船内の前澤氏が映し出された。前澤氏は笑っていた。発射に伴い体にかかるGをもろともず、前澤氏は夢の実現を間近に、笑っていたのだ。

その笑顔を見てか、スタジオでも分離の段階を経るごとに不安と緊張が安心と興奮へと変わっていく。

ふとチャット欄に目を移せば、前述したような荒らしコメントはなくなっていた。



そしてついに、ロケットは宇宙に行った。



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前澤氏が1つの夢を叶えた瞬間だった。


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生存者バイヤスという言葉がある。

生存者バイヤス:何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、通過に失敗した人・物・事が見えなくなることである。

よく、成功した人が「夢は叶う」と言う。それは成功したから言えることであって、夢を叶える道なかばでそれを諦めた人はごまんといる。

自分も、いわゆる成功者の言うことは生存者バイヤスに過ぎないと斜に構えていたことがあった。が、今回の前澤氏の姿を見て、考えを改めた。


「生存」する人は努力をしている。

もっと言えば、「生存」する人は見えないところで人一倍の努力をしている。


成功者の言うことは結局生存者バイヤスだから参考にならない、とその人の過程をすっ飛ばし結果だけを見るのはやめよう。

そもそも前澤氏は莫大な資産があったから宇宙旅行に挑戦できている、と言う見方は、莫大な資産があると言うことを過程と置いている。莫大な資産を得ると言う結果までの過程を無視している。その努力をみようとしていない。


結局、生存者バイヤスだと斜に構える姿勢は、自分が努力をしない言い訳の1つに過ぎなかったと痛感した。


そう思った時、前澤氏の「夢は叶う」と言う言葉の重みを感じることができた。


今日のロケットの打ち上げで、月並みな表現だが、感動と勇気をもらえた。


自分も夢を叶えたい、そう思った。


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