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【スピンオフ】私立アルケミスト学園高等部 第三話 担任と校長

「ヒーローは遅れてやってくる!!」スピンオフ

私立アルケミスト学園高等部

[第三話] 担任と校長

 巻き毛で長身の男の教師は吉郎のクラスに担任の先生だった。
「私がこのクラスの担任のレカラプだ。専門科目は倫理だ。よろしくね、吉郎くん」
「ああ、はい」
(専門科目が倫理? 随分とマニアックだな)
 吉郎は指示された席に向かいつつそんな事を考える。
 ガラガラっとまた扉が開き、長身で美人の女教師が入ってきた。
「今日は朝礼ですよ。いつまで教室にいるんですか」
「校長先生、今しがた転校生が到着したので体育館に行くところでしたよ」
「レカラプ先生、余裕があるのはいいですが、のんびりしすぎるのはよろしくありませんよ。アルケミスト学園は優秀な生徒をさらに磨き上げるために設立されたんです。生徒達はいつ何時も自己の向上に努めなくてはなりません。このクラスが体育館に整列するのが遅くなって他の生徒達の貴重な時間を奪わないでくださいね」
 生徒達が廊下に整列している隙に校長は長々と話ながらレカラプにゆっくり近づいていく。
「だが、イレナクルフ。教育とは地道なものだ。生徒達を急かせば実力が身に着くというものではない」
 吉郎はちんたらしていてまだ教室にいて、レカラプが校長を名前で呼ぶのを目撃してしまった。どうやら二人はそういう関係らしい。
「何してるの、吉郎。早くしないと置いていかれるよ」
「あ、うん」
 ユキルに引っ張られて吉郎は列に並んだ。五十音順なので吉郎はユキルの後ろだった。
体育館まで列を作ってクラスごとに向かう。初日で道がわからない吉郎には好都合だった。
吉郎はレカラプ先生と校長先生の関係が気になっていたが、忘れることにした。

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この作品は連載「ヒーローは遅れてやってくる!!」のスピンオフ作品です。

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ヒーローは遅れてやってくる!!第一話

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