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【スピンオフ】私立アルケミスト学園高等部 第七話 文化祭やるぞ!!

「ヒーローは遅れてやってくる!!」スピンオフ

私立アルケミスト学園高等部

[第七話] 文化祭やるぞ!!

 今日の学園集会はいつもと違って熱気がしていた。というのも、文化祭についての告知がされるからだ。
 学園集会とは高等部と中等部の合同集会で、講堂に全校生徒が集められる規模の大きいものだ。高等部と中等部の生徒会によって仕切られる。
 檀上には各生徒会のメンバーと文化祭実行委員会が立っている。
「それでは、学園集会を始めます!」
 高等部副会長のマニサが各生徒会長に開会挨拶を促す。
「中等部の生徒会長を見るのは初めてだな。どんな子なんだろう」
「ふふ、とってもかわいいですから期待しててくださいね」
 吉郎はユキルの返事を聞いてドキドキしながら中等部の生徒会長が前に出るのを待った。
「中等部生徒会長のニコラスです。みなさんで楽しい文化祭にしましょう」
 吉郎はビックリして普通の椅子なら転げ落ちているところだった。
「あいつ、この前の!」
「どうしたんですか?」
 ユキルは吉郎が突然大きな声を出すので目を丸くしていた。
「いや、何でもない」
 吉郎の心臓のドキドキはさっきまでとは違う意味ですごかった。先日、ボクシング部のエース、イラと仲良さそうにしていた細面の金髪碧眼のニコラスが中等部の生徒会長だったのだ。
「今年の文化祭のテーマが実行委員長から知らされますよ、ほら」
 ユキルに肩を叩かれて吉郎は少し落ち着く。嫌な出会い方をした相手がものすごく有能だと知るのは心臓に悪いが、文化祭は楽しみだ。
 文化祭実行委員長として出てきた女子生徒は背が高くスタイルがいいポニーテールの女子だった。
「文化祭実行委員長のプラティマです! 今年の文化祭のテーマは“輝ける場所”です。各クラスの出し物を楽しみにしていますね!」
 ヒューヒューだの、拍手だの、誰かの雄たけびなど、様々な音が講堂中に響き渡った。プラティマは男子から人気のある女子生徒なのだろう。雄たけびが聞こえてきた方に向かって手を振っている。すると、さらに大きな雄たけびがここかしこから聞こえてくる。
 吉郎はなんだかまたドキドキしてきていた。この学校の校風はなんて心地いいんだろう。生徒一人一人が積極的に学校での活動に関わろうとしている。課題がきつくて大変な時も、イベントを楽しむ時も全力だ。
「さて、吉郎。クラスに戻りますよ」
「え、もう終わり?」
「はい。文化祭の準備はもう始まっているんです。うかうかしていられないんですよ」
 ユキルの目もメラメラと燃えていた。
「文化祭は戦場なんですよ。一番すごい出し物をやったクラスはその一年は尊敬の的なんですからね、うふふふふ」
 それを聞いて吉郎もやる気が出てきた。編入したばかりの吉郎にとってはクラスで友達を作るチャンスでもあった。
「よし! やるぞ!!」
 吉郎とユキルはクラスメイト達と並んで奮起しつつ教室へ戻った。

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ヒーローには遅れてやってくる!!第一話

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