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【スピンオフ】私立アルケミスト学園高等部 第二話 クラスメイトのユキル

「ヒーローは遅れてやってくる!!」スピンオフ

私立アルケミスト学園高等部

[第二話] クラスメイトのユキル

 ひょんなことからゼリオンが理事長を務める私立アルケミスト学園高等部に編入することになった吉郎。しかし、初日から吉郎は安定の遅刻寸前に登校していた。
「この学校までの路線めちゃくちゃ過ぎだろ! 間違えて反対方向の電車乗っちゃったしもう時間がないよ!」
 吉郎は地図を見ながら走っていたが、間違えて一本手前の交差点で曲がってしまった。
「やっべ、こっちじゃねーわ! 戻れ戻れ!」
 吉郎がUターンをして元の交差点に戻ると脇からクイニーアマンを咥えた女子生徒が飛び出してきた。
「いけなーい、遅刻! 遅刻!」
「うわっ」
 吉郎は飛び出してきた女子生徒にぶつかりそうだと思ったが全く体が反応せずそのまま女子生徒に突っ込んでいった。女子生徒はそれより一瞬前に吉郎の気配を察し吉郎を軽くよけた。吉郎はそのまま交差点の街路樹に激突した。
「大丈夫ですか?」
 女子生徒は思いきり全身を打った吉郎に声をかける。
「大丈夫だよ。それより、何で朝からそんなシャレたもの食べてんだ?」
 女子生徒はクイニーアマンをむしゃむしゃ頬張り続けながら喋る。
「オシャレの基本は内側からと決まっているからですよ」
「それって朝から砂糖とバターがいっぱい入ったお菓子を食べる女子が言う事じゃないよな」
 吉郎は言ってるそばから女子生徒がお菓子を食べ歩きしていることを除けば意外とかわいいことに気付いていた。金髪ツインテールはちょっと幼く見えるが小柄であどけない顔立ちのこの女子生徒には似合っている。それと、女子生徒の制服が私立アルケミスト学園高等部のものであることも吉郎は気付いた。
「あ、お前。アルケミスト学園の生徒か!」
「そうですよ。私はユキル。よろしくお願いしますね」
「俺、吉郎。今日から編入するんだ。よろしく」
「それでは吉郎。私達、もうかなりの割合で遅刻が確定しています」
「走ろう!」
 吉郎とユキルは全力ダッシュで学校に向かった。
 ガラガラっと教室のドアを開けると、朝のホームルームが始まる直前だった。
「君は転校生の吉郎くんだね。ユキルの隣に新しい席があるからそこに座りなさい」
 巻き毛で長身の男の教師が指示を出した。吉郎はへとへとになって席に着き、初日の学校が始まった。

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この作品は連載「ヒーローは遅れてやってくる!!」のスピンオフ作品です。

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ヒーローは遅れてやってくる!!第一話


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