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【スピンオフ】私立アルケミスト学園高等部 第四話 生徒会

「ヒーローは遅れてやってくる!!」スピンオフ

私立アルケミスト学園高等部

[第四話] 生徒会

 ものすごく学費が高いらしいアルケミスト学園の朝礼は毎週月曜日に講堂で行われる。吉郎は豪華絢爛な講堂の外観を仰ぎ見ながら中に入って行った。
 ゼリオン理事長の計らいで学費が免除になっている吉郎は場違いなところに来てしまったと内心かなりヒヤヒヤしていた。
 6月の半ばである今日は、先月行われた生徒会役員選挙で当選した会長と副会長のスピーチがメインらしい。事前に知らされていた生徒達はざわついている。
 席に座る吉郎とユキル。吉郎は椅子がフカフカでビビって声を出した。
「うっわ! フカフカだ!」
「当然ですよ。この学校は学費に物を言わせて設備を超絶豪華にしているんですから」
 ユキルの発言に吉郎は露骨に嫌な顔をする。
「何ですかその顔は。あなたもそのうち慣れますよ。ここはとてもいい学校ですからね」
 朝礼が始まり、生徒会長と副会長が壇上に上がった。
 会長は長い黒髪ストレートが印象的な女子で、副会長はボブヘアで頭が良さそうな女子だった。
会長がまず挨拶をする。
「私が今期に生徒会長に選ばれたダシャです。この学校は才能ある子供達を最高の環境で育成してくれる素晴らしい学校です。Being from Nothing. 無から有へというこの学校のモットーを胸に、時代の先駆者となる改革を推し進めていきたいと思います」
 詳しい話は副会長から、と言ってダシャ会長は副会長にマイクを譲った。
「私が今期の副会長のマニサです。早速ですが改革していきたい内容をお伝えしていこうと思います。公約にも掲げていました新しい部活の創設に取り組んでいきます。理事会との話し合いの結果、新たに10種類の部活を設けられるだけの活動費をもらえました。生徒会室の前に専用の申込書を置いておくので、部活新設希望者は部員を5人以上集めて活動内容を明確に記して提出してください。期限は1ヶ月で、申請の数に関わらず全て審査が入ります。皆さんからの素晴らしいアイデアの詰まった部活をお待ちしております。以上です」
 マニサが話し終わると、一斉に拍手が鳴り響いた。指笛を鳴らしたり大声で2人を称える声もしたりして、ものすごい賑わいだ。吉郎もなんとなく拍手に加わってみる。
「部活の新設か……」
「吉郎も何か部活を作ってみたらどう?」
「いや、俺はそもそもこの学校にどんな部活があるかも知らないから」
 この際だから面白そうな部活を探してみようかと吉郎は考えていた。すごく活発で自由な校風のこの学校は吉郎に何かワクワクさせるものを感じさせていた。ここなら自分にも熱中できるものが見つかるかもしれない。なければ自分で部活を作るという選択肢もある。吉郎に目標ができた。まずは部活に入って学校に馴染むことだ。吉郎には目の前にキラキラした希望の光が見えるようだった。

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ヒーローは遅れてやってくる!!第一話

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