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狂い火は罪の炎説【エルデンリング考察④】

エルデンリング本編のネタバレを含みます。御理解の上、お読みください。
また、過去作を元に考察を行う部分があります。
苦手な方はご注意ください。

三本指と、その狂い火

狂い火と三本指に関して考えるのだが、
まず、情報を整理する。

「王となる褪せ人よ
黄金樹の王都の下、遥か地の底に向かいなさい
そして、三本指と、その狂い火に見えるのです
狂い火を受領できれば、貴方は火種となり
もう、小娘をくべる必要はなくなります
…正しい王の道を歩むのです
混沌の王たるその道を
黄金樹を燃やし、打ち倒し
我らを別け、隔てる全てを侵し、焼き溶かしましょう
ああ、世に混沌のあらんことを!
世に混沌のあらんことを!」

ザミェルの廃墟、シャブリリ

三本指は狂い火を宿していて、
三本指に見えることで狂い火を受領できる。
狂い火を宿すと、火種と成れる。

 ローデイルの地下の底に
 我ら、狂い火の主が囚われている
 三本の指が

文書「狂い火の主について」

三本指は狂い火の主である。

放浪の民の商人の帽子
色とりどりの、小さな宝石で飾られている

かつて、大隊商として栄えた商人たちは
異教の疑いにより、一族郎党捕らえられ
地下深くに生き埋めとなった

そして彼らは、絶望の呪詛を唱え
狂い火を呼んだ

防具「放浪商人の帽子」

狂い火は生き埋めになった放浪の民の絶望の呪詛によって呼ばれた。

びっしりと指紋の刻まれた、巨石の盾
最も重い大盾のひとつ

それは古い神の墓の一部であり
指読み無き指が、その言葉を刻んだ跡だという
それは、狂いのはじまりであったろうか

盾「指紋石の盾」

三本指は伝えるべき言葉を持ちながら、指読みがいないために狂った

以上の情報から、
三本指は、指読みがいないことが原因で狂い、
そこに生き埋めにされた放浪の民の呪詛で呼ばれた狂い火が宿り、
狂い火の主となった。

のだと推測される。

狂い火、怨嗟の鬼、罪の炎

さて、狂い火絶望の呪詛を唱えることで呼ばれたらしいが、
フロムソフトウェアの過去作、隻狼にも同じような存在が登場する。

隻狼の裏ボスだが、筆者の体感としてはラストボスの方が強かったと思う

裏ボス「怨嗟の鬼」である。
怨嗟の鬼は、仏師たる猩々の変わり果てた姿である。
人を斬り続けた猩々は修羅となって、一身に怨嗟を引き受け続けた。
物語終盤、内府と葦名との間で引き起こった惨い戦によって生じた怨嗟は、遂に猩々を蝕み、彼は燃え盛る鬼と化したのだ。

方や一族郎党地下封印の生き埋め
方や惨たらしい戦乱と原因に差こそあれ、
恨みつらみ、怨嗟や絶望の声が「火」を呼んだことは同じである。

詳細は省くが、怨嗟の鬼は腕の異常な形状から同じように異形の腕を持つ
ダークソウル1のマヌスとの繋がりを考察されている。
彼らは共に人々の怨嗟=暗い魂、人間性を背負って居ることから、それが彼らの異形の原因であるという説である。

また、ダークソウル3のエリア「罪の都」の大釜に燃え盛る炎「罪の炎」は、その前に控えるエリア「イルシールの地下牢」と
ダークソウル1の深淵に沈んだ都市「ウーラシール」との類似性から、
ウーラシール最深部に存在する「深淵の穴」に数多く漂っていた
人間性由来の炎だという説がある。

過去作考察(+見聞きした説)なのでざっくりまとめると、
人間性が降り積もることで人は異形になる。
人々の怨嗟=暗い魂、人間性は降り積もることで炎と化すことがある。
それが重なると、人は炎を宿した異形と化す。

狂い火は、放浪の民の商人が絶望の呪詛を唱えることで呼ばれたとされる。
その炎が生じた所以は怨嗟の鬼のものと似通っている。
狂い火とは積もり重なった人間性を元とする炎ではないだろうか。

狂い火は祝福を宿さぬ者の声が呼んだ

かつては大商隊として栄えた放浪の民の商人の成れ果て

狂い火とは積もり重なった人間性を元とする炎と考えると、
放浪商人たちが狂い火を呼べた理由も説明がつく。

狂い火を呼んだ放浪商人たちは古くから祝福と縁がなかったことが、
エレの教会の放浪商人カーレによって語られている。
「古くから」と言っているので、褪せ人と同じタイミングで祝福を失ったということではないだろう。

また、前回記事「祝福について」祝福の光を眼に宿した者は
闇たる人間性が損なわれているのではないかという考察を行った。

彼らが人間性を元とする炎である狂い火を呼べた理由は、
祝福と縁がなかったが故に人間性が損なわれなかったからであろう。

また、三本指が二本指のように大いなる意志の遣いのままなら、
大いなる意志ごと全てを焼き尽くそうとする
狂い火を宿すとは考えにくいので、
三本指が狂い火を宿せたのは、
彼の傍に指読みがなく狂ってしまったために、
大いなる意志から見棄てられていたからではないだろうか。

「発狂」は、人間性が燃えて損なわれることだ

祈祷「狂い火」

狂い火が人間性の炎だと考えれば発狂とは何かの説明がつく。
狂い火によって自身の人間性が燃えて損なわれること、
これが発狂である。

ダークソウル1で、人間性が不死人の正気の拠り所だったことを思えば、
ある意味当然の帰着だとも思える。

狂える三本指に由来する祈祷は、使用時に使用者にも発狂が蓄積する
これは、人を呪わば穴二つのようなことではなく、
祈祷の使用者自身の人間性を燃やして狂い火へと変えることで、
瞳から黄色い狂い火を迸らせるからだろう。

そう考えると、発狂が(設定上)褪せ人にしか効かないことも説明できる。
(実際に検証すると、褪せ人でないNPCやエネミーも発狂するらしいが、
この記事ではテキストに書かれている内容を重視する)

狂い火は人間性由来の炎なので、
人間性を抱えている=祝福無き褪せ人にしか作用しないのだろう。

世に混沌のあらんことを

以上の考察で一切合切無視して来た事がある。
狂い火の病の起源ことシャブリリである。

人間性を元とする炎が狂い火であるならば、
それが病として感染することで宿るとはどういうことなのか。

発狂は褪せ人にしか効果がないが、
元は狭間の兵士たちであったと思しき者共も瞳に狂い火を宿して襲ってくる狂い火の病には感染することで瞳に宿した祝福をかき消すほどの強い効果があるのだろう。

狂い火の病とは祝福を宿した人の祝福を消し去り強制的に狂い火を宿させるものではないだろうか。

そう考えれば、祝福を失った者が穢れや忌まれる世界で、
祝福を宿した者からそれを失わせるという病の元凶のシャブリリが
歴史上最も憎悪された男であるのも、説明できるのではないだろうか。

ただ、シャブリリに関しては正直な所情報が足りていないため、
いくつか解決できない疑問点もあるので、
DLCで情報が増えることを期待したいと思う。

  • 何故死者の身体を乗っ取れるのか

  • 放浪商人が呼んだ狂い火と狂い火の病の起源たるシャブリリの関係とは

  • 彼の讒言とは何か

  • 同様に目を潰された茨の魔術師との関係はあるのか……


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