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祝福について【エルデンリング考察③】

エルデンリング本編のネタバレを含みます。御理解の上、お読みください。

「祝福」が指すものは2種類ある

かつて狭間の地で
人々の瞳に宿ったという祝福
その黄金の残滓

使用により多くのルーンを得る

褪せ人とは祝福を瞳に宿さぬ
あるいは、宿したそれを失った人々である

道具「狭間の地のルーン」

…この小さな金の灯は、黄金樹の祝福
それは貴方たち褪せ人が、かつてその瞳から失くしたもの
そして今は、貴方たちを導くもの。そう、聞いている
貴方には、見えているのでしょう?
祝福の導き、使命を指し示す光の筋が

いずれかの祝福、メリナ

ゲーム内で語られる祝福には、2種類ある
狭間に居る者が瞳に宿す「祝福」(以降も祝福と呼称)と、
プレイヤーが休息地点として活用する篝火的な存在の「祝福」である。

この2つを区別するために、瞳に宿す「祝福」を以降も「祝福」と呼び、
篝火的な存在の「祝福」は以降「導きの祝福」と呼ぶこととする。

祝福無き褪せ人よ

また、プレイヤーたる褪せ人に与えられたものはかつて失った瞳の「祝福」そのものではなく、篝火的な祝福とそこから伸びる導きである。
褪せ人の眼の色はキャラメイクで自由にできること、ケネス・ハイトに褪せた瞳と見なされること、殆どの紹介映像で褪せ人に「祝福の導き」がもたらされると語られていることが、それを裏付ける。

そして、かつて瞳から黄金の祝福を失い
狭間の地を追われた褪せ人たちの元に
祝福の導きがもたらされる

エルデンリング公式サイト、プロローグより引用

…そして、失われた祝福はまた、もたらされる
まだ名も無き、褪せ人の元に
霧の彼方に向かい、狭間の地に至り
エルデンリングに見えよ

ゲーム開始時のナレーション

その割にオープニングで思いっきり「失われた祝福」がもたらされたと語られているが、この祝福は「導きの祝福」である。
その証拠に、オープニングの褪せ人を描いた絵には何れも、小さな導きの祝福が描かれている。

オープニングの一場面
エルデンリングが描かれた祈祷書も気になるところ

人々の瞳に宿ったという祝福の効果

結論から言えば、祝福とは人を人たらしめるモノだと考える。
以降その根拠となる事象を列挙する。

  • 人は五本指で、鳥は四本指である

指が四本ある鳥の脚
アイテム製作に用いる素材のひとつ

狭間の地では、三つ指は不吉の象徴である
だからこそ、四つ指の鳥脚は
強運を示す贈りものなのだ

アイテム制作素材「四指の鳥脚」
  • 五本指は、獣たちに贈られた知性の象徴であるという

かつて獣たちに贈られた知性
その象徴たる、五指が象られている

武器「チンクエディア」
  • 祝福無き忌み子には、角や尾が生えてくる

忌み鬼マルギット

祝福なき忌み子として生まれ落ちてなお
モーゴットは、黄金樹の守人であろうとした
愛されたから、愛したのではない
彼はただ愛したのだ

道具「忌み王の追憶」
  • 亜人たちは獣と人の間の子のような見た目をしていて、その瞳は赤く光る瞳が赤く光ることから、亜人は祝福されていないと推測される。

迫真の亜人くん
  • 亜人の知性は低く、卑しき者である

小柄だが凶暴な、亜人たちの霊体
かろうじての知性はあるようだが
夜の闇に興奮し、戦に猛る習性がある

亜人団の遺灰

王笏の装飾が施された輝石杖
かつて、亜人たちを懐柔するために贈られた品であり
知力が低い者でも、使うことができる

学院では、馬鹿者がこれを嘲笑する

亜人女王の杖

やることは沢山ある。まずは亜人たちと、交わりを再開せねばな
…お主、信じられぬといった顔だな
だが、黄金樹の元では、あのような亜人とて、交わる隣人となり得るのだ
正しき秩序は、卑しき者たちを見捨てぬのだからな

霧の森の外れ、ケネス・ハイト
  • 混種たちは、「穢れ者」で、生物の諸相が混じり合った身体を持つ

翼の諸相を持ち、飛びながら弓を射る霊体
混種は、坩堝に触れた罰の存在であるとされ
生まれながらの奴隷、穢れ者である

翼の混種の遺灰
  • 人造生命体である写し身の雫は何にでも変化できる

みんな大好き写し身の雫の遺灰
様々な考察で〇〇=☓☓説の根拠としても愛用されている
  • (アルバスやラティナなどの歩けないしろがねを第一世代だと仮定して)
    歩行可能に進化したしろがね人第二世代は第一世代に比べ、人らしからざる姿をしている

みんな大好き……とは言えないしろがね人の遺灰
だが、こと考察では〇〇=しろがね人説を多数見かけるので、愛されていると思う
  • 黄金樹へ弓引く冒涜のライカードは人の姿を捨てた

神喰らいの大蛇こと冒涜のライカード

永遠に生き、喰らい、成長し続ける
そのために、ライカードは大蛇となった

道具「冒涜の君主の追憶」
  • ライカードが率いる火山館では異形の子らが生み出されていたこと

「呪われたこの身」から自由になりたいと頼むラーヤことゾラーヤス
  • 祝福を宿した者は、エルデンリングが砕けて正気を失った

…俺たち放浪の民は、昔から黄金の祝福とは無縁でな
そのせいで定住も許されず、貧しい旅を強いられていたわけだが
だからこそ、エルデンリングが砕けた今も、
何とかまともでいられるのかもな

エレの教会、放浪商人カーレ

頭冠を布で留めたもの
狭間の地の、あり触れた市民の装束

だが、まともな市民など
もうどこにもいない

防具「市民の頭冠」

祝福を失って尚狭間の地に有り続けた者の多くが人の姿を外れていること、冒涜を目指す火山館で異形の子らが生み出されていたことなどを元に、
黄金樹の祝福とは人を人の姿たらしめるモノだと推測する。
また、知性を増強し、獣性を抑え、理性をもたらす効果があり、
エルデンリングによってもたらされていたのだろう。

逆説的に考えれば、
祝福なしに人は人で有り続けられず、亜人や忌み子と化してしまう。
それは、狭間の世界の人が元々は獣で、
大いなる意志から贈られた知性によって人へと進化したからではないか。
知ってるかい?人は皆、獣なんだぜ…

竜餐を為した者は、いつか人ではなくなる

参考画像を用意しようとしたが、狂い火の方が優先されるらしい

竜餐を行うと眼が赤くなるが、
黄金の光を眼に宿す祝福が失われることを表現しているのではないか。
そう考えると、祝福とは人を人の姿たらしめるという仮説と合わせて、
竜餐を行い祝福を失った者の果てが土竜=人ならざる姿であることが説明できる。

竜餐を為した者は、いつか人ではなくなる
地を這う土竜は、その哀れな結末である

祈祷「溶岩ブレス」

「祝福」とは「火の封」だ

以降、過去作を元に考察を行う部分があります。
苦手な方はご注意ください。

前項で黄金樹の祝福とは人を人の姿たらしめるモノだと考察した。
だが、ダークソウルシリーズなどの旧作では
人らしさ=人間性によって人の形を外れた者が数多く登場した。

だとすれば、黄金樹に照らされ祝福を受けている狭間の地の住民は、
黄金所の祝福によって人の姿に固定されているのだと考えられる。
それは、過去作でダークリングに施された火の封と同じものであり、
神の枷と呼ばれたモノと同じ効果を施しているのではないか。
狭間を照らす光によって、人の本質たる闇=人間性が損なわれているのは、直感的にも筋が通る考えだと思う。

また、ダークソウル3で火の封へ抗う者は眼を覆うが、

輪の騎士たちの、歪んだ黒い防具
古い人の防具は、深淵によって鍛えられ
僅かにだが生を帯びる

そしてそれ故に、持ち主たちと同様に
神々に火の封を施されたという

彼らは、深淵に浸された黒布を被り
またその目を幾重にも覆う
火の封がすべての
見えざるものをかき消さぬよう
それは、神々への小さな抵抗である

ダークソウル3 防具「輪の騎士シリーズ」

同様にエルデンリングでも
祝福をもたらす黄金樹、大いなる意志へ抗う者は眼を隠す。

自身の眼を溶かす狂い火の信徒
仮面で顔を隠した火山館の女主人タニス
大逆に逆らう者の装束である鏡兜

他にも、白い面で顔を隠したヴァレーや、永遠の都の夜巫女など、
顔を隠している者は多数確認できる

これはBloodborneで上位者にならんとする者が瞳を求めたことと対照的だが、その話はまたいつか。

では、祝福なき者、人間性を持つ者は、
エルデンリングの世界で何を行ったのか……
考察④狂い火は罪の炎説へ続きます。

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