言葉の姿をした味方たち

⭐︎登場人物⭐︎
「マオ」
社会人。凹んでいたけど回復中。
『魔王』
マオのイマジナリーフレンド。この前買った黒曜石に消されかけたけど和解したらしい。強い。


仕事で大きな失敗をして振り出しに戻った。
めちゃくちゃ凹んだ。
異動後のこの約半年間の努力はなんだったのか。
なんでまた同じミスを繰り返しちゃうんだ。
悔しい!
こんなに働きやすい環境を与えられているのに、また周りに多大な迷惑をかけている。
最悪だ!
次同じミスしたらクビって言われたけどもうこっちからやめた方がいいかな、でも逃げたくない、せっかくの成長機会を逃したくもない。
成長?
この半年で成長できなかった結果がコレじゃないか!なにをほざいてやがる役立たずめ!
結局根本が治ってないじゃないか!

.....と、いう感じでもう頭の中グチャグチャ。
『一旦鎮まれ。深呼吸しろ。』
悔しくてずっと涙が止まらない。
自分が悪いのに泣くなんて卑怯だな。
『誰もお前の感情を制限はしないしする筋合いもないよ。人前ならともかくここはお前の部屋だ、吐き出しな。』
「ありがと。」
気持ちを落ち着かせて、失敗の原因と対策を整理する。ここを間違えるとまた適応障害になりそう。自分の素直な気持ちも分析して慎重にやろう。

こんなふうに落ち込んでいる時、不思議なことに偶然流れてきたリール動画や小説などに励まされるような言葉をよく見かけるようになる。
今回は沈んだ気持ちで夜勤へ向かう途中に読んでいた小説のこの一文に救われた。

そうか。振り出しに戻ることは、ちっとも悪いことではないのだ。
むしろ、いいことなんじゃないかと思う。

それでも世界は回っている3 :吉田篤弘  より


『それって俯いて歩いているときに見つける菫みたいだよな。もしくは砂浜に埋もれる遠い国から来たガラスとか。』
「防衛本能が働いているんだよきっと。
人間の味方はあまり思い当たらないけれど、言葉の姿をした味方はたくさんいるね。」
『お前は自分の内側にもたくさん味方がいるからな。安心しろ、いつでも我らを頼るがいい。一緒にまた歩んで行こう。ゲーテも言ってるぞ、“なんでも希望を持つということは、それだけで立派な行いです“ってさ。』
「魔王が人間の心の強さを信じているのってゲーテの影響もあるの?元ネタの作者でしょ。」
『そうかな。お前の強さを知っているからだと思うよ。』
「きゃー❣️」


いつか、
私の言葉が誰かの味方になれるといいな。

【おしまい】

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