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ショートストーリー「戸口君へ青山です」

健一は、1人で職員室に向かっていた。担任の先生に呼ばれてしまったのである。しかし何か悪いことをした覚えはない。

職員室のドアをノックして扉を開く。       「失礼します。1年○組の青山です。大石先生はいますか?」

先生は奥の方で、パソコンを触っていた。しかし、健一に気づくと「おぅ、青山!」と言いながら立ち上がった。

先生は廊下まで出てきて、                            「急に呼んで悪かったな、戸口の事で話があるんだ。」と言った。健一は、怒られる訳ではなさそうなので、少し安心した。だが、戸口についてはよく知らなかった。

健一は、戸口のことを見たことがなかった。小学校の低学年の頃は、学校に来ていたらしいが、5年生頃からは不登校になっているようだった。健一の中学校は、2つの小学校の人が集まっている。しかし、健一と戸口は違う小学校だった。

だから、先生から戸口の名前が出たときは、誰のことか分からなかった。

「そうか青山は違う小学校だったな。実は戸口に手紙を書いてもらいたいんだ。」健一は嫌な予感がした。

「僕がですか?」

「そうだ。学級委員として、みんなの代表で書いてもらいたい。」健一は面倒だと思ったが、口には出さなかった。自分で学級委員に立候補したのだ、それくらいのことはしないといけないことは、よく分かっていた。

「やってくれるな、それじゃあ明後日までに書いてきてくれ。」

そう言って紙を健一に渡すと、職員室に入っていってしまった。

健一は誰もいない道を1人で歩きながら、手紙の内容をずっと考えた。しかし、何も思い付かなかった。

次の日、学校から帰った健一は、すぐに手紙を書き始めた。これから遊ぶ約束をしている、面倒な事は早く終わらせたかったのだ。

戸口君へ                                                                 こんにちは。同じクラスの青山と言います。普段はどんなことをしているのですか?みんなは戸口君に会いたがっています。また学校に来てくれると嬉しいです。普段は何をしているのですか?お返事待ってます。         1年○組 青山健一より

10分もあれば書けてしまった。返事は来ないだろうと健一は思っていた。

次の日に先生に書いた手紙を先生に渡した。それからは、手紙のことなど忘れてしまっていた。しかし1週間後に、また先生に呼ばれた。

先生は、「戸口から手紙を預かった。青山以外には見せないで欲しい、と言われたから先生は見てない。」と健一に封筒を渡した。封筒には、「青山君へ」と綺麗な字で書かれていた。

健一は家に帰ると、封筒を開けて手紙を読んだ。

青山君へ                                                                 戸口です。この前はお手紙ありがとうございました。初めてもらったお手紙なので、とても嬉しかったです。また今度、出来れば学校に行きたいと思います。                    

手紙に書かれているのはそれだけだった。返事を書くか迷ったが、止めておくことにした。

それから、健一に手紙が届くことはなかった。健一もすぐにこの事を忘れてしまった。

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戸口は、今日も8時に起きた。朝ごはんを食べて、誰かが迎えに来てくれないか、待っていた。しかし、いつものように今日も誰も来なかった。戸口も誰も来てくれないことは、分かっていた。

それからは、いつものように時間を過ごした。夕食を食べている頃に、急にインターホンが鳴った。

扉を開くと学校の先生がいた。先生が来るのは久しぶりである。

「戸口、元気にしてたか?今日は手紙を持ってきた。無理をせずに、出来たら学校に来てくれよ。」と言って、宿題と封筒を渡して帰ってしまった。

手紙が来るのは初めてである。封筒には、「戸口君へ」と書かれていた。

急いで開けてみると、青山という子からの手紙だった。初めて手紙をもらったので、とても嬉しかった。

急いで返事を書こうとしたが、戸口は手紙を書いたことなどなかったので、数行しか書けなかった。

1週間後に、また先生が来た。戸口はずっと机に入れていた手紙を渡した。その日も先生はすぐに帰ってしまったが、戸口には手紙のことしか頭になかった。

それからどれだけ待っても、返事は来なかった。

明日こそは、返事が来ると願って昨日も布団に入った。しかし今日も返事は返ってこなかった。

おわり

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こんにちは。男子中学生の3maru14です。

初めてショートストーリーを書いてみました。どうでしたか?

ストーリーの考案に10分、文章をかくのに1時間程かかりました。

正直、ストーリーをもっと丁寧に考えておけば良かったと思います。実は、青山君と戸口君の手紙のやり取りが、続くことも考えました、、、、、

最初の方は、結構細かく書いたつもりなのですが、途中からは走ってしまいました。やはり、ショートストーリーなのであまり長くは書けないので。

読み返してみると全く面白くありませんね。もっと、練習していつか同じストーリーで、リベンジしたいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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