どう変わった?払済保険へ変更した場合の法人税務[2022.8月号]
こんにちは。
法人オーナーの皆様はご契約の解約返戻金のある生命保険
場合によっては、払済保険という保険に変更が可能であるという事を聞いたことはありますか?
そもそも払済保険とは?
解約返戻金のある保険商品である事を前提に
毎月(毎年)の保険料の以後の払い込みを止めて、以降の保障を継続する方法の一つです。多くの場合、払済前の契約より払済後は保障金額は下がりますが、保険料の支払いをストップ出来るという事が最大の特徴です。
払済保険は、なぜ解約返戻金のある保険でないと出来ないのか?
ここで、なぜ解約返戻金のある保険商品である事が前提になっているかというと、払済保険は変更時点で「今の解約返戻金を元手に残りの保険期間を買った時に幾らの保険になるか」という考え方の上に成り立つ制度になります。
つまり、払済保険に切り替え後は
元手になる解約返戻金を徐々に使いながら残りの期間の保険契約を継続していくという訳です。
その為、保険料の支払いはストップになりますが、解約返戻金の推移もストップする訳ではないのでご注意下さい。
払済保険と法人契約の生命保険
上記の様な特徴をもつ払済保険についてですが
個人契約の生命保険に比べ、法人契約の生命保険では企業の目線に立った際に、払済保険に切り替えて保障を継続するにしても採択しにくい要因があります。
それが定期保険を払済保険に切り替えた際に原則、必要な洗替処理です。
法人が払済保険への切替時に原則必要な税務
洗替処理についての考え方
例えば、法人では定期保険を払済保険に切替を行った際には
払済保険への変更時の解約返戻金を
帳簿上、一度法人が受け取ったものとして払済保険を一時払いで購入したものとする必要があります。
これに伴い、変更時迄の資産計上額と解約返戻金の差額を益金計上しなくてはならない経理処理を洗替処理といいます。
ざっくりお伝えすると
払済保険に切替。
しかし、生命保険を解約した訳ではないので、キャッシュが法人に入ってくる訳ではありません。
実際に法人に現金が入ってくる訳ではないが、解約返戻金の全額または一部を利益計上しなくてはならない。
利益部分は、法人税の課税対象になります。
現金が実際には動いていないのに帳簿上は経理処理をしなくてはならないとなると、法人の資金管理をする上で扱いにくい部分も多いというわけです。
しかし、この洗替処理について
2019年の法人契約の生命保険の税制改正以降、一部変更点がありました。
2019年の税制改正以降の払済保険の税務取扱
国税庁通達より抜粋
払済保険へ変更した場合の内容を要約
対象は養老保険・終身保険・定期保険・第三分野保険及び年金保険
特約が付加されていない事が条件です
尚且つ、変更後も同種類の保険である事が条件です。
上の全てを満たしていれば、洗替処理の取扱を適用しなくてもいい。
といった形に今迄は原則必要であった払済保険の経理処理に一部例外的な取扱がされる事となりました。
改正以降の法人で払済保険へ変更する場合の注意点
一部例外的な取扱が設定されたとはいえ
を満たしていない限り、法人で払済保険へ変更する場合には、やはり原則は洗替処理が必要になってきますので、この点は注意が必要です。
これらの点はご加入の生命保険契約における実際の取扱を確認しましょう。
洗替処理を適用しない払済保険と経営リスク
しかし、一部例外的な取扱に該当する払済保険への変更によって
保険料の負担を無くしたいが、保険を解約すると保障が無くなる事に対して、保障も解約返戻金も残す事が出来る
払込をストップした費用分、別の保険に加入することで、必要な保障をさらに手厚く準備する事も考慮できる
何より法人の会計帳簿上の資金管理が容易である
といった事も視野にいれて生命保険と付き合う事が出来ると考えられます。
今回の払済保険についてのまとめ
払済保険と上手に付き合う事で、企業にとって必要な経営リスクへの備えに幅を持たせる事が出来る可能性があるかもしれませんね。
生命保険は契約後の在り方についても様々な手段がありますが、今回はその中の一つ払済保険に関する税務のお話でした。
ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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