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SPOILMAN 2ndアルバム「SOLID GREEN」リリース記念インタビュー(2021)

2020年の1stアルバム『BODY』を聴いて、いまこの日本でSPOILMANが売れる要素なんて無いだろって思ってしまい「売れそうにない」というコメントをしてしまったらめちゃくちゃ売れてしまいその年のディストロのベストセラーの1枚(4位)となってしまった。そして彼らは早くも2021年に2ndアルバムを完成させる。2ndアルバム『SOLID GREEN』は果たしてどんなアルバムなのか?

(過去2020年のインタビュー はこちら)

「かっこいいと思ってやってますけど、かっこいいのをバカにしている感もある」

Q: まずはアルバムに先行して公開された「Flock Of Seagulls」のMVなんですが、映っているのはお二人ですか?

タナベ(Dr) : そうです。あれってきつね?ねずみ??

カシマ(Gt&Vo): わかんない。

Q: もしかしてMVの意味ない感じなんですか?

カシマ: 意味ないですね。あれを、やりたかっただけです。作品にしたいというよりは、現場でアレをやったらめちゃ楽しいだろうなっていうことをやっただけです。

(撮影はアルバムレコーディング終了後のセットが残るスタジオで行われている。)

Q: この猫的なものは、SPOILMANの公式キャラクターとは宣言していないと思いますが、結構象徴的な存在になってきてますよね。

カシマ: なってきちゃいましたね。いつの間に。

Q: せっかく可愛いキャラだったのに、あのMVが全てぶっ壊していったっていう。キモくなっちゃったっていう。

カシマ: 俺ららしくていいと思います。

Q: SPOILMANの音楽自体は、真面目でしょ?

カシマ: そうですね。ふざけてはいますけどね。いろんな人に聞かれますけど、「Amaryllis」出した時に、L・O・V・Eってなんで言ったんですか?とか、今回の「Flock Of Seagulls」もNHKって...なんでって言われると難しいんですけど、ただ真剣にああいう暗い音楽でなんとなく連想するのってどん底、とか、誰々を殺すとか怒りの曲調じゃないですか。それをそのままやることが、カッコイイって思えないんですよ。自分自身が。

そうじゃなくて、ああいうミスマッチなもので、というか。でもそれって一歩間違えると、ギャグなんですけど。だから、ギャグと真剣が表裏一体っていうか。そこに境がないっていうか。曖昧なんですよね、すごく。説明できないんですよ。かっこいいと思ってやってますけど、かっこいいのをバカにしている感もあるというか。混ざり合ってどれくらいの割合かっていうのは自分でちょっと説明できないんですけど...。

タナベ:  結構そういうところがいいとは思ってるよ。

カシマ: ありがとうございます!

一番楽しい方法を選んでただけ

Q: 前回のインタビューで話してた「しばり」みたいなのってどうなったんですか? 1000円以下でしかライブしねぇって言ってたような気がするんですが。

カシマ: それなくしちゃいましたね。コロナで...。

タナベ: そうだね。

カシマ: なので、ぜんぜん、どこでもやります。

Q: その「しばり」自体はそんな大切じゃなかったってことですか?

カシマ: いや、コロナが来る前までは、すごい自分にとっては大事だったんですけど。要するに、なんで大事だったかっていうとライブハウスが健全に動けてて、いつも通りやれてて、...いろいろ、健全に動いてたらこそ、俺らがやるスタイルも楽しいものだったんですけど。

でも、コロナになって、ライブハウスが潰れちゃうとか。楽しくないじゃないですか、そんなものは。その楽しくないところで、自分らが意地っていうか決めたものを守る必要がなくなったっていうか。ライブハウスはライブハウスで幸せにやれてる状況で俺らが楽しくやるから楽しかったんだって。

もともとライブハウス、アンチだったわけじゃないですから。一番楽しい方法を選んでただけで。そうじゃなくなったら、それを条件にする必要がなくなったっていう。

むしろ、スタジオライブでやるにあたってソーシャルディスタンスっていう枠があって。その中で、じゃあチケ代1000円で、スタジオライブで、お客さん10人まででってやってったら自分らではもうライブもできなくなっちゃうなとは思ったんで。もう、ライブハウスの協力を得るしかない。それはもう、時代ですね。

Q: なるほど。まあ別になにか変えても変わったわけじゃないなさそうですよね。

カシマ: まあ別に何も変わんないよね。

タナベ: うん。

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Q : 1stアルバム、うちでは結構売れたんですよ。

タナベ: ありがとうございます、本当に。

Q : 2020年の取り扱った商品で、第4位か5位くらいに入ってたんすよ。なんか体感して変化したことってありますか?周りの反応がちょっと変化したとか。

タナベ: どうでしょうね...特にないですけど、共演する人たちでも、SPOILMANのことを知ってくれてる人たちが、Twitterでいろいろ見てました、とかそういうふうに反応をいただけるようになったのは、あぁ、ちゃんと自分たちの活動に対して、見てる人は見てくれてるんだなって。その実感は沸きましたね。

Q : それ結構すごいですよね。結構な変化じゃないですか?

タナベ:  結構な変化だと思います。ポッと出一年のバンドが、まさかこんなに。共演する人たちの中っていう枠であれど、ちゃんとうちらのこと知ってくれてるっていうのは、すごい大きいことだなと思いましたね。

Q : カシマさんは、なにも変わってないって言ってましたが。

タナベ:  変わったっていうか、自分たちがやってる活動に対して、音源出して、共演する界隈とか、うちらが知らないバンドとかでも(SPOILMANを)ちゃんと知ってくれてるっていう反応があるのはでかいんじゃないかなと思うよ。細々としてるかもしれないけど、大きな反応があるんじゃないかなって思いますけね。

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「敷かれてきたレールから、とにかく外れることだけを目的とした音楽だったら、やる必要はない」

Q : 歌詞の話で...バンド内で、この曲はこういうことを歌ってんだよって共有ってするんですか?

カシマ&タナベ: 一切しないですね。

タナベ: この前初めて教えてもらって。できたのはもう、結構前なんですけど。ずっとNHKって言ってんのかな?って思ってたんですけど、この前ライブ終わった後に「あれってNHKって聞こえるんだけど違うよね?」って聞いたら「NHKだよ」って。やっぱそうだったんだって。って思って、掘り下げていったら、まさかの村上春樹で。1Q84だっけ。

カシマ: 1Q84。

タナベ: そんな、ちゃんと土台がある歌詞をあそこに持ってきているのが衝撃でしたね。

Q : でも、捉え方によってはポリティカルになりますからね。知ってます?NHKをぶっ壊すって。

カシマ: 知ってます。そういうのに触れたりしたら、面白いね。ビデオ削除されたりしたらめっちゃおもしろいよね。

タナベ:  たしかに。

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村上春樹の1Q84の劇中にて、ある登場人物の父親がNHKの集金員の仕事をしていたエピソードがある。1Q84は当然ジョージ・オーウェル 『1984年』をリファレンスにしているが、ジョージ・オーウェルが描いたディストピアは"ビッグブラザー"=大いなる権力者による支配、それに対して村上春樹は描いたのは"リトルピープル"=小さき人々、つまりポピュリズムが作り上げてしまう現代の世相をいち早く描き出していたと言える。(3LA解釈)

Q : 今回って、Jesus Lizardってあんまりキーワードじゃなかったりします?

カシマ: いや、ずーっと、俺はJesus Lizardをパクリ続けてるつもりなんですけどね。

タナベ:  それこそ、Sleepwalkerって曲はJesus Lizardの...

カシマ: Monkey Trickまんまだよね。

タナベ:  ある曲とある曲を合体したら、それ、みたいな感じなところはあります。

カシマ:  「Garland Houseも、めっちゃJesus Lizardだよね。

Q : それはメンバー的にはOK?

タナベ:  OKです。もともと別に、パクリっていうか、自分の好きなバンドのニュアンスが伝わってくるのは悪いことじゃないなって思ってるので。

Q : オリジナル幻想みたいなのってないですよね?オリジナルじゃなきゃいけねぇ、みたいな。唯一無二じゃなきゃいけない、みたいな。

カシマ: 俺はないですね。オリジナリティに固執したりはしてないですね。うちらがやってることは確かにオリジナルではあるけど、ちゃんと下積みが見えるじゃん。それにたいして嫌なことはないんだよね。

俺の中では難しいバランスなんだよな。完全に誰もやってないようなあっと驚くようなことをやればオリジナルだとは思わなくて。100年ぐらいかけて、音楽の基盤ができていって作られてるってことは、ある程度はそれに沿わないと。オリジナル=いいものとは思わなくて、かっこいいものが良いと思うから、オリジナルで誰もやってないものでもダサいものだったら意味ないっていうか。敷かれてきたレールから、とにかく外れることだけを目的とした音楽だったら、やる必要はないっていうか。

タナベ:  目的が違うもんね。

カシマ: 自分にとってかっこよければ、いいんじゃないかなって。影響とかは分かってもその人が自分なりに考えれば、それがオリジナルだと思うから。それがその人のオリジナリティでいいんじゃないかなって気持ちでやってます。

Q : では最後に最近聴いている音楽でかっこいいのがあったら教えてください。

カシマ: カルト3、団地ノ宮が好きです。聴いて楽しかったのはAdo。「うっせえわ」聴いて何も感じなかったんだけど、サブスクで過去の作品も全部聴いたら歌がすごく上手くてそれが面白かったです。なんとかカニバリズムっていう曲。

タナベ: 記憶の底に封印していた曲があって... まじで頭おかしいなっていう曲があって... モーニング娘。 の『SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~』 ほんとうにすごく嫌な歌なんです。頭から離れなくて。

カシマ: 聴きどころがなさすぎて凄いね。

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Youtubeにカシマさんのショートインタビュー動画もあります。

(3LA販売サイト)
SOLID GREEN / SPOILMAN (CD)
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2247

BODY / SPOILMAN (CD)
http://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=2016

SPOILMAN:
web: https://spoilmanband.wixsite.com/mysite
twitter: https://twitter.com/band25923392

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