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コロナ直撃スタートアップのピボットの舞台裏。カジュアル面談プラットフォームMeetyをローンチ。

こんにちは。Meetyの中村(@3kkabi)です。

採用領域のMeetupプラットフォーム改め、カジュアル面談プラットフォームにピボットし、一昨日リリースしました。


2019年11月にMeetupプラットフォームとしMeetyをリリースし、採用に積極的な約120社の企業にMeetupの掲載を頂いておりましたが、2020年2月からのCOVID−19の蔓延により、イベントの掲載数は激減。メディアとして一気に過疎状態に陥りました...

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2019年11月時点でのローンチパートナー企業31社

よって、サービスをまともに運営できたのはたった4ヶ月。控えていた新機能や描いていた構想もありましたが全てストップ。そこから約7ヶ月間、次の方向性の模索とプロダクト開発に潜りました。

このnoteは、コロナショックで事業のピボットを余儀なくされた舞台裏をありのままお伝えしつつ、後半では採用シーンで定着しつつあるカジュアル面談というフォーマットをどう再定義するかについて綴ります。


1. そもそもなぜMeetupプラットフォームをはじめたのか?

端的に説明すると、

・IT業界、特にエンジニア採用市場は、需給バランスが崩れ超売り手市場に
・よって企業は転職市場だけで採用枠を充足させることは難しくなり、
・すぐには転職を考えていない転職潜在層との接点のニーズが高まり、
・その接点創出の手段の一つとしてMeetupが注目されていた

という市場環境があり、

・自分が採用に関わっていた頃、Meetupを企画・運営するのがかなり大変だったこと
・もっとMeetupを効率化できる良いツールがあったらいいな

という自身のインサイトがあったからです。

既存のMeetup(イベント)プラットフォームとの違いは、

10人以下の小規模Meetupに特化することで、イベントの準備コストを最小化し、高い熱量の場を実現しやすくした
採用用途のMeetupに特化し、人事の方の必要機能を開発したこと

などが挙げられます。

そして、Meetupプラットフォームはあくまで市場へのエントリプロダクトとし、そこから一度接点をとった候補者を温めていくための機能を順次リリースすることで、採用シーンの母集団形成を効率化するSaaSプロダクトとして成立させていく構想でした。

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実際にMeetyでイベントを開催した利用企業さんの声


2. COVID-19の影響

立ち上がりは比較的順調で、広告費0円でローンチから3ヶ月、利用企業は100社を突破。しかし、COVID-19の蔓延と同時に、掲載中のイベントは続々とキャンセルに。

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もちろん、オンラインでMeetupを実施したいという声や、実際に取り組み、成功していた企業もあったのですが、Meetupを実施する企業が激減したことを鑑みて、ピボットは2〜3月の段階で意思決定していました。しかし、そこから右往左往し半年以上潜ることに。


3.ピボットに次ぐピボット

はじめはカジュアル面談というコンセプトではなく、ビジネスマッチング的な切り口で模索していました。

リモートワークでは、たわいもない会話のためにわざわざ電話やテレビ会議をするには障壁があり、特に初対面の方と交流をするためのきっかけを作るのが難しくなった。そのインサイトを元にオンラインで人との繋がり増やしていくようなサービスは今後求められていくのではないか、という仮説を立てました。

アイデアの着想からプロトタイプまでは数週間で完了し、多くの方にインタビューさせていただきながら仮説をブラッシュアップしていきました。

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ご協力頂いた方々、本当にありがとうございました🙏

インサイトを拾いながら、プロトタイプに反映させ、実装する。その繰り返しをしながら、6月末、クローズドβ版をお知り合いの方限定に公開しました。

ところが、そのプロダクトはリリースして2時間後に停止するという意思決定をします。バグがあったわけでもなく、です。

プロダクトコンセプトが曖昧で、ユーザーストーリーが描き切れておらず、想定通りにプロダクトが利用されないことがひと目でわかったからです。

ふつうリリースしたら「お疲れさま!飲みにでもいこうかー🍺」という雰囲気になるところですが、「あれ、これヤバくない・・?このままやっても絶対うまくいかないぞ・・😨」となり、即停止、即会議。

ここで一度完全に方向性を見失い、ゼロベースで事業案を探す旅にでることになります。

・既存のプロダクトの改善verの模索
・自分がインサイトを持てる領域(セールス・マーケティング領域など)で事業案の模索
・Y con Demo Dayのプロダクトリスト等、アイデアのヒントになりそうな情報をかき集め、大量にインプットする(やりがちだけど、そんなに身にならない・・w)
・XTechさんが毎週実施している新規事業会議に出させていただき、これまで出た事業案リストを共有いただく(その節はありがとうございました🙇‍♂️ 特に調整していただいた@furukawa_vtさん、いつも本当に感謝してます🙏)

etc..

7〜8月はそんな動きをしながら、2~3個簡易な事業案を固め、その領域に見識がある人にヒアリングに行ってました。そして、毎日7~8時間深夜までMTGする中で、チームの雰囲気が悪くなる時もありました。

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そんな怖い顔しないで...

この時の僕はビジョンもへったくれもなく「とにかくこの会社を死なせない」それしか頭になかった。そして、どれもチームの納得感を醸成するほどのアイデアにはならなかった。

そんな中、創業初期から関わる業務委託メンバーの1人に、

「中村さんはなんで起業したんでしたっけ?」
「なんのために今僕たちはここに集まってるんでしたっけ?」

言われ、ハッとします。

この会社を死なせないという気概は確かに大事だけども、我々がその事業に取り組む意味や背景、市場のあたりを付けただけでユーザーインサイトも何もないアイデアは、人を巻き込むには弱く、結果良いプロダクトにならない。それにせっかくスタートアップの形式を取っているのに、延命するためのアイデアはクソだ。特に業務委託で関わってくれているメンバーはそこにわざわざコミットする理由がない。

残された時間と起業当初の志に立ち返り、もう一度、HRの領域で事業をつくれないか考えました。

そしてお盆明けの8月中旬から、ビジネスマッチングとして作ってきたプロダクトを爆速で作り直し、カジュアル面談プラットフォームとしてMeetyを再ローンチすることに決めます。

スクラップアンドビルド

2020.7まではビジネスマッチングの軸で検討し、2020.8からコンセプトをカジュアル面談のマッチングに切り替え、UIも大幅に変更した


4.なぜカジュアル面談なのか?

一言でいうと、カジュアル面談というフォーマットの信用力が下がっていると感じていたからです。

物議を醸すカジュアル面談


カジュアル面談の定義がファジーなまま運用された結果、上記のような声をSNSでよく目にするようになりました。

そのような状況では、どれだけ企業が「選考ではないので気軽に話しを聞きに来てください」と伝えても、候補者は疑ってアクションすることができません。

つまり、現状のカジュアル面談は、本当にカジュアルな気持ちで申し込みができない状況であり、これは双方にとって機会損失なのでは?と思いました。

結果、Meetupプラットフォームで志半ばで終わってしまった「人と企業をゆるやかにつなぎ、新しいカンケイをつくる」というコンセプトに、再び戻ってくることになりました。

リリースの反応を見て、課題を感じている人は思っていたよりも多くいるのかもと思いました。


5.Meetyで提供するカジュアル面談とは?

「カジュアル面談はもっと候補者のためにあるべき」この思想を下敷きに、Meetyのカジュアル面談の体験を設計していきました。

具体的には以下3つの特徴があります。

特徴①
会社・人事を介さず、企業の中の人にダイレクトに声をかけられる

特徴1

これまでは、エントリしたら人事担当者が候補者に最適な現場の社員をアサインするのが一般的でしたが、Meetyでは現場の社員にダイレクトに声をかけられる形式にしています。


特徴②
求人情報ではなく、企業の中の人の“話せるネタ”へ申し込みする体験

特徴2

これまでは求人に対するエントリでしたが、そもそもその求人に興味が持てないと、当然ですがエントリは生まれません。Meetyでは、その前段階でのマッチングを生み出すために、企業の中の人の"話せるネタ"に対する申し込みになっています。

・エンジニア向け

・PM向け

・デザイナー向け

・事業開発向け


特徴③
カジュアル面談のガイドラインを定め、定義を明確に

特徴3

・Meetyのカジュアル面談のガイドライン:https://meety.net/about

「志望動機を聞くことはNGです。当然、合否を伝える必要もありません。」
「事前準備は必要ありません。気になった面談にカジュアルに"気になる"を押しましょう」などカジュアル面談を実施する方・参加する方双方に、ガイドラインを定め、カジュアル面談の定義が曖昧なことによる齟齬をなくしています。


6.Meetyを通じて実現したいこと

少し前にジェフベソスの採用方針に関するツイートが話題になりましたが、

急激に成長している会社は総じて採用力が強く、社員が採用に積極的に関わる姿勢があるのが明白です。

そんな自社の採用に積極的に関わる社員の方々を一覧化し、直接・気軽に話を聞くことができる場所をMeetyでつくりたいと思っています。

企業と個人の採用・仕事探しにおける以下のような悩みを着実に解消し、企業の採用力そのものを底上げし、どこよりも良いユーザー(候補者)体験をつくるべくプロダクトを磨いていく予定です。

ペイン


もしMeetyのカジュアル面談を「リファラル採用の一貫でやってみよう」と思う方がいらっしゃれば、会社登録不要で個人でカジュアル面談の募集ができますので、以下のLPからコンテンツの公開に進んでいただけますと幸いです!

Meety面談者登録LP:https://meety.net/lp

▼ カジュアル面談公開の手順
1. プロフィール情報を登録
2. 「わたしのシゴト」「わたしのキャリア」「わたしのチーム」など”話せるネタ”を登録
3. ”気になる”が届き、あなたが承認したらカジュアル面談の日程調整


7.最後に - 暗闇の中でジャンプするということ

ピボットを決めた2月時点では実はあまり不安はなく、むしろこの困難な状況をどう打破してやろうかと燃えていた、そんな心境でした。

しかし、2~3ヶ月経ち、世の中にアウトプットをしていない期間が長く続くことで、徐々に不安が増していき、時に社会との繋がりが絶たれたような感覚に陥る時がありました。

また、一度つくりきってしまったプロダクトを世に出してすぐに停止させた時、スタートアップの教科書的な書籍でよく言われている失敗をきれいにそのままやってしまったことに絶望し、自分の実力不足を呪いました。

ただ、絶望しても状況は好転するはずもなく、暗闇の中でも方向性を決め、ひたすら前に進み続けることでしか道は拓けない。日々不安に押し潰されそうになりながらも、時に仲間と励ましあいながら(基本励まされる側)、なんとか毎日フルスイングする、ということだけは決め行動を重ねてきたつもりです。

正直、プロダクト自体はまだまだ至らない点が多い状況で、これからマネタイズの仕組みを作っていくところでも沢山課題が出てくることでしょうが、僕らがやるべきことは「責任を持って最後までやり切る。絶対に諦めないこと。」だと暗闇を進む中で学びました。

辛い時、不安になる時、たくさんありましたが、そんな時、起業家の失敗エピソードや今挑戦してる人のPodcastを聞いたりして、世の中にはこんなにも多くの人がチャレンジし、もがき苦しんでいるのか。と、励みにして毎日を乗り切りました。

チャレンジしている全ての方々への尊敬の念と勇気をもらいながら、僕も新しく生まれ変わったMeetyというプロダクトを通じて、市場にも人にも良い影響を与えていけるようがんばっていきます!

稚拙・長文な文章を最後までお読みいただきありがとうございました🙇‍♂️

Meetyの今後についてはTwitterで実況中継していきますので、よければぜひフォローよろしくお願いします!


https://twitter.com/3kkabi

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