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私達らしいDE&Iのカタチに気づくまで

カジュアル面談プラットフォーム「Meety」を運営している代表の中村です。

2022年8月22日、Meetyはダイバーシティーポリシー『Belonging(ビロンギング)』を発表しました。

組織開発の五木田さんが推進者となり、彼女の原体験も相まって、思想が詰まった力強いコンセプトをつくることができたのではないかと思っています。

もし五木田さんがいなかったら、このタイミングで制定することは間違いなく出来なかったですし、DE&Iというものに対して誤った認識をもった組織になっていたかもしれません。見えないところで会社の可能性を狭め、間違ったカルチャーが育ち、組織に大きな負債を抱えることになったかもしれません。改めて、DE&Iの大切さにいち早く気づかせてくれて、心から感謝を伝えたいです。

上の記事の中で「ダイバーシティーポリシー『Belonging』とは?」「どのような思いを込めているのか?」について詳しく説明しているので、このエントリでは、「どのようにしてDE&Iの大切さに気づき、私達らしい在り方を定義していったか」について綴ります。

「フルリモート・顔出し不要」という働き方

Meetyという会社は、創業以来のほとんどをコロナ禍で運営しています(2019年5月創業)。2020年2月以降、政府の蔓延防止策に遵守する形で、フルリモートという働き方を自らの意志で選択したというより、半強制的に選択した経緯があります。

コロナ直後はビデオONでミーティングしていました(1人アバター)

それまでほとんど対面で仕事をしていたため、「オフィスで集まる文化の方がマネジメントしやすいのでは?」「雑談がしづらくなり、メンバー同士の人間関係が希薄になるのでは?」「創業期のアイデアを探索するフェーズでは、ディスカッション効率が良さそうな対面の方がいいのでは?」など、不安に思うことはありました。

しかし、それは杞憂だったと思うに至っています。

フルリモート下で2度ピボットし、新規プロダクトを世に出し、初期の検証・グロース資金調達を進めていく中で、先に挙げた懸念は工夫次第でなんとかなる、という手応えを感じたからです。

むしろ、フルリモートを徹底的にやり切った先に、まだ世の中が気づいていない様々なメリットがあるのではないか、という仮説に辿り着きました。そしてそれは、DE&Iを推進する上でとても有効な仕組みではないかと。以下で具体的に解説します。

フルリモートで加速する3つのDE&I
(1)能力のダイバーシティの拡張
(2)働き方のダイバーシティの拡張
(3)アンコンシャス・バイアスを生みづらい環境

(1)能力のダイバーシティの拡張

人によって思考スピードは異なります。たとえば、会議での会話のテンポが早く、瞬発的に物事を整理するのが得意な人もいれば、会議中はそこまで発言はしないけれど、精度高いドキュメントを書くのが得意なじっくり思考するタイプの人がいます。

前者は同期的なコミュニケーション環境の方が、後者は非同期的なコミュニケーション環境の方が、バリューを発揮しやすいと考えられます。

オフィスという環境は "同期的なコミュニケーションを加速する装置" です。つまり、瞬発的思考力のある方が有利になりやすい環境と言えます。

フルリモートの場合、同期 / 非同期のコミュニケーションをシチュエーションによって使い分けやすく、その人の思考特性に合わせて仕事の進め方を選ぶことが可能です。つまり、幅広い人が活躍しやすくなる働き方なのではないかと考えています。

(2)働き方のダイバーシティの拡張

こちらはイメージが湧きやすいかと思いますが、時間による制約・暮らす場所による制約が解除されることで、様々な働き方を許容できるキャパシティが広がります(Meetyの場合はコアタイム12〜16時とすることで、さらに柔軟性を持たせています)。

現に私自身の働き方も劇的に変わりました。共働きで3人の子育てをしながらアーリーフェイズのスタートアップを経営する、というライフスタイルは今の働き方でないと考えられなくなりました。朝の子どもたちの支度・夕方のお迎え・習い事への送迎・寝かしつけ後に仕事に戻るスタイルは、フルリモートという働き方に支えられています。

縦型の2人乗りベビーカーを重宝してます

私のような子育て世代以外にも、大切な趣味に時間を使いたい方、ご両親と一緒に暮らしたい地方在住の方、生活リズムが夜型の方など、その人らしいライフスタイルの実現が可能です。

働き方が柔軟になることで、暮らす場所・家族構成・生き方までも多様に変革できる。これはとてつもない価値だと思っています。


(3)アンコンシャス・バイアスを生みづらい環境

社内ミーティングはビデオオフが基本のため、普段はテキストと音声のみでやりとりしています。そんな環境だと、一緒に働くメンバーの視覚的情報がほとんど入ってこないため、メンバーに対するアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや先入観)が生まれにくくなります。

同時に、自分自身が「周囲の人からどう見えているか」も気になりにくいので、目の前の仕事に集中しやすい効果もあります。身だしなみを整える必要もありません。 自分のライフスタイルに合わせて、心地よい格好で人の目を気にせず仕事をすることで生産性の向上も実感しています。

ちなみにどうでもいい話ですが、僕はスパイスの効いたニンニク入りのカレーを毎週ランチで食べています。もしオフィスで一緒に働いていたら「うわ、この人の息クッサ!」と思われていたに違いありません。

どこのお店か知りたい方はお知らせください。9月末に閉店するようです…つらい…

ニンニク臭いはバイアスではなく混じれもない事実ではありますが、息が臭い人は仕事ができないと結びつけたらそれは先入観です(※息の臭さを肯定したい訳ではない)。

フルリモート・顔出し不要の世界になると、その人の持つ身体的特徴も、年齢・性別も、ニンニクの匂いすらも、仕事をする上で全く気にならなくなるのです

ちなみに、slackなどの導入しているツールのアイコンは、ご自分の顔写真や好みのイラストなど全員自由に設定しているのですが、プロダクト責任者のアイコンはAIが自動生成したこの世に存在しない顔だったりします。

AIが自動生成したこの世に存在しない顔

本人にこの選択をした意図を聞いたところ「なんとなくいい人そうだから。マイナスな印象も与えないだろうし、仕事しやすいと思った」とのこと。

オンラインで働くようになって気づきましたが、各種ツールのアイコンがその人を表す比較的大きな要素になるので、アイコンが与える印象はたしかに馬鹿にならない。

この働き方になって2年が過ぎた今も、小さく社会実験をしている気持ちは続いています。少しおこがましさはありますが、もしかしたらいずれくる未来の働き方を、いま私達が体現しているのでは?と思ったりもします。

もちろん全ての業種・業界でこの働き方が普及するとは思いませんが、メタバース的な世界がより身近に感じられる社会になったら、この働き方はなにも珍しくないかもしれません。

以前に「身長が高いほど年収が増える」「CEOの身長は平均より10センチ高い」といったことを証明する研究・調査結果が発表され話題になりましたが、こういったアンコンシャス・バイアスが生む格差は無くなった方がいいと考えています。

その一つのアプローチとして、「フルリモート・顔出し不要」という働き方が広まっていく可能性は十分にあると思っています。

曖昧なアクション・勇気ある提言

上で説明した働き方によって、自然とダイバーシティを拡張できている実感はあります。しかし、それだけでは不十分で、企業としてリテラシーを高めていく必要性は感じています。

2021年4月、Meetyはワーキングペアレンツ専門の転職サービス「withwork」とコラボレーションし、DE&Iに積極的に取り組むスタートアップ・ベンチャーキャピタル17社を取り上げた「D&I実現に向けて 令和のキャリア・働き方を、語ろう」という企画をリリースしました。

D&I実現に向けてー 気鋭のスタートアップ・VCなど17社が集結 「令和のキャリア、働き方をカジュアルに語ろう」 ー Meety×withwork共同企画

本企画は大変好評で、多くのカジュアル面談のマッチングを生み出したことから、事業にとっても社会にとっても価値を出せるのであれば、もっとDE&I文脈で多様な企画を実施していきたい、と思うようになりました。

その流れで「女性エンジニア特集」という企画を進めてはどうか、という意見が挙がりました。女性エンジニアはまだまだ人口が少ないため、もっと目指す人が増えてほしいし、同じ女性エンジニア同士繋がりをつくりたいと思う人は一定数いると思ったからです。

しかしこの企画は、構想段階でストップすることにしました。組織開発の五木田さんが違和感を伝えてくださったことがきっかけです。

五木田さんの業務委託入社1ヶ月目の出来事

正直、ご指摘いただく前からぼんやりと違和感を感じてはいたのですが、意思決定できるほど芯のある思想を持てていなかったことから、なんとなく良さそうという曖昧な理由でアクションしかけていたことに気づきました。

そして、この原体験は「Belonging(ビロンギング)」のコンセプトにもつながっていきます。

上の事例は「(強い思想を持たずして)女性エンジニアの方をマイノリティとして特別扱いすることは違和感がある」という捉え方です。その気付きをどんな特性・価値観・バックグラウンドを持つ人であっても等しく存在することが理想であると抽象化し、Belongingのコンセプトの中核に据えました。

Meety Diversity Policy『Belonging』のコンセプト説明画像

インクルージョン(Inclusion)とは本来、「あらゆる人が排除されないように、その社会・組織のなかに包含する」といった意味合いです。一方で、この右図のように「マジョリティ(中心)の中に、マイノリティの人たちを配慮して受け入れる」といった、本来の意味とは少しズレた社会的イメージがついてきているようにも感じます。Belongingでは「違い」を感じない環境を目指しています。

Meety Diversity Policy『Belonging』

最後に − ポリシーを持つことの大切さ

上で「(強い思想を持たずして)特定の方をマイノリティとして特別扱いすることは違和感がある」と述べましたが、信念を持ってマイノリティの方に目を向け、機会均等の実現を目的とする行動は、アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)と呼ばれ、賞賛されるアクションになり得ます。

つまり、上の「女性エンジニア」に特化した企画を実施する場合、ポリシー次第では、是とも非とも捉えられるということであり、絶対的に正しい答えはないと言えます。

だからこそ、自分たちのポリシーを明確にし、それを組織として遵守するように務めることが大切なのではないかと。

世の中にある課題に対して、各社が「うちはこのように向き合っている」と回答ができる状態をつくることで、それぞれのアプローチからアクションしていけると、少しづつ社会は変わっていくはず。そこに私達も微力ながら貢献していきたい。

現時点ではポリシーを発表しただけですが、これからたくさんの具体的アクションにつなげ、誰もが持つ自身の価値を最大限発揮できる社会にちょっとでも近づけられるよう動き出していきます。

最後になりますが、もしこのnoteの内容に少しでも共感した方がいらっしゃったら、コメントなどで反応頂けたら嬉しいです。そして、あわよくば一緒になにかお取り組みできたら最高です。取材・イベントのお誘いもお待ちしてます👋

もし万が一、Meetyの採用情報に興味があるなんて変わった方いらしたら、こちらもご覧いただけますと嬉しいです🙇‍♂️

それでは!


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