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「相手の立場に立つ」とか「共感力」って無い方がいいかも、と思った話

新しい会社に入社して2カ月目となり、具体的な案件に関わってみて初めて、この新しい仕事はかなりの依存性がある事が分かった。

チームAに書類の内容を確認してもらったり、
お客さんから書類が来たらチームBが内容を最終チェック、承認し、
支払いはチームCが受領する、等々。

他のチームが対応している間はこちらは待機状態になり、急ぎの案件の場合は非常にもどかしい。

我々営業に求められているのは、
お客様に明確でかつ、できるだけ余裕を持った案内をする
担当のチームに正確に連携し、期限内に終わるようにトラッキングする
できない場合は即、上司にエスカレーションしてヘルプを依頼する
(そして新規案件を獲得してくる)
なのだが、

私は、
業界の経験がない事(仕事に必要な一般知識がない)
会社内の組織に疎い事(土の部署が担当していて、誰に聞けばいいのか分からない)

に加えて、

ヘンなところで気遣い、共感力を発揮してしまう事があり、
今回はそれが思いっきりマイナスに作用してしまった。




ある案件で、月末までに書類を発行する必要があった。

4月の始めから、書式の確認やスケジュール感などを(何を言っていいか分からないから)毎回同僚に確認して対応をしてきた。

書類の内容の確認がほぼ終わりに差し掛かり、4月最後の一週間を残すところとなった。

残りの流れとしては、依頼を受領→内容確認→書類発行となる。

4月21日の金曜日には、書類内容の確認を終えて、次の手続きに進みたかったのだが、インドも夜の10時過ぎになってしまい、確認点を一点残した状態で週末に入ってしまった。

一点だけだし、これが終わったら次の対応に進めると聞いていたので、一つづつ対応していけば余裕を持って間に合うんじゃないかと思っていた。

なので日本側には「月曜日に回答もらえる様にします」と連絡しておいたのだが。

私の認識と対応が甘かった事を思い知らされることになる。



月曜日の朝一番にメールで催促していたにもかかわらず、昼を過ぎても担当者から返事がない。

この日は同僚も上司も休暇でいなかった。

「俺らは休みだけど、困ったらAさんに聞いていいから」と言われていたAさんは、その日、配下に新入社員が入ったため、昼過ぎまでずっといなかった。

書類の確認を担当しているチームBは離れたところにあり、いつ・誰に催促していいのかが分からなかった。とりあえず、何度か催促のメールを送るが反応がない。

日本側は既に午後になっているので、一人焦るが、誰に何を聞けばいいのか?一人でうろうろするばかりだった。

それでも昼過ぎにやっとチームBの担当者が今日はお休みである事を突き止め、代理の担当者の名前と連絡先をもらい、再度メールして返事を待った。

金曜日の夜から聞いてるし、チームがCCにいるんだから対応してくれても・・・。

そのまま夕方から夜にかけて何度も電話して、追いかけた。

質問一点と書類の確認をお願いしているのに、1回の返信につきに1つしか対応してもらえず、しかも、途中なのにさっさと帰ってしまったらしく、再び夜の9時半過ぎになり、書類の確認が次の日に持ち越しになってしまった。

お金に関わる事なので怖すぎて一人では判断できないが、かといって、休暇中の上司や同僚に連絡してもいいものか迷った事が仇となった。



火曜日にやっと回答をもらい、水曜日に次の手続きに進んでもらった。

書類の発行は「依頼を受け取ってから1~2営業日」で、日本側では水曜日に送ったから木曜日中には発行できると思っていた様だった。

水曜日に依頼を出した連絡が来たので、すぐに担当チームB(この手続きもチームBが担当)に「急ぎで」対応をお願いした。

チームBに対応依頼をした後、チームからは「今システムがダウンしているから、システムが上がり次第、確認する」と返事が返ってきており、依頼を認識している事は理解できた。

他にこちらでやる事はないのか同僚に確認したら、「状況は分かったし、今は待つだけ」と返ってきた。

やるべき事はやったので、水曜日は達成感と共に帰宅したのだが。



木曜日の朝、気になったので、チームBに電話してみた。

すると、まだシステムはダウンしているが、30分以内に更新情報を連携すると言われた。システムが上がったら急ぎで対応する、とも。

しばらくして、チームBから「依頼の受信を確認できた」とメールの返信が来た。

これでシステムが上がり、対応が進み始めた事が分かったのでほっとしていたが、今度は日本側から状況確認の連絡が何度も入った。

後どのくらいの対応が残っているのか、
今日(木曜日中)に発行は可能なのか、
発行が終わった後、書類はどのようにお客様に連携するのか、
を最新のステータスで連携する必要があった。



木曜日発行を希望されているのに、もう昼を過ぎている。

困った私は、同僚も上司も捕まえて、
どのように回答すればいいのか、
いつまでなら発行が可能なのか、等々を聞いた。

私は日本側の電話対応に忙しかったので、
その間に上司や同僚が担当部署に確認を取ったり、プッシュをかけてくれた。

結果として、今日(木曜日)中の発行はできず、
どんなに急いでも明日の午後の早い時間の発行になる事が分かった。



日本側は「話が違う」と言い、
インド側は「だってそう言ったじゃないか」と言う。
(日本側に話をしているのは、私だけで、間に入っている状態。)

事情を説明し、今後の対応方針を示した後、お詫びを述べて、何とか電話は切らせてもらった。

その日のうちにできる事は上司も同僚も協力してくれたが、
次の日(金曜日)は二人とも会議で終日いないのだと言う。

つまり発行までは私が一人で追いかけないといけない事になる。

ショックを隠せない様子の私に、「でも、3Kさん、そんなに急ぎだったらもっと早く言ってくれればよかったのに。そしたら1日で発行できたよ。」と上司は言う。

はい?なんですと・・・?私「急ぎで」って依頼出してるのに?

「どんな業務にもやり方があって、適切な人物から適切な担当者に連絡すれば、2営業日かかる書類も1営業日で発行できるのさ。」と、上司は得意そうに言うが、

私は不満そうな顔をしていたのだろう。

「でも今回はこれ以上早い対応は無理だよ。だって、3Kさんがもっと早く声をあげなかったから」と、声をあげなかった私に非があるのだと暗に言う。


胸のあたりがものすごくモヤモヤした。


書類の発行の「最短日数」を想定していた日本側と、
「最長日数」を想定していたインド側の意図を
正しくくみ取れず、伝えきれなかった事は私に非がある。

明確に「X月XX日のYY時までに絶対に対応して」と日時を明確にせず、「急ぎで」としか記載しなかった事も事実だ。

それに、ぎりぎりになるまで上司に報告する事をためらって待っていたことも間違いであったことも認める。

しかし、この業界にいた事がない私は、
手続きにかかる時間は決まっていると信じており、
優先度を上げて、早く対応する事が可能なんて思いもしなかった。

知らないものは活用することもできない。

1から10までを説明する必要はないが、場合により急ぎの対応をすることは可能で、その時は方法を教える、と一言でいいから教えておいて欲しかった。

早く声をあげなかったくせにそう思うのは甘えなんだろうか。

それに、対応を依頼したチームがこちらの依頼に全く気付いておらず、何度も確認しないと対応しない事があるなんて、想像もしていなかった。依頼を出したら順番に対応すると思うじゃないか。



外資の厳しいところはこういう点にあると思う。

誰もが快く教えてくれるし、協力はしてくれるが、
自分から積極的に動かないと、それらは得られない。

「もう依頼は出しているし」とか、
「何度も電話したら迷惑かな・・」とか、
「今日は忙しそうだな/今日お休みなんだよな・・」とか、
妙に相手の立場に立って考える事が癖になっている自分が恨めしい。

日本では(少なくとも自分が小さかった頃は)、「相手の立場に立って考えましょう」と、道徳の時間で習った記憶がある。

それはとても大事なのだが、これが思考回路の基本に組み込まれてしまうと、こうやって仕事に支障が起きることもあると、今回、身に染みて分かった。

妙に共感力が発達してしまった私だけかもしれないが。

仕事する時においては、「相手の立場に立つ」とか「共感力」って無い方がいいかも、と思ったのだった。

仕事の時だけは相手の気持ちなんか全く考えない自分勝手な人間になりたい。



結局、金曜日に何とか書類は発行したものの、日本側にとっては大きく不満が残る対応となったため、週明けに改めて会話する場を設ける事になった。

今から不安で胃が痛くて仕方がない。

いつかこの失敗が笑い話になる事を願いながら、明日もへこんだメンタルに鞭打って仕事に向かおうと思う。




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