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正しい選択はどれか

日本は年末年始の休みに入ったので、日本のチームと一緒に仕事している私も今日からお休み。今年は夏から色々あったので、電池切れしてしまったのか、ぼんやりしてしまっている。今日はゆっくりして充電日にしよう。

先日は、ビザ申請の手続きの時に、不当にお金を請求された事を書いた。

その日は、
ビザが下りないのではないかと言う恐怖、
不当にお金を払わされた悔しさ、
自分が思う様に行動できなかった憤り、
と、色々な負の感情が入り交ざって眠れなかった。

次の日になって冷静になってきたので、色々と確認をしてみた。結果、もしこの係員が私の申請を許可しなくてもどうにかなるということが分かったので、気持ちも落ち着いた。落ち着いたら腹が立ってきたので、この件については何かアクションを起こそうと決心した。

そして、どうするべきか、何ができるか考えた。

考えたアクションとしては、以下だ。
1. もう一度係員を呼び出して、現行犯逮捕する
2. FRROに報告する
3. 警察に報告する
4. 日本大使館に報告する

1番目は映画とかドラマっぽくてかっこいいが(笑)、一人ではムリだし、証拠も得られないまま逃げられるリスクも高いので、協力者が確保できるまではNG。
2番と3番は私一人でもできるが、やはり付き添いがいた方が無難なので(ヒンディー語ができる人がいる方がスムーズ)、一旦保留。
そこで、まずは4番の対応をする事にした。日本語が通じるし、大使館は自国民を守るために存在する機関なのだから。(そう信じている)

私は、人ごみの中にかくれてひっそりしていたいタイプで、注目を浴びるのは好きではない。(と言うか嫌い。)たかがこれだけの事かもしれないけど、公的機関に報告するのは、私にとってはすごい大変な事なのだ。だから本音を言うと、これ以上の面倒やトラブルが避けられるのであれば、渡してしまったお金はあきらめてもいいぐらいに思っている。

でも、今回はそんな気持ちを抑えてでも、行動を起こするべきだと思う。何もしなかったら後悔する。なんとなくだけど、そんな気がする。理由は、私がアクションを起こすことで、将来の被害者がいなくなる(減らせる)かもしれないからだ。

私がこの様に考えるのは、この夏に見たNetflixのドラマ「Delhi crime」の影響が大きいと思う。

このドラマは、2012年にインドで実際に起きたレイプ事件を基に作られている。信じがたい程、残忍かつ凄惨な事件で、被害者は亡くなっている。また、犯行の動機を知った時は愕然としてしまった。同じ女性として、または娘を持つ母として、予告編を見ただけでもつらく悲しい気持ちになる。

これはドラマなので事実とは異なる部分もあるかもしれないが、このレイプ事件が起こる前に、犯行現場となったバスで小さな強盗事件が起こっていたにもかかわらず、被害者は届けを出していなかった。理由は忘れてしまったが、大したことが無いとか、警察とかかわるのが嫌だとかそのような事だったと思う。

もし、被害者が被害届けを出していたら、このバスの使用が禁止されて、このレイプ事件は避けられたかもしれなかったのだ。

歴史や、過去において「もし」は禁句だけど、未来は変えられるかもしれない。

報告する事で、「え、お金払っちゃったの?なんで?」とか、「お金を払ったあなたが悪い」と逆に私に批判の矛先が向かうかもしれない。それはすごく怖く、逃げてしまいたい。その上、このことが原因となってビザの申請が却下であったら、協力してくれた夫にも申し訳ない。

だけど、私たちは誰もが「避けられるかもしれない被害や犯罪」に対して責任があると思っている。

今日のお昼ごろに、日本大使館にメールで報告した。

事実を記載しただけの簡単なメールを出すのに、1時間以上もメールの内容を何度も推敲して、勇気を振り絞って「送信」ボタンを押した。

緊急事項ではないし、日本は今日から年末年始の休みなので、返事は年始明けになるかもしれない。もしかしたら返事すら来ないのかもしれない。

それでも、同じように悔しい思いをする人が一人でも減るのなら、がんばってよかったな、と思う時が来るかもしれない。

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