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インドのコーヒー

どうやら蚊が一匹部屋に入ってしまったようで、明け方からずっと耳元で「ぷぅ~~ん」と言う、あのいや~な音がして何度も起こされてしまった。

最悪だわ・・・。

蚊の対策用品がそろっているか確認しておかなくっちゃ。


さて、インドにいるのにもかかわらず、私はチャイ派ではなく、コーヒー派だ。

2014年にインドに来た時は、インドのコーヒーショップやカフェは件数もブランドもあまり多くはなかったように思える。

ただ、その頃でもStarbucksはインドに既に進出していたし、いくつかのコーヒーショップはあった。

インドでメジャーなコーヒーショップは、Starbucksに加え、COSTA Coffeeや Café coffee dayなどのチェーン店や、チェーン店ではないがカフェもあるBlueTokai(元々は焙煎所), 店舗はないがティーバッグの様にお湯(水)を注ぐだけですぐに飲める Sleepy owlなどだろうか。

近年はこれらに加えて多くのカフェ、焙煎所も増えて、コロナの影響なのかオンラインで希望のコーヒー(焙煎して挽いた豆)も注文できるようになった。

いい時代だ。

私もフレンチプレスを持っているので、色々なお店のコーヒー豆を買って試してみている。

朝の一杯は濃いめにするのが好きだ。


コーヒーショップでは、アメリカン、カプチーノ、ラテなど好みのコーヒーを選べるが、会社のカフェテリアで設置してあるコーヒーマシン(社員用の無料の自販機みたいなもの)では「コーヒー」と言うのは選択肢が一つしかないことが多かった。

インドに来るまで、私はインドでコーヒーがどれくらい親しまれているか知らなかったし、当時は「コーヒー」=「ミルクと砂糖がたっぷりがデフォルト」であることも知らなかった。

インドで2社目に就職した会社は、BPOサービスを提供しており、そのサービス内容からも社員が多国籍で24時間シフトのチームが非常に多かった。

私が入ったチームは日本語チームとドイツ語チームはインドにおり、その他の大多数の言語チームはドバイとフィリピンにいた。複数名が同時期に入社となったため、初期研修のためにトレーナーがわざわざドバイからやって来た。

身長が190センチ近くはありそうな長身のイタリア人がトレーナーを担当したのだが、彼にとって今回が初めてのインドであった。私の入社より数日前にインドに到着しており、お決まりの観光名所を巡ったりして楽しんでいた様だ(笑)

そんな彼が担当する研修初日。

夜シフトの時間を使って研修したのだが、さすがに夜10時を過ぎてくると、全員眠気が襲って来る。そこで、一旦休憩することにして、全員でカフェテリアに移動した。

彼はカフェテリアにコーヒーマシン(チャイも出るのだが、なんと呼べばいいのか、笑)がある事を知っていたので、無料で飲めると知って、「よし、それにしよう!」と言い出した。

彼の中ではコーヒーは細かく種類が分かれているのが常識だった(と思われる)ので、私たちに

「何にする?エスプレッソ?ラテ?カプチーノ?」と聞いてきたが、

隣にいたインド人の同僚に

「コーヒーは一種類しかないよ。」と突っ込まれ、

「ええ!何それ!インド人は一体どんなものを飲んでるの??」とショックと驚きを隠せない様子。

試しに手渡されたコーヒーを一口飲んで、

「こんなのはコーヒーじゃない!!」と悲しそうにうなだれる彼。

インドではどこでもコーヒーの価格がチャイより高い。

会社が福利厚生の一環で提供する無料のコーヒーなので、彼が考えている様なコーヒーは出せないのだ。(それにイタリアの基準で評価されても。。。笑)薄かったり、コーヒーもインスタントだったりと、品質もたかが知れている。ミルクも薄い事が多く、私の感覚では「コーヒー色をした砂糖水」に近い。

そんな、インドの「コーヒー」に我慢ならなかった彼は、一階には有料のコーヒーショップが入っていた事を思い出し、そっちにコーヒーを買いに行くと言い、一人で行ってしまった。

彼を見送り、残ったメンバーで無料のチャイ&コーヒーやビスケットを食べつつ休憩時間を過ごし、休憩後に研修室へ戻ると、彼は先に部屋に戻っていたようで、左手に紙のカップを持ちながらパソコンの前に座っていた。

「どうだった?やっぱりお店のコーヒーはいいでしょ?」と聞くと、

「いや、今日は抹茶ラテにしたから、コーヒーの品質は分からない。」と返事が返って来た。

コーヒーを買いに行ったんじゃなかったのかい(笑)

この彼は、研修前の休暇は思いっきり観光を楽しみ、この初日の研修を含め数日だけ研修を実施した後、インドの気候にやられてしまったらしく、研修を半分も実施しないまま体調不良でダウンし、帰国してしまったのだ。

残りの研修は別の担当者がリモートでドバイから実施した。

インドの厳しい気候が彼には合わなかったとは言え、「何しに来たの」感は否めない(笑)

今でも、会社のカフェテリアで飲める無料、または、10ルピー程度の安い『コーヒー』を見かけると、彼の事を思い出してくすっと笑ってしまったりする。

まだドバイにいるのかな。元気にしてるかな。

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