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一人前に扱ってもらえずにもやもやする:(手術翌日1)

前回のnoteでは手術後からその夜までを書いた。

手術の合間にちょこちょこと眠っていたため、眠れたが、朝早く(朝の3時ぐらい)に一度目が覚めて、メッセージなどを確認して、また眠りについた。


朝起こされたのは、7時ぐらいだっただろうか。

「Hello, ma'am、チャイだよ。ここに置いておくから」と、声をかけられて目が覚めた。インドの朝はやはりチャイから始まる。
(インドでは知らない女性のこと呼ぶときにma'amとつける事がある)


やはりインドの朝はチャイとビスケットから。
薄くて味しなかった・・・。

テーブルにチャイと砂糖とマリーのビスケットが乗っている。

昨日と同様、お腹が空いているので、出されたものは素直に食べた。
インドに来てから、味にあまり頓着しない様になっていたが、
やっぱりここのチャイは味がしない。(笑)

インドには糖尿病患者も多いので、砂糖が別添えであるのは分かるのだが、
なんか・・・紅茶の味もミルクの味もしない。

私はコーヒーも紅茶も砂糖なし派だが、これはさすがに砂糖が無いと飲めなかった。

チャイをすすり、ビスケットをかじっていると、大きな銀の洗面器を持ったケアスタッフがやって来て何やら話しかけた。どうやらバスルームに来いと言っているようだったが、私がチャイを飲んでいるのに気づくと、「15分ぐらいしたらまた来る」と言って、出て行った。



その間に保険の担当だと名乗る男性が部屋に入って来た。
私の国籍が日本なのでパスポートとインドへの入国日とビザが必要だと言う。

しかもH君に向かって。

もやっ

「悪いんだけど、本人がここにいるんだから、直接話してくれない」と言い、H君にはバッグに入れていたノートパソコンを出す様にお願いした。

インドに来てから思うのだが、男性が一緒の場合は、
私の方が年上でも、
意思決定権があっても、
お金を持っていても、
男性側に話しかけられることが多い気がする。

しっかりしているからH君に付き添いをお願いしたが、彼はまだ10代だ。
お金も意思決定権も私にあるのに、私を素通りしてまっすぐH君に話しかけられると、すごくももやもやした。

自立した一個人として扱われていない気がする。

話は戻って、

パスポートだけじゃなくて入国日とビザの情報もって。。。あったかな。

パスポートは普段顔写真のページしか提示を求められないので、それが無いといつ入国したか正確な日付は分からない。もう7年以上も前なのだ。
ビザは年末にOCIを入手したが、その写真は出番がなく持っていなかった。
とりあえず、今まで使っていたPIOの写真を提示することにした。

おかしいと指摘が入ればどうするか検討するが、この人たちにPIOはVOIDになって、新たにOCIが発行されていることなど分かるはずもないと自信があった。

だって、離婚だって大々的に発表しなければ証明できないのだ、この国では。



チャイを飲み終わる頃に、さっきのスタッフが再び現れて、バスルームに来るように言った。私はそろそろとベッドから降りて、バスルームに向かった。

中に入ってみると、トイレの便器の中に先ほどの大きな洗面器が置かれており、中には赤黒い液体が注がれていた。スタッフは英語は話せない様であったが、どうやらこの洗面器に腰かけろ、と言っている。

え・・・これに?どうやって?
足が届かないし、便座が割れちゃいそうじゃない。

私は何度も「え?ここに?ホントに?」と何度も確認したが、スタッフは真顔でそうだと頷く。

一旦落ち着きたかったので、先にトイレに入っていいか聞くと、OKだと言うので、用を足そうとしたが、スタッフは出ていく気配がない。

ここでどうすればいいのかもう分からなくなり、私はそのまま用を足した。
人前で用を足すなんて記憶にある限り無い。
(ちなみに、パジャマに覆われて、体は見えない状態。)

その後、しぶしぶ、ぬるま湯におしりをつける。

私は身長150㎝ぐらいなので、便器に洗面器を載せられるともう届かない。
洗面器を傾けながら、赤黒い水がこぼれない様に、自分の体を両手で支えながら恐る恐るおしりを浸す。

やっとおしりが水に触れたが、スタッフは「もうちょっと」と身振りで示す。

いや、これ以上やったら、足が地面から離れちゃう。

するとスタッフは、バスルームにあった小さな台を取って、この上に足をのせる様に指示した。

これに足をのせると何とかぬるま湯におしりは浸った。

日本で手術した場合は血行を良くするためにお風呂に入る事を勧められるようなので、それと同じものだと思われる。水が赤黒いのは消毒液が入っているらしい。

足を台にのせているので、なんとかなっているが、全体重は怖くてかけられず、両手をプルプルさせながら必死に支え、腹筋を使って全体重がかからない様にしていると、手術後のケアのはずが返って具合悪くなりそうな気もしてきた。(笑)

後で見ると、左手は体を支えた時の角度がよくなかったらしく、点滴の管から結構出欠してしまっていた。

体を支えた時の手首の角度が悪かったので、出血してしまった。。




数分経過した後で、もういいと指示されたので、立ち上がる。すると今までおしりに使っていた水が足を伝ってぽとぽとと床に滴った。スタッフは私をその場に立たせ、大きなおしりふきシートの様なものを出して、拭いてくれた。

もちろんありがたかったが、意識あって体も動くのに他人に裸を見せて体を拭かれるのは、なんとも微妙な気分だった。(おしりをつけていた時はズボンだけを脱いでいたが、下半身を拭いてもらった後、上のパジャマも脱いて拭いてもらった。)

ああ、ボケてないのに介護されたらこんな気持ちになるんだろうな。。。。

手術中の恥にこれも加わったが、ここを出たらもう忘れよう。


体を拭いて、新しいパジャマに着替えた私は再びベッドにもぐりこんだ。



しばらくして、執刀を担当した先生が現れた。術後の経過を見に来たようで、いくつか質問をすると今日退院して問題ないと判断した様であった。

問診を終えて立ち去ろうとした時、部屋の中のベンチで参考書を読んでいたH君に気づく。

「へえ~懐かしい!XX(参考書の名前)じゃないか?君、医学部志望?」と、H君と先生の間で会話が始まった。

実は、私はこれをちょっと期待していた。
医学部への進学が中々できず(数年間浪人している)、落ち込んでいるH君が現役の医師と話をする機会があって、モチベーションが上がったらいいなあ、と思っていた。

10分程会話して、先生は部屋を出て行った。

これだけで突然成績が上がるわけはもちろんないけど、少しでもいい刺激になっただろうか。



その後、朝食が出された。(大体9時半頃)

しばらくは柔らかく、消化が良く、辛くないもの、との事であったので、今回はオートミールのミルクがゆと昨日と同じキチョリであった。(キチョリには今回はお米ではなく、daliaと言う穀物が使われていたと思う)

私はオートミールは好きだけど、このモデルたちがよく食べているおかゆ系オートミールは好きではない。オートミールは米化させて食べる調理法が好きだ。

砂糖は日頃控えようとしているのに、入れないと食べれなかった。

日本だと消化の良いものとして、おかゆとかうどんとかを勧められるらしい。いいな、食べたい・・・😿

朝食。オートミールは砂糖を入れて食べた。
フラスコの中にはチャイが入っている。
部屋番号にSD(ソフトダイエット=柔らかい食事)とメモがある


その後、品質担当の人がアンケートを取りに来たので、アンケートに記入する。

「うちの病院は星いくつ?」と聞くので、
「4つ」と答えると、
「なぜ?私は星5つが欲しいのよ」と食い下がる。

そこで、保険の事前承認では期待する回答は得られなかった事と、入院手続きの際に初めてパスポート(今朝に追加でビザも)が必要であったので慌てた事を伝えた。保険については本来は病院の評価に含まれないのかもしれないが、入院手続きの一環とするならばこれで少なくとも星★一つは減点だ。


その後、入れ替わり立ち代わり、私の部屋に来ては
「XXXです。」「YYYです。」とあいさつしては部屋を出ていく。

まるで久しぶりに街に下りてきた王族に一人づつ挨拶に来ているみたい。

病院の客としてもてなされているのは分かるが、病院のマネジメントレベルのヤツが一回来て、挨拶してくれれば十分なのだが。。。

むしろ寝せてもらえるとありがたい。もう一個★を減らしておけばよかったか(笑)

さて、先生からは退院してもよい許可が出たので、てっきりお昼ごろには病院を出られると思っていたのだが、その予想は大きく裏切られることになった。






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