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『ラチとらいおん』
ラチはとっても弱虫の男の子。
暗いところは苦手だし、お友達にもいつもビクビク。
そんな泣いてばかりのラチのところにやってきたのは、ちいさな可愛らしいらいおん。
見た目は愛らしいのに、とっても強く逞しいらいおんの特訓のおかげで、ラチは徐々に強くなっていき、勇気を持てるようになります。
誰にでもひとつやふたつは苦手なところもあるし、自分の嫌いなところだってある。
周りと比べて、どうしても劣等感を抱きやすい時期に、ありのままのラチの姿や成長は、勇気をくれると思います。
ラチにとってらいおんは、お守りの様な存在。
らいおんがいるから強くなれる。
でも、本当に強くなった心には、きっとらいおんはもう必要ない。
だから ラチは、きっと ひこうしに なれるでしょう。
力強くあたたかいこの言葉が、この絵本の全てを伝えてくれている気がします。
何かに頼りながら、すがりながら。
少しずつ自分の足で、自分の勇気で、進んでいけばいい。
広い世界に踏み出す子ども達に、そんな安心感を与えてくれる気がします。
ラチの心の中にいつまでもらいおんはいてくれる。
目には見えなくても、絵本を通して親子で培ったあたたかな時間は、きっとそんな風に子ども達の心のお守りとなってくれるはず。
そう願い、今日も絵本を開きます。
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マレーク・ベロニカ 文・絵
とくながやすもと 訳
福音館書店 1965/07
この絵本の中には、昔話によく使われる「3度の繰り返し」の技法が使われています。
ラチが勇気を持って立ち向かうシーンで、ラチをそっと助けてくれる物たちが「3度」繰り返し出てきます。
昔から使われている安定した構成が、このお話が長く愛され続ける理由のひとつになってくれている気がします。
ロングセラーの絵本には、どんなジャンルであってもこうした安定感がある。
絵本を読み込む度に、そう感じます。
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