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『ごぶごぶ ごぼごぼ』

出産祝いに、わたしが1番よく選んでいる絵本がこの絵本です。

大人の感性で見たら、「え?何なの?」と思われがちの一冊。笑
なかなか知らないと自分からは選ばない絵本だからこそ敢えて、出産祝いに選んでいます。

だってこの絵本、本当に赤ちゃんの心を鷲掴みにする一冊だから。
是非とも出会って欲しいのです。

ごぶごぶ ごぼごぼ
じゃわ じゃわ じゃわ じゃわー
『ごぶごぶ ごぼごぼ』福音館書店

こんな風に、赤ちゃんの大好きな擬音が満載。
言葉や音に意味を既に意味を見出してしまっている大人からしたら、こうした音を本能で楽しむことはなかなか難しい。

「どういう意味?」なんて質問はナンセンス。
ここは心をまっさらにして、赤ちゃんと同じ目線でこの音を楽しんでみて欲しいです。


また、描かれている「形」も赤ちゃんのどストライクなもの。

丸い形は赤ちゃんにとってわかりやすく目につきやすいものです。

小さな丸い仕掛けは、長い期間赤ちゃんの興味関心を惹きつけてくれます。
「次は何がでてくるのかな?」というワクワクも、仕掛けによって促されます。


そして何より、色使いが秀逸。

青から始まるストーリーは、最後、青で終わります。
青という色は、人の心を落ち着けてくれる色。
すっと絵本に入り、盛り上がった心を、ちゃんと落ち着けてくれる。

大人の思う「起承転結」なんて、この時期の赤ちゃんにはわかりません。
でも、五感に訴えかけながら、気付けば赤ちゃんは絵本の流れを感じることができるのです。

黄色や赤はワクワクドキドキを増長させてくれる色。
そんな視点からこの絵本を開いてみると、色の使い方もとても考えられていることがわかります。

子どものめがねで絵本を見る


何となく、赤ちゃんにウケそう。
何となく、可愛くて赤ちゃんっぽい。
よくわからないこの絵本は、そんな風に捉えられない一冊かもしれません。

ですが、細かく紐解いてみると、こうした絵本こそが赤ちゃんの心の方をしっかりと向いている。
子どもの視線とぴったり合っていることがわかります。

絵本を選ぶ時は、限りなくその時の子ども達の視線に近付いてみることが大切です。

大人の視点で見たらやっぱり「よくわからない」この一冊は、そんな大切な本質をいつも教えてくれる気がするのです。

『ごぶごぶ ごぼごぼ』
駒形克己 さく
福音館書店 1999/04


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