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悩みを抱える地域おこし協力隊と、その関係者の皆様へ


先週開かれた青森県の地域おこし協力隊活動報告会で、この2年間のことをご報告する機会をいただきました。


そこで、悪い事例として他の人のために活かされてほしいと思い、

担当職員からの立場を利用したハラスメント的なことで悩んでいたこと、誰にも相談できずズタズタになっていたこと、そこに県の移住担当職員とサポートデスクから追い討ちをかけられたこと、

そしてもうそんなことが起きないように、皆様にお願いしたいことを話しました。


その後、会場で聞いてくださった方々から「共感した」「勇気をもらった」「話してくれてありがとう」といった声を、ご自身の体験と一緒に、驚くほどたくさん聞かせていただきました。
後からわざわざご連絡いただいた方もたくさん。

状況は違えど、青森県内には他にも嫌な思いをしたことのある・している人が大勢いるとわかりました。

ということは、きっと全国にもたくさんいるはず。

なので少しでも誰かの役に立てればという気持ちで、ここにも書いてみることにします。


◇◇◇


親戚も知り合いもいないIターンで移住した1年目。

担当とされた職員から、立場を利用したパワハラというか、セクハラというか、そんなものを受けていました。

それがいわゆるハラスメントなのではと気付いたのはかなり後のことで、

当時は環境がすべて変わって余裕がなかったのと、「憧れの青森に来たんだから楽しくないはずがない」というフィルターで、状況が全然見えていませんでした。


自分が困っていると気付いたものの、役所の人も仕組みもわからないので、誰に何を言うとどうなってしまうのか、怖くて誰にも言えずにいました。

役所の外の人に相談するにしても、誰がどんな人で、どう繋がっているのかわかりません。


仕事は担当職員と話さなければ一切進まない状況。
この人とうまくやれなければダメなんだと思っていました。

役所に行っても、市内のイベント等に出てもその職員がいます。
協力隊なので家も知られています。

まったく逃げ場がないと感じたので、最低限の仕事だけこなし、隙あらば理由をつけて市外に出るようになりました。ミッションに関係しそうなセミナーがあればすぐに申し込んで出ていったり。

家に来られてしまうので、仕事が終わった途端に秋田まで逃亡した日もありました。


その職員と2人で出張という予定が何日も重なった時期、吐き気が止まらなくなったのでもう無理だなあと思い、意を決して上司に相談。

そのかたが本当にうまく助けてくれたおかげで、わたしは「子どもの頃から大好きで生き甲斐になっていた青森」を嫌いにならずに済みました。


その後もやりづらさがあったので、何かいいやり方があれば聞きたいと思い協力隊サポートデスクにも少し相談しました。

あとは本当に近しい人のみ、片手でおさまる人数にしかこの話はしていませんでした。


◇◇◇


冬になり、県主催のお悩み相談会が開催されると通知された頃。

県の移住担当職員からメッセンジャーで、「風の噂で悩んでいると聞きました。相談会を利用しませんか」という旨の連絡がありました。


風の噂。
出どころは明白です。県との繋がりがありそうな人なんて、サポートデスクのみ。


専門機関とされるサポートデスクだから信用して相談したのに、そんな風にぞんざいに情報を扱われていたこと。まるで相手の立場に立てていない言葉を次々に繰り出す移住担当職員。

たくさんの不要な言葉と一緒に「ちなみに詳しいことは聞いていない」と言われましたが、そんなことはわたしにとって関係ありません。

トラウマです。

誰に何を知られているのかわからず、しばらく人に会うのが怖くなりました。


余談ですが、そのころ帯状疱疹になりました。

背中に出たので気づくのが遅れ、腕まで広がりました。一週間ほど寝ても座ってもいられず、痛みを紛らわせるため極寒の黒石で深夜徘徊していたときの気持ちは一生忘れないと思います。


◇◇◇


上司をはじめ市役所の助けにより、2年目に入ると同時に環境が変わり、この1年間はとても楽しく過ごさせていただきました。

きっと業務的にも精神的にもものすごく負担をかけてしまったと思いますが、ひとつも嫌な顔をせずに救ってくださった上司には本当に感謝しています。


◇◇◇


わたしのわずかな経験による主観に過ぎませんが、これから嫌な思いをする協力隊が少しでも減るようにお願いしたいことで、

いますぐ誰でもできて、これがあるだけできっと随分変わるだろうと思うことを書いておきます。


受入自治体職員の皆様へ

隊員が相談してもよい人を、なるべく早く、できるだけたくさん紹介してください。

悩みごとの性質によって相談しやすい人が変わるので、いろいろな年代や性別の人、役所の中はもちろん外の人もいてくださると嬉しいです。

なにかの専門家である必要はまったくなく、「この人になら話せる」と思える人が1人見つかるだけでよいので、選択肢がたくさんあるほど心強いということになります。決して難しいことではないと思うので、どうかよろしくお願いします。


県・サポートデスク等関係機関の皆様へ

相手の気持ちに配慮した言動・情報管理をお願いします。

毎日の業務だけで本当にお忙しいこと、現場から遠い位置にいらっしゃること、それがきっと役割であること、重々承知しています。

でも、移住者は移住・相談件数の実績にカウントされる数字ではなく人間なのにな、と思わされることがあまりに多いと感じます。

移住促進の事業や協力隊の募集など、やったらやりっぱなしに見えて(そう見えているだけだったらいいのですが)、一体何のために行われているのだろうと思ってしまうこともあります。

どうか画面や紙、数字を通してばかりではなく、もう少しだけ人を直接見てもらえるといいなと感じています。青森だけかもしれませんが…


隊員の皆様へ

わたしが言うことでもないのですが、どうか抱え込まないでください。体を壊す前に逃げるのは絶対に勝ちだと思います。

わたしは市内で話せなかったとき、市外・県外の友達にたくさん救ってもらいました。遠くの専門家より、近くの知り合いの方が心強いときもありました。

きっと助けてくれる人がいるので、どうか信頼できる人を(言い方はちょっとあれですが)見極められますように!


◇◇◇


いろんな理由や状況があると思いますが、遠い場所や知らない場所への引っ越しって、きっと自分が思う以上に一大事ですよね。

どうか傷つく人がひとりでも減りますように。



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