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嫌いだった夏とタンクトップ

タンクトップっておしゃれな今時レディはノースリーブと仰るそうですが、私はタンクトップといいます。

どちらにせよ私は肌を出すことが好きではありません。
汗を掻くのも嫌だし、日に肌が直接当たるのも好きじゃない。日焼け止めはもっと嫌いです、ベタベタするしそもそも肌にあんまり塗りたくない。さらさらしてたい。

あとなんとなく自分が女性であることを強調しているような気がするので苦手です。

私は男性になりたいわけでも、自分の性別に違和感を感じているわけでもありませんが女性として見られることにあまり居心地の良さを感じていません。特に見知らぬ方から性別を通してみられたくはないと思っています。

まぁ簡単にいうと痴漢とかをしてしまう方々に性的な目で見られたくないのです。

制服を着ている時はそれはそれは苦しい日々でした。もちろん着ているときにいつも憂鬱だったわけではないですし、制服自体はかわいかったですし、それを着ている私が嫌なわけではなかったけれど、自転車でなびくスカートを覗かれるのも、口笛を吹かれるのも、ここでは書けないような事をしようとされたことも、堪らなく不快でした。

突然カメラを向けられることもありましたが一体何のために彼らは犯罪を繰り返しているのでしょうね。

もちろん大多数の方が上記の様な方ではないのは重々承知しております。

まぁそんな話はさておき、兎にも角にも私は肌を見せることがあまり好きではありません。それは今でも変わりません。

なので長袖を着ると暑くて堪らない夏が昔から苦手です。

北風と太陽の話を思い出しながら、いつも長袖に手を通します。

汗も嫌いです。

運動や岩盤浴で流れるさらりとした汗とは違って張り付くようにじっとりと肌の上で光る汗が嫌いです。

髪も張り付くし、湿気で広がって不快でたまりません。

とはいえ、暑さにはやはり勝てません。
半袖を着ないで過ごすにはあまりに暑い季節です。

出来るだけ、ゆったりとした薄い長袖でやり過ごし、辛い時はダボダボのTシャツを着たりしています。

そんな私はお洋服を選ぶときに袖のないものを選べません。

自分の体型にコンプレックスもあるのでとても着る気にはなれません。

ですが数年前のある日、友人から素敵なノースリーブを頂きました。何かのお礼と言ってくれたけれど、その友人はいつも優しく私にたくさんの言葉をくれる方です。

とても嬉しかった半面、似合うだろうか等を考えてしまう自分がいました。

その友人は似合うと思って、と青くて爽やかなボーダーのタンクトップを選んでくれたのに。

私の大好きで、けれど自分では選べないような鮮やかな青でした。

私の持っていないような服でしたがあつらえたようにぴったりで、なんだか似合っている気もしました。

今でもその洋服を着ると嬉しくなります。

なかなか外に着て行く勇気が出なかったけど、それよりも嬉しさが強かったので着て外に出た日、それはそれは楽しくて素敵な1日になりました。

似合うと言ってくれた友人の優しさに私は確かに救われたと思います。

今でも彼女はとても素敵な私の自慢の友人です。

夏は今でも苦手だけれど、友人から貰ったこの服を着れると思うと少しわくわくしたりします。

夏の朝は憂鬱だけれど、このお洋服が毎日の選択肢にあることがとても嬉しい。

最近は自分でも袖のない服を買ってみたりもしました。

数年前に貰ったお洋服と言葉だけれど、今でも私の中では夏の太陽よりきらきらとしています。

毎年、夏を思うと、この事が脳裏に浮かびます。

私はきっともう、夏のことを嫌いにはなれないでしょう。

私の過ごす夏はきっとこれからいつまでも、この思い出で眩しく感じられると思うから。



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