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言葉狩りハンター「免疫力が上がる」編

単語もしくは慣用句などの誤用の中でも、ニュアンスが微妙なものや、使い方が入り乱れているものに対しても鬼の首を取ったように、マウンティングに乗り出す行為のことを"言葉狩り"と呼んでます。

完全に誤用であれば指摘されるのも仕方ないが、中には「時代と共に意味が変わっている」「広義では合っている(その意味で広く流通している)」ものもあり、そういった言葉狩りはスムーズなコミュニケーションを阻害するだけでなく、言葉狩りを恐れるあまりに人々その言葉を使わなくなり、その言葉自体がなくなってしまう。いわばひとつの文化が消滅するともいえる、凶悪な行為なのです。その脅威から人類を守るのが言葉狩りハンターです。


今日のテーマは「免疫・免疫力があがる」です。

いまの社会的な状況においてよく聞くようになりましたね。

(ちなみに『免疫』と『免疫力』で意味するところが変わるようだが、そんなん素人は知らんがな。調べてみたけど割愛。)


代表的なフレーズとしてはこういうパターン

「◎◎を食べて免疫を上げよう!」

「そんな悲観ばかりしてたら免疫力さがるね良くない☆良くない☆」

これに対して邪悪なる自称専門家から

「はぁ?免疫ってそもそもね…」という講釈が始まる。


「免疫は(インフルエンザワクチンの様に)一度抗原が体内に入って初めて抗体を得られるから、抗原ではない食べ物などを食べたところで意味はない」と豪語していた。

『自然免疫』についてどうなのか知りたいところだが、さらには…

「免疫を無理やり上げてはいけません!アレルギーや花粉症は免疫が暴走しているから、免疫を上げるってそういう恐ろしいことですよ」と警告してくれる。

この説明が正しいとしても疑問なのが、その人が推奨した『免疫を上げる方法』がこのような事態を招く可能性があるのかどうか?(例えば「楽しく笑って明るく過ごしましょう」を実践すると免疫異常が起きるの?)

知識をひけらかしたいのか、親切心で訂正してくれているのかわからんけど、知りたいのは「その方法が良いの?悪いの?」であって、正確な言葉づかいはどっちでもいい。論文やニュース上で使うには正確さは求められるが、雑談にまでそんな正確さを求めるな。

おそらく「免疫力あげましょー!」と言う言葉が本当に意味しているところは、「食事や睡眠の質を上げてカラダの基礎をしっかり作って、自律神経を整え、異物が来ても簡単には負けないようにしましょう」ということだと思う。

そういう難しいことを考えなくても、体調が悪ければ、カラダの機能は低下する。免疫の機能だって落ちるように思えるから、もう言葉チョイスが不適切でもそれはそれとして「そうした方がカラダにいいですよね」ということで立ち去って欲しい。


そんなこんなで、こういう言葉尻を捕らえて、とやかくいう風潮が強まると気軽にやり取りができなくなるので、言葉狩りの罪は重いと考えております………と言いつつも、やたらと「免疫あげようゼ」っていう言葉ばかり見ていると、それはそれでうっとおしくなってくるので、気持ちは理解できます。

これは大衆側にも原因はあって、なんとなく専門用語が入っている方がもっともらしく聞こえて反応する私たちもいけない。わざわざ難しい言葉を使わずに普通に「元気にすごしましょう」でいいけど、それじゃ普通過ぎて動かないでしょ?

なお、自分に意見やアドバイスを求められた場合は

「そもそも『特定の果物を食べる』とか『何か1つの対策をすればゼロリスクになる』とかそういうものではないので、まずはそういう甘ったれた根性を治すことが一番良い」と伝えています。



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