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地域の課題に触れる。まちづくり会社で取り組む空き家対策その他

まちづくり会社で取り組む空き家対策

地域おこし協力隊の活動の傍ら、まちづくり会社(まちづくり三原)の活動に今年度から加わっています。

そうしたなか、先日、国土交通省が実施する「令和5年度 空き家対策モデル事業」の採択結果が公表され、まちづくり三原が実施する、地域の空き家を活用した創業・移住促進事業も選定されました。

この事業は、全国の自治体や民間事業者等の実施するモデル的な空き家対策の取組に、国が支援をするもので、まちづくり三原の採択されたモデル事業は、まちづくり会社の創業支援機能を生かし、地域の自治組織や専門家と連携した「空き家活用×創業・移住促進」を行うものです。

テーマ3 新たなライフスタイルや住居ニーズに対応した空き家の活用等

株式会社まちづくり三原
【事業概要】

地域活性化に資するまちの担い手づくりのため、空き家を活用した創業・移住等の促進を目的とし、地域の自治組織や法務・建築等の専門家等と連携した空き家調査、活用相談会、活用希望者向け空き家ツアー、創業イベント等の事業を実施する。

【取組内容】
①自治組織等と連携した地域の空き家調査
②専門家(法務・建築)と連携した空き家活用・マッチング相談会の実施
③空き家・空き店舗見学ツアーの実施
④空き家を活用した創業イベントの実施
⑤その他、個別相談対応や事業結果取りまとめ等

空き家対策の課題解決を図るモデル的な取組を決定(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001619919.pdf 
(別添1 R5年度採択事業一覧) 14頁 テーマ3 No.29より

全国的に課題となっている空き家対策ですが、三原市においても他の地方都市と同様に人口流出による空き家の増加に加えて、かつて製造業で栄えた中心市街地周辺は工場縮小等により人流が減少し、中心市街地にも空き家や空き店舗が出てきており、徐々にまちのにぎわいが低下していくという課題があります。

まちづくり三原では、これまでに移住定住促進事業やマルシェイベント、創業支援など、地域の人材が活躍するイベントや場づくりを行ってきました。こうした活動を一層拡大し、地域に存在する空き家を創業や移住促進に活用することで、地域の空き家問題の解消と、新たな事業や人材が生まれる「まちの担い手づくり」をこの事業を通じて目指していきます。


私自身は地域おこし協力隊の活動を通じて、地域商社としての事業の展開を目指していますが、そのメニューの1つである空き家に関しては、まちづくり三原の空き家活用事業の担当という顔で今年度から取り組んでいるところです。
一方、まちづくり三原の今年度の空き家活用事業を計画する段階で考えていたのは、三原市の地域課題への取組としての空き家活用を、どうやって地域の人たちや全国の同じ課題を共有する地域にも知ってもらえるか三原市でこれから商売を始めたりする「まちの担い手」とのつながりを、どうやって空き家課題を通じてつくれるか。という点でした。

そうしたなかで、まちづくり会社が空き家活用の初期負担やリスクを軽減させることで創業のハードルを下げ、地域で稼ぐ場づくりを行うというモデルを、国土交通省の実施するこの事業の枠組みの中で、まずはスモールスタートさせる構想に至りました。

市内の空き家の窓から

地域の活性化において、補助金を使った事業を行うことについては賛否が分かれるところかと思います。地域活性化の分野で影響力のある方の発信を見ると、補助金に依存した地域事業のモデルは支出も過大となりいずれ更なる衰退を招くといった形で、補助金に頼らず地域が知恵を絞って取り組むべきという指摘があります。
また、こうした有識者の方の視点だけでなく、実際に地域の方と他の事業を検討していく中でも、補助金はできるだけ使わずに自分たちでやれることからやりたいという意思をもった地域の方ともお会いする機会もありました。

どちらの視点にも共感する部分はあり、今回の事業モデルを考えていく中でも悩ましく思ったのですが、結論として、①地域の人たちや全国の同じ課題を共有する地域に三原の取組を知ってもらう、②三原市の「まちの担い手」とのつながりを空き家課題を通じてつくるという2点を重視し、今回の事業を申請することを選びました。

形上は補助事業ということもあり、見る人によってはあまりよく思わない方もいるのだろうとは思いましたが、この事業を通じて三原市での取組をまずは広く知っていただくきっかけとできればと思いつつ、採択された事業にこれから本格的に取り組んでいきます。


地域の課題に触れる

また、最近は地域の方から、地域の課題となっていることをご相談いただく機会が増えました。

私の活動自体は、他の三原市の地域おこし協力隊の方のように、農業や畜産・狩猟などの一次産業、またはゲストハウスのオープンに向けて空き家改修に取り組んでいるなど、形のある活動をまだしているわけではありませんので、何をしているのかわかりにくいのかなという自覚がありました。

ですが、地域おこし協力隊の方や、関係人口系の活動を通じてお話をさせていただけた方などから、少しずつ地域の困りごとや新しくやりたいことなどのお話を聞かせていただくことができ(遊休施設を活用できないか、体験型農園を開設したい、離島での保育サービスをつくりたい、など)、そのたびに、新鮮な地域課題の情報に触れ、新しく国や行政の方向性や制度などを学ぶきっかけを得ています。

農作業のお手伝いなどを通じて、体験型農園のご相談へ

先に述べた補助金に対する見方にも関わりますが、地域で何かに取り組むにあたっては、リスクを見極めて実現可能なことからスモールスタートするためのステップとして、国などの制度の活用が有効な場面もあります。
実際、地域には行政がわかりやすく支援している事業ではカバーできない細かな課題が多くあり、そうした課題に向き合うために必要な、国の全体感の中でマッチする制度を活用していくことが不足してきたように感じています。

また、地域で何かの課題に取り組む際に、必ず考えないといけないことが、「誰がやるのか」というテーマです。この、「誰がやるのか」問題について、良くも悪くも地域(それもごく限定的なコミュニティ)の課題にさらされている当事者のみで考え込んでしまうことが多い。
こうした課題に一体で取り組むべく、「誰とやるのか」といった目線で、地域内外のプレーヤーを巻き込んでいくための関わりづくりも必要ですが、こうした動きも地域は苦手としている印象です。


(個人的には幸いというか、)地域が不得意な、そうした制度の活用や地域外との連携という分野は得意な方なので、こうした地域課題に向き合う地域の当事者の方たちには、今後も私を「使ってみる」感覚で気軽に相談していただきたいと思っています。

そうして地域課題に触れていく中で、かつて重厚長大な産業で栄えた三原市から、着実にスモールな事業に取り組む個々の「まちの担い手」を三原市につくっていけたら、近い未来、何かにチャレンジする人が集うまちとして、三原市の新しいアイデンティティを内外で共有していけるのではと思っています。

7/8 あいにくの雨天の中、まちづくり三原の開催した「瀬戸内みはら美味しいマーケー」

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