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 言い切ると傷つく人がいるかもしれないので少しだけ付け足しました。


 

バレエレッスンのえこひいきは

「ある程度は仕方がない」 




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 バレエを楽しんで気楽に踊るのではなく、プロを目指す人はよりきっちり踊れるようになるため指導者も目をかけないといけません。そういう意味での先生のえこひいきは芸術バレエの性格上、仕方がないと思います。子供の時にわたしがいたお教室は大きなバレエ団の支部だったのですがその支部からも少ないですがプロが出ています。わたしはその過程もつぶさに見ています。

 子供の時に同じ時期にはじめた仲間の一人が先生に目をかけられ、舞台で一人躍らせてもらえました。クラスでは一番上手だと思っていたのでそれは当然でしょう。その次に上手な人は四人で踊る小作品に挑戦です。子供ながら己の実力を知っていたのでソロは無理なのはわかっていた。でもその小作品にすごく出たかった。とてもかわいい振り付けで数十年たった今でも覚えているぐらいです。でもすでにあきらめがついていました。

 あの子たちと比べてわたしはへただったし、先生の物腰が明らかに違いましたから。

 先生は上手になってほしい子には本当に厳しい注意をしていましたから。

 わたしは教室の後ろでその他大勢役の人たちと一緒になって、レッスン場の真ん中で短いソロを踊りきったコを見ます。そのコは立ったまま息を切らし両ひざに両手をやり背中を曲げながら息を整えて先生のふりつけのダメ出しを聞いていました。先生は厳しいです。

 今でも覚えています。

 同時に先生と一対一でこんなに注意されまくりながら踊るよりは、みんなでレッスン場の後ろの壁に背中をつけ、床にべったりとお尻をついて見学してる方が気楽でいいや、とも考えていました。ソロレッスン見学どころか時間つぶしに漫画を読んでいるコもいましたが、先生は黙認です。頭数そろえ扱いされていたのがわかりますね。


 大人からバレエを始めた人はその感覚がわからないものかもしれません。大人バレエだとプロになるという問題はなく、まず楽しく、が身上なので。

 子供からバレエを始めた人はバレエの演目で舞台で踊る位置関係や踊る役割で一見えこひいきに見えるかもしれないがこういうものだと納得できるのではないでしょうか。

 数的にはソロを踊るコよりもその他大勢のおけいこごとの範疇で終わってしまう人が多いのですから。

 もちろんえこひいきがすぎて、先生が子供相手に全く何も教えないというのは問題だとは思いますが。


 ソロで踊る機会が積み重なりコンクールでも賞をもらうようになると、プロになることが視野に入ります。プロのバレリーナになるということは、舞台の上で数時間ポワントを履いて踊るということです。群舞のことをコールドというのですが、コールドでも著名なバレエ団に入るのは大変です。ましてやプリマと言われる身分になるとプリマにしかできない踊りがあります。それを何幕かある舞台を通しで踊りきるというのは体力面でも技術面でも至難の業です。技術的にもトップをとらないといけないし、精神面でもうんと強くならないといけません。

 あるバレエ漫画で主役をもらうことを先生から聞かされ「これでお友達がいなくなるけど大丈夫よね?」 と言われるシーンがあったがわたしはそれがよくわかる。主役をとったことでわたしたちとは違うという意識を持たれたり他の生徒と距離感を持たれます。目立つことで理不尽な陰口を言われたりする可能性も大きい。また自分だけの振り付けがあるということは先生以外に相談相手がないということ。その子の性格と環境によりそれはプラスにもマイナスにも作用する。孤独、自意識過剰……レッスンに邁進すればいいだけの話ですけどね。

 ローザンヌで賞をとったある娘さんは、レッスン前後も同じお教室仲間と群れ合うというかおしゃべりを一切せず、無言で着替えて無言でレッスンに励み無言でまた私服に着替えて無言で帰宅していくコだったとか。

 わたしはそのコのことを「人間関係の機微を見通し無用なトラブルを避けることができる賢いコ」 だと思いました。そのコは楽しい思い出が作れるお友達バレエよりも厳しいプロの世界で踊りとおすことを若い身空で選んだとも。

 どちらが幸せかは人それぞれですがプロとしての心意気をいうならそのコは潔いですね。

 わたしの文面でどこまで読者様に意図することが通じたかはわかりませんが、今回はそういう話でした。











後書き編集

著者より:お教室もしくは先生の方針で徹頭徹尾生徒一人に絞り注意するところもあります。そういったやり方も私は否定しません。その場合はたとえ幼児クラスでも先生のおっしゃる言葉はすべて自分の糧とする自意識を持たせたらすごく上達するでしょう。

 私見ですが幼児や小学生低学年の初心クラスではまだ思考も幼いことを踏まえ、バレエの上達に関し劣等感を持つよりも自己肯定感を持たせ、まず楽しむということを一番に教えてほしいと思います。少なくとも私がいたお教室は下手な生徒はまるきり無視するうえ、覚えが悪いと頬や背中、腕を叩かれました。バレエが好きなのに先生から嫌われていると劣等生同士で発表会のレッスンの合間に一緒に泣いたこともあります。えこひいきについて、とかくいろいろな方からご意見もいただきますので新たに書き添えてみました。どなたさまのご意見も私は尊重します。そして感謝いたします。(令和元年7月吉日 記)

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