美咲

表参道会社員という肩書きだけを持つ、最底辺の女。強すぎる自己肯定感だけがこれまでの紆余…

美咲

表参道会社員という肩書きだけを持つ、最底辺の女。強すぎる自己肯定感だけがこれまでの紆余曲折した人生を支えてきた。既婚、子なし。わけあって文字を残しています。

最近の記事

nymphomania

彼女にとってセックスはただ楽しいことであって、例えばキスをしたり、手を繋いだり、否、ただ対話することと同じことだと考えていた。 もしその行為に意味を与えるなら、それは自分次第。意味のないセックスもあれば、最高に官能的な対話もある。 辛いセックスや、苦しいセックスは存在しない。身一つで可能な、相手と共有できる(相手以外とは共有できない)娯楽の最たるものである。 彼女は嘘を吐くのが苦手だった。他の何よりも嘘を吐くことが、特に自分を欺くことが一番罪悪感を持つことだった。 そうは言

    • 呪い

      3年前に家出した母は、近所にアパートを借りて一人暮らしをしている。家族の食事会にも来るし、私の結婚式にも出席した。ただ、今までのように父と妹の住む家には帰らない。それだけが3年前までと違うこと。 母は金銭的に困っている。そのため、しばしば父が不在の間に家事をして、父からお小遣いを貰っている。もちろんそれだけでは生計が立てられないため、アルバイトも掛け持ちしている。50歳を過ぎて始めた、初めての一人暮らし。少々無理をしているのが心配なものの、隣人に野菜をもらったり、バイト先で

      • 日記

        最近観た映画 エリザベスタウン プリティウーマン ランナウェイブライド 最近観たドラマ 愛していると言ってくれ 新・東京ラブストーリー 最近聴く音楽 RHIMESTER PUNPEE SIRUP ZIN Soulflex 中延にある 席で煙草が吸えて人情のある優しい中国人のおかあさんがやっている飲み屋で 仏文科の仲間たちと飲んだ 旦那は仕事に疲れて眠ってしまった土曜の夜 一人で白ワインを飲みながら いつか私が年老いて 目も見えなくなって身体も動かなくなって 世の中

        • 短い

          瞳に映るときめきは お皿ごとおいしくする魔法 何度細胞が新しくなっても 必ず浮かべることができる景色 モノに移った記憶 君がくゆらす線の滑らさと 長い指の節の曲がり方 背徳を包み込むくらい眩しい日向の中で見る 少し暖かいだけの恋 その鮮やかさは光の化身 見えない色を吸収し 目に映る色だけを跳ね返して うすい瞼のような柔らかさ まるで骨の形まで見える、握れば壊れそうな指 笑うとまあるくなる滲んだように色づく頬 根元が伸びたマニキュア 長さの揃わない毛先 昨夜はいつもの

          同じ白 あんなに真っ暗だった夜が突然、でもゆっくりと去った後すぐの空と たくさんの人に踏まれた雪が、枯れ葉や塵を含んで溶けて固まって潤んでいるような表面 窓から差し込む光に当たって、光る君の鼻のふちどりと 街明かりの遮られた西表島で見た夜空の、爪楊枝で開けた穴から漏れる光のように見える星 ゆでたまごの滑らかな白味の切り口と オパールの輝き

          生活とそれ以外

          「どうしよう眠たくないよ」と午前1時、慌てて就寝する前の君に言うと「無理して寝なくてもいいんじゃない」と言う 午後5時こんな時間から湯を張って「また3時間も入ってしまうかもしれない」と言うと「全然へいき」と言って私が上がるまでゲームをしている 最初に決めたのに最近あんまり家事をしないことを少しだけ指摘したら、ある午前、朝ごはんを食べる前に山積みのシンクを2秒ほど見つめた私に君は「洗うよ、今面倒くさいって思ったでしょ」と言って、私をソファに座らせてお皿を洗う 手を洗ったあと「タ

          生活とそれ以外

          遺品の中にあった、折り畳み式の携帯電話に画質の粗い写真が入っていた。 もう会えない人は、一緒に写っている二人の方に身体を向けながら一番左に立って笑っていた。 その写真の光景は、私にとって記憶にはない場面だった。そして記憶にあろうがなかろうが、写真はたった今現実に存在したばかりで、過去でもなく時空を超えてもなくひたすらに目の前にある光だった。この瞬間この場所に存在を証明するただの光だけがあった。 確かにそこにいた彼を思い出す。もし宇宙に太陽がなければ、世界に光が当たらなけれ

          夕焼けがここに来る前のベージュ色した空 まっすぐ伸びた線路が、身ひとつで歩いたとしても迷わず次の駅まで辿り着けそう 数分毎に電車が滑るとき、私が歩くつもりだと知っていて導くような遅さで、でも同じくらい私を無視したような速さで 見えるギリギリの終わりまで吸い込まれていく 線路を見下ろす私を挟んで反対車線の歩道には、深緑色の大きくて丸い葉をつけた木がしな垂れて、灰色の地面に影を作っている 初めてじゃない 仕事で行った富山駅で路面電車を乗り間違えて、知らない橋の向こうへ辿り着い

          青色

          今夏の装丁にしたくなる空 目の奥が痛いくらいの溌剌 あのまっくろな宇宙に太陽が溶けた色 目を瞑ると汗ばむ身体と夏の境目がなくなって コーヒーフロートのグラスに青色の水滴

          自己紹介

          わけあって 言葉を投稿はじめることにしましたので 自分という人間を要約しておきます ◎生い立ち91年夏生まれ 阪神淡路大震災で箪笥が倒れずに生き延びる 自我が生まれてからはほとんどを横浜で過ごす シャイな小学生時代を経て 中学受験で都内女子校へ入学、勉強をサボる (生物と化学は学年で下から2番目) 帰宅部でバイトもせず恋もせず 私立文系四年制大学へ入学、勉強をサボる 生産性のない飲み会のため、様々なバイトをする 次のビールを入れるために吐く技術を習得 卒業後、普通のサラリー

          自己紹介

          バックナンバー

          はじめまして まずはクソ恥ずかしい昔の文章を 置いておきます コケティッシュ爆弾 http://3eee7yan.blog.fc2.com/

          バックナンバー