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一人飲みから始まった焼酎の旅
三軒酎屋で、こんな事起きないかなぁ…。
って理想の展開をショートショート小説の様に書いてみました。
三軒茶屋の雑多な雰囲気が大好きで、2年前にこの街に引っ越してきた29歳のはなこ。
人とのコミュニケーションが苦手というわけではないけれど、飲みに行くのはもっぱら一人。
仕事はライターで、いつも何かしらネタを探している。
知的好奇心旺盛な彼女は、女盛りの今、体型の変化にも注意しているため、飲むアルコールはハイボールに決めている。
蒸留酒はプリン体・糖質がゼロと聞いたからだ。
ある日、いつものように馴染みの居酒屋で次の仕事のことをぼんやりと考えながら一人でハイボールを飲んでいた。
すると、店のドアが開き、法被を着た男性が数人入ってきた。
居酒屋の店主が大きな声で彼らを紹介すると、鹿児島から来た焼酎蔵の方々だという。
「せっかく蔵元が来てるんだから、本格焼酎に挑戦してみようかな」と思い立ったはなこ。今まで焼酎は臭くてオッサンの飲むものという思い込みで敬遠していたが、実際に体験してみるのも良い機会だと思った。
蔵元は熱心に焼酎造りへの思いやエピソード、豆知識を語ってくれ、丁寧に芋焼酎のソーダ割を作ってくれた。その香りは今まで想像していた芋焼酎の臭いとは違い、紅茶のような香りで、蜜のような甘い香りと共に鼻腔をくすぐった。
「うわぁ、良い香り…。」と思わず独り言のように呟くと、蔵元は嬉しそうに解説を付け加えてくれた。オレンジ芋がどうとか言っていたが、はなこはその時、初めての芋焼酎ソーダ割を飲む口へと神経を集中させていた。
「えっ!紅茶みたい!これ本当に芋焼酎なんですか?」
その2へ続く
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