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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #29

こちらの続きです

『目覚めの悪夢』②解決編


 悪夢に悩まされるドーンスターの人々を救うため、エランドゥルさんに連れられてヴァ―ミルナの聖堂へ足を踏み入れます。吹き抜けのガラス窓から、元凶であるヴァ―ミルナの秘宝、堕落のドクロが見えました。

なんそれ

 聖域へと続く道が、青く光る霧のようなもので通り抜けできなくなっています。エランドゥルさんは舌打ちして、「ミアズマが解放されたときに司祭たちが障壁を起動させたに違いない」とつぶやきました。
「どこかに障壁を避けて通る道があるはずだ。図書館で確認してこよう」
「ずいぶん詳しいですね。さすがです」
「…もう隠しておけないようだな。この聖堂に関する知識は、直接経験して学んだものだ。察しの通り、前はヴァ―ミルナの司祭をしていた」
「えっ、そうなんですか。すみません、ただの廃墟オタクかと思ってました」
「……私はオークの襲撃を受けた時、ここから逃げ出したんだ。他の兄弟たちを見殺しにしてな。この数十年、後悔の念に苛まれながら、マーラからの贖罪を求めて過ごしてきた。マーラの博愛の力によって、今こそ自らの過ちを正す時だ」

そうだったんですね

 人々のために自らこんな危険な場所へ乗り込むなんて、同じ聖職者でもキナレス聖堂のダニカさんと大違いだなんて思っていましたが、まさか原因の一旦を担う当事者だったとは。

 図書館に行くと、倒れた本棚の間から眠りについていた司祭やオークが次々に起き上がり、破壊術や両手斧で襲い掛かってきました。その俊敏性たるや、寝起きの行動力とは思えません。もしかしたらこれもヴァ―ミルナの力によるものかもしれないですね。
 エランドゥルさんも、かつての仲間たちを容赦なく焼き尽くし、静かになった図書館の中を歩き回りながら「本を探せ。『夢中の歩み』と書いた本を探すんだ!」と指示しました。
 言われた通りそれらしい本を探して持っていくと、エランドゥルさんは大喜びで本を貪るように読み始めました。

「マーラに祝福あれ!障壁を避けて最奥聖域へと入れる道があるぞ」

「……ヴァ―ミルナの不活性薬として知られる薬が必要になる」
「薬?」
「そうだ。不活性薬を飲むと、ヴァ―ミルナの司祭たちが『夢中の歩み』と呼ぶ能力を得られる。夢を利用して、現実世界と遠く離れた場所へ移動できる力だ。自分自身の目と肉体を通して、他人の記憶を見ることができるんだ」
 聞けば聞くほど訳がわかりません。飲んだ人が、他人の夢を見て、現実の体ごとその夢の場所に移動できる薬?
「それは…すごい効果ですね。でもエランドゥルさん、それを飲む気ですか?下手したら戻ってこれなくなるのでは…」
「マーラに宣誓した司祭である私には効果がない。不活性薬が聞くのはヴァ―ミルナの司祭、または部外者だけだ」
「……ん?」
「信用しろ。『夢中の歩み』はヴァ―ミルナではよく知られる伝承だ。残念ながら、まだ実際にこの目で見たことはないが」
「え、えーと?」
「さぁ、いこう。薬は東棟の研究所にあるはずだ」
 エランドゥルさんは本を閉じると、目を合わせずに駆け足で図書館を出ていきました。
 私、得体のしれない薬を飲まされようとしてますよね?

 東棟でも目覚めた司祭たちやオークが殺し合い、我々に気づくとこちらへ襲い掛かってきました。なんとか錬金術の素材や薬で溢れる研究所に着き、不活性薬を見つけると、エランドゥルさんが封を切り、
「さぁ飲んでくれ!」
と瓶を押し付けてきました。
「い、今!?ここで!?」
「お前には残りの道も示してもらう必要がある。気持ちはわかるが、必ず上手くいくと約束しよう。マーラの名の下に!」
 いや私そのマーラさんのことも知らないので、なんの担保にもならんのですが?

今度は逃げんなよー

 黒っぽい液体に顔がゆがみます。一度息を吐き、一気に飲み下しました。
「う、うげぇ」
 予想出来てましたが、おいしくない・・・・そんな感想が駆け巡る脳内から、意識が離れていきます。目の前が白く光り、そこからぼんやりと視界が開けて…

 二人の男性が鬼気迫る表情で話し合っています。

「オークは最奥聖域まで入り込んだ。兄弟」
「なら、我々に選択肢はない。ミアズマを放出しなければ」

 私は知っています。ノルドの男はソレク。ダークエルフの男はヴェーレン。二人とも、私の兄弟。ヴァーミルナの献身者。
 聖堂はオークの襲撃に遭い、このままだとヴァーミルナの秘宝『堕落のドクロ』を奪われてしまうのも時間の問題でしょう。その最中、幹部である我々はミアズマの放出について議論を交わしているのです。
「お前はどうする、カシミール。ヴァ―ミルナの意思に仕える心構えはあるか?」
 ヴェーレンに問われ、私は答えます。
「あぁ、準備はできている。これで終わりにしよう」
 ヴェーレンは深く頷き、私に言いました。
「カシミール。お前は障壁を作動し、ミアズマを放出してくれ。邪魔はさせん。ソレクと私はここに残り、命がけでドクロを守る。さぁ、終わりだ、さらば兄弟よ!」
 こみ上げる感情を抑え、振り返らずに走ります。

兄弟たちがオークと戦っています。
これを引けば…!

 鎖の仕掛けを引いた途端、意識が遠のきます。気が付くとそこは同じ場所でしたが、松明の灯りは消え、紫色の光が稲妻のように眩しく光っていました。

おお?

 よく観ると光は障壁の元となっている魔法のようです。その源となる魂石を取り外すと、光と共に障壁が消えうせ、通路の向こう側には狼狽した様子のエランドゥルさんが立っていました。
「う、うまくいったぞ!マーラに祝福あれ!」
「はぁ、何が何だか…」
「不活性薬を飲んだ後、お前の姿は消え、あちら側で具現化されたんだ。こんなのは今まで見た事がない…」

でしょうね

「とにかく、これで障壁はなくなった。ドクロのある場所へ行き、ドーンスターの問題はこれで終わりにしよう」
「はい。これで終わりに…ん?なんだかどこかで聞いたような…」

 エランドゥルさんと共に最奥へ向かいます。夢の中で見た光景と同じ、居住空間。眠りから覚めてもなお、戦い続けていた司祭たちとオーク。
 そうして行きついた先で、二人の男たちが立ちふさがりました。エランドゥルさんが叫びました。
「ヴェーレン…ソレク…生きていたのか!」

夢で見た人たち!

「礼は言わないぞ、カシミール」
 カシミール?私が夢で呼ばれた名前です。エランドゥルさんが答えます。
「その名はもう名乗っていない。今の名はエランドゥル。マーラの司祭だ」
 なんと、あの夢がエランドゥルさんの過去、カシミールの記憶なのだとしたら、エランドゥルさんこそミアズマを放出させ、障壁を張った諜報人ということですか。
「裏切者め。俺たちを見殺しにし、ミアズマの影響を受ける前に逃げ出しやがった」
「違う。ただ…怖かった。眠る覚悟がなかったんだ」
 まぁ怖いですよね。自分の恐怖を差し置いて、目的のためなら身内だろうと犠牲にできる。それがカシミールであり、エランドゥルさんなんですよね。

怒る気持ちはわかるよ。

 しっかり眠らせといて、やっと起こされたと思えば守っていたドクロを破壊しに来るなんて、キレても仕方ありませんね。
 とはいえ、このドクロがあると今後もドーンスターの人々が無用な悪夢に悩まされることになってしまいますので、二人には永遠の眠りについてもらいました。

 エランドゥルさんが祭壇に上り、呪文で障壁を取り除くと、頭の中で声が響きました。女性の声です。

うっ脳に直接…

『この男はお前を欺こうとしているのですよ…儀式が終わりし暁にはドクロが解放され、エランドゥルがお前に襲い掛かるでしょう』
 この感じ。知っています。デイドラの王お得意の、テレパシー命令です!
『急ぎなさい!奴を殺してドクロを奪うのです!ヴァーミルナが命じます!』

どうしよっかなー

 まぁ、襲われたらやり返すだけなので、とりあえず傍観します。

 しばらくするとドクロが消えうせ、ヴァ―ミルナの声も聞こえなくなりました。疲れ切った様子のエランドゥルさんが階段を下りながら言いました。
「辛い表情に見えたら許してほしい…この聖堂のせいなんだ」

おつかれさん

 エランドゥルさんは今後もここに残り、入り口に拵えた小さなマーラの祠で祈りを捧げるそうです。きっと兄弟たちの魂を鎮めるため、あるいは贖罪のため。
 何かあれば力になる、と約束してくれました。

これで悪夢は終わったのか

「おかえりなさいませ」
 塔を出ると、入り口で待たせていたジョディスさんが、ほっとした表情で迎えてくれました。寒い中で待たせちゃって、申し訳なかったですね。
「ご無事で何よりです」
「無事、というか、なんというか」
「大丈夫ですか?中で何があったんですか?」
「いやぁ、悪夢のような一日でした…」
 口の中にはまだ黒い液体の味が張り付いています。

ただいま

 説明の前に、温かい場所でハチミツ酒でも飲みましょうと提案し、ジョディスさんを連れてドーンスターへ戻ると、衛兵に話しかけられました。
「いまいましい悪夢もついに止まった。何があったか知らないか?」

知らない方がいいと思いまっせ

 どうやらドーンスターの人々を悪夢から救うことに成功したようです。これでまた安心して眠りにつくことができるでしょう。

 悪夢は恐ろしく、時に精神を蝕みます。悪夢を見たいという人はいないはず。それなら、なぜあの司祭たちはあれほどまでにヴァーミルナに陶酔、熱狂していたのでしょうか。
 
 今度エランドゥルさんに会ったときに聞いてみましょう。教えてくれるかはわかりませんが。
 

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