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#85 妖精の棲む森の女神

しばらくフクロウ便でOliviaと文通をした後
やっとしっかりと時間を取れる日がやってきた。

カラスが騒がしく鳴く中で
Oliviaが送ってくれたフクロウに預けた
最後の手紙には、週末に行くと書いておいた。

季節はもう真夏だった。


私は、またあの鍵で”あちらの世界”へ行った。

Oliviaのいる街もカラッと晴れて暑かった。

Oliviaのカフェに向かうと
ちょうどティータイムで賑わっていた。

邪魔してはいけないと思い、
私はまた先に妖精のSophiaに会いに行こうと決めた。


鍵屋で精霊の宿る樹の扉の鍵を手に入れ、
妖精の森の奥地へ着いた。

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以前Sophiaと出会った場所へ向かうと
前回と同じようにブツブツと
何か楽しそうに話しているSophiaの後ろ姿が
目に入った。


私が近づくと同時にSophiaが驚いたような声を上げながら
私の方を振り向いた。

「ホント!?
わぁ!ホントだぁ!」

どうやらまた近くを飛ぶ蜂たちが
私が来たことをSophiaに教えたようだった。


「Sophia、久しぶり!」

想定より早く、
まだ少し離れた位置でSophiaが振り返ったので
私は早足でSophiaに寄っていった。

「M.ちゃん!久しぶり!
待ってたよ!ずっと!」

「蜂たちがいる限り
Sophiaに忍び寄ることはできないみたいだね。
元気にしてた?」

「うん!ずっと
森の女神様にお願いしてたんだぁ!」

森の女神様?

「そう!森のどこか、とっても美しいところに
とっても美しい女神様がいるの。」

「森の”どこか”って?」

「誰も場所は知らないよ。
”女神様に選ばれたモノだけが
限られた時だけ行ける場所”
本にも書いてあるよ。」


そう言いながらSophiaは
小さくて薄いポーチの中をガサゴソと探った。

明らかに本が入っているようなサイズではないポーチだが
きっと中は魔法で広くなっているのだろうと
私はその様子を見ていた。


「うーん…
今日は持ってないみたい。
このあとの学校の本でいっぱいだから…」

「そうなんだ。このあと学校があるの?」

「うん!今日は日が暮れてからなの。
夜の森での授業だもん。
今日は夜光花の勉強だと思う!」

夜光花!光る花!?見てみたい。」

「この前は光るキノコのお勉強したし、
光るお花もいっぱいあるよ!
M.ちゃんも来てよ!」

「行きたい!でも今日は、
日が暮れるまではいられないなぁ…
街で人と会う約束があって。」

「そっかぁ…」


Sophiaはとても残念そうに下を向いた。




これが妖精の棲む森の女神の存在
知った時のおはなし。
続きはまた次回に。


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