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【マイホーム購入】不動産価格って今後下がるの?(需要編)

どうも、ミニマリストオタクFPです。

当方、不動産ファイナンス(BtoB)の仕事をしており、傍らで個人のFP相談に乗る活動をしています。
今回は、よく質問をいただく「マイホーム購入検討中だけど、不動産価格は待ったら下がるのか?」について持論を展開したいと思います。
※マイホーム購入検討者向け・実需の話です。


結論:わからない

地域と物件属性によるので一般化はできないし、マーケットの未来は誰にもわかりません(いきなり身も蓋もない笑)

しかしながら、マイホーム購入の意思決定(いつ、どこで、どんな住宅を)のための判断材料として、不動産価格が動く要因については知識があった方が良いのではと考えております。

不動産価格の決まり方

近代経済学において、価格を決めるのは需要と供給であることはご存じの通りかと思います。
不動産の価格も同じ考え方ができて、そのエリアに住みたい人が多い(=需要が多く)一方で売りに出ている物件が少ない(=供給が少ない)場合は価格は高くなるし、逆に住みたい人がいない場合はいくら価格を下げても売れなかったりします(いわゆる負動産)。
そして不動産が他の商品と大きく異なるのは、一つとして同じ物件はないということです。エリアが同じでも隣の家は違う商品だし、同じマンションでも201号室と1201号室は違う商品です。なので、”〇〇マンション201号室”を売りに出す場合、その部屋が欲しい!という人が存在しないと取引は成立しません。〇〇マンションの高層階なら欲しいけど2階は違うな・・という人もいるかもしれませんし、高層階より価格が抑えられるなら良いと考える人もいるかもしれません。
要するに実需の不動産価格は個別性が強く、一般化しにくいのです。

需要予測をしてみる

それでは「未来のことはわかりません、以上(完)」となってしまうのですが、購入検討しているエリアの不動産の価格が下がるかについては、地域人口の予測が参考になると思います。

国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口より

日本は少子高齢化が進み、人口が減り、空き家も増える、というのは全体感ではその通りなのですが、地域によって濃淡があります。

国立社会保障・人口問題研究所というところが地域別の将来推計人口をまとめています。Excelデータもあったので2020年実績値から2050年の予測値の変化率を出してみました。
現状維持もしくは人口増が予測される地域については、不動産需要についても継続的にあり、相場は待っても下がらないと思われます。日本全体で1億2,600万人→1億500万人へ17%減する想定の中、自治体として人口増になるエリアは強いですね。

『日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)』より作成

一方こちらに出ていない人口マイナス予測の自治体は、長期的に見て不動産価格が下がる可能性があると思います。
これをどう見るかは個人の趣味です。人口増が望めそうなエリアに購入して流動性を確保するのか、永住前提だから人口減エリアで価格が下がってから買うのか、など、考え方は様々です。

不動産市況DI調査

価格動向はエリアによって濃淡があるという話ですが、各県の鑑定士協会が発表している不動産市況DI調査も参考になります。
私は不動産関係者のフリーコメントを興味深くウォッチしています。エリア・物件タイプについての現況や見通しが大変勉強になります。

参考:第18回 福岡県不動産市況DI調査概要版(令和6年2月)より

国土交通省の土地総合情報システム

また、エリア毎の取引実績を国交省のシステムで検索できます。
時期・種類(土地・土地建物・マンション)・地域(市町村以下の地区まで)で、物件の概要や価格が調べられるという有難いシステムになっています。
マイホームが欲しいと思っているエリアで調べてみると、相場観は何となく見れると思いますし、取引件数が多ければ流動性が高いエリアと判断することもできます。

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検索結果(例)

その他の要因は金融ショックや天災など

あとは、リーマンショックや東日本大震災のような、誰も予想していなかったイベントが起これば市況の潮目が変わる可能性は大いにあります。
しかしながら、いつどこでなにが起こるかを予想するというのは難しく、マイホームを買いたいと思っている期間内に起こるかもわかりません。これを織り込むのは個人的にはお勧めできません。

おわりに

というわけで、需要サイドから見る価格動向については、エリアによるところが大きいというのが結論です。

マイホームをご検討中の方々におかれましては、まず購入検討エリアの人口予測や不動産市況がどうなっているのかを調べていただくことをお勧めしたいです(ある程度前提知識を持っていないと、悪徳不動産屋にカモにされる可能性があります)

「少子高齢化で空き家が増える!不動産価格も下がるからマイホームは買わない方がいい!」のような雑な論調をたまに見かけるのですが、自分が相談を受けた場合は「そんな単純な話じゃないよ」という話をしています。

↓(続き)供給面から見てしばらく下がらなさそうという話


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