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怖くないと言うクライマーが1番怖いという話

必要な恐怖と不必要な恐怖

岩が欠けそうな脆い岩場で、ホールドが持ちやすいからと言って中間支点もあまり取らずにぐいぐいホールドを引っ張りながら登ってしまうクライマー。大きな岩の真下でヘルメットもせず、岩に背中を向けて座り込んで昼食を食べ始めてしまうクライマーは、必要な恐怖を感じ取れていないことになります。

簡単なスラブでそれほどランナウトしていない場面で、足が震えだしてしまい登っていくことができない。トップロープクライミングで体が萎縮してしまい動けなくなる、などの場合は不必要な恐怖を感じているといえます。

前者の場合は危険に対する想像力が足りないので、普段から危険に対する想像力や嗅覚を磨いたほうが良いでしょう。逆に後者はそこまで危険を感じなくても良いので、自分がどういった部分で怖さを感じるのか、しっかりと自己分析をしてから、不必要な恐怖を減らしていくと良いです。

スラブで足が震え出してしまう人の原因は、足を使った登り方が分からない、どう落ちれば良いのか分からない、の2点です。足を使った登り方と、出来れば低い場所で落ちる練習を行うと良いでしょう。

トップロープが怖いと言う人は、クライミングギアへの信頼、ビレイヤーへの信頼が足りないので、その部分に練習の目的を絞ると良いです。

日々クライミングギアの知識を増やしていくと、知識の蓄積によって少しずつ恐怖は減っていきます。ビレイの仕組みを学習すると共に、自分でもビレイを経験してみると理解が深まり余分な恐怖は減っていきます。


想像力は無事に帰るための力

山から無事に帰るためには想像力が重要です。自分の置かれている状況、自分の行っている事がどういった結果をもたらすのか、その状況に陥る前に、その行動を起こす前に知る必要があります。

何も考えずに行動していると想像力を働かせることができないので、危険のサインを見落とすことになります。そして普段から考えて想像する癖をつけておかないと、実際に悪い状況になった時に対処できません。

クライミング経験の長い人でも、想像力が乏しい人はこの辺のリスクマネジメントができていないこともあります。明らかに危ないことをしていながら「怖くない」などと言っていたら要注意です。

「経験値=安全」と言う解釈は間違いです。

自分の身を守るのは自分しかいません。必要な恐怖を持ちながら常に想像力をはたらかせながらクライミングを行いましょう。

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