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執着する夜

こんばんは。今日もお疲れ様でした。

彼は私の理想的な外見をしていました。塩顔にお髭、お洒落すぎないけど清潔感のある服装。さらに、彼は聞き取りやすい声を持っていました。

彼は口を開いても理想的でした。分かりやすい話し方で、少し意地悪なことを耳の側で囁かれると、声が出なくなり、彼の目を見られなくなりました。身体中の力が抜けて、フワフワします。おかしくならないように、クッションを握り、唇をギュッと口の中に巻き込みました。

彼はそんなに優しくありません。私がおかしくなるのを笑いながら見ていて、緩めてくれることはありません。

彼より優しく体を触って、フワフワとした気持ちにさせてくれる人は、他にいます。彼らの方が、彼の何十倍も私を大事に扱ってくれることを私は知っています。

でも、私は彼に執着しています。彼に代わる人は、まだ見つける事ができないのです。帰宅して、彼のことばかり考えます。彼はもう私のことなど何とも思っていないと知っているのに、体を熱くするのです。

外見とはずるいです。彼が私の目も耳も奪ってくれるなら、きっとこんなことはないのにと思いながら、それを許してくれない彼に執着するのです。

今夜も彼は連絡をくれないでしょう。でも、厄介なことに、それが変わればきっと彼も他の人と同じになるのです。おやすみなさい。

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