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夜がどうなるかは運次第

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

彼に会ったのはマッチングアプリを始めたばかりの頃でした。都内を車で駆け回りコンサルの仕事をしていると言いました。その日、約束の時間に彼は来ませんでした。彼は、メッセージで間に合わない謝罪をしながら、車が止めやすい場所に来るよう指定をしてきました。

彼の指定場所に行くと、ドアを開けてくれました。彼は言いました。「アプリと一緒だね」。彼曰く、アプリで会う女性の半分は写真よりふくよかな方が多いと言います。自分のターゲットの範囲に入らない女性は、車のドアは開けるけど、そのままお茶をして帰るようにしていると言いました。

私たちは、車が停められるそのホテルに行きました。部屋に入って、緊張してきた私は彼にビールをねだりました。彼はおかしそうに、冷蔵庫から冷えたビールを取り出してくれました。

まったりと話をして、このまま帰ってもいいかもと思い始めた頃、彼の声が耳に触れました。気づけば、彼の手も唇も私の体に触れていました。驚いた私は、ビールを落としました。

彼とそのまま言葉になった声も交わさず、体に触れ合って何時間も過ごすと、時間が経つのはあっという間でした。さっきまで、ろくに顔も知らなかったくせに、私たちの間に境はありませんでした。

彼は帰りも車で送ってくれました。外は夜の匂いがしました。彼がドアを閉めて走って行くと、もう私たちは会うことがないのだとわかりました。その時、このアプリとはそういうものだと思いました。

彼は今夜も車を走らせて、自分のターゲットの女性を探しているのでしょう。お茶に行くか、ホテルに行くかは運次第。今夜彼はどこで眠っているのでしょう?おやすみなさい。

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