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HSS型HSP的転職活動日記vol.5(そうだラグビーワールドカップ2023フランス大会に行こう)

※※※転職活動の一環(?)で、HSS型HSPを発動して急遽フランスまで行ってみた話です。純粋なラグビー観戦旅行記として読むとめちゃつまらない内容でお送りします。※※※

<前回までのあらすじ>
 はじめての転職から一年半、愚痴ばかりこぼす自称HSS型HSPの田中ボタン独身36歳は友人の言葉をきっかけにはじめた2度目の転職活動開始から約2ヶ月で早くも行き詰まった。この状況を打破するべく田中は立ち上がる。田中は、わけもわからず田中の頭の中身を取り出して整理する思考ループ脱出作業を開始した。しかし思考ループを脱出しようとすればするほど、蟻地獄のように、再度自分の思考に溺れてしまうのであった。この局面から脱出する手立ては何かないものか。

<やったこと>

 「そうだ、ラグビーワールドカップフランス大会へ行こう」作戦

 8月上旬にひとり合宿を開いて自分の思考を書き出して言語化図式化を試みたけれど、思考というのはどんどん湧き出て諸行無常のものなので終わりがなかった。当時の私が深層心理で導き出した仮説は、今振り返れば次のようなことだったのだろう。

・自分の思考にとことんフォーカスしたけれど、安心するための作業になっている。何か0を1にするための大事な要素が欠けているのでは
・思考の言語化は最低ライン本当は済んでいて、あとは勇気振り絞ってチャレンジするかしないか決断するだけなんじゃないか
・衝動的にガツンと決めてトランス状態で実行する際の脳の筋肉の使い方を思い出せば、その勢いを使ってやるべき決断と行動に移せるのではないか
・こういう時こそHSS型HSPに備わる、刺激をほしがる癖を活用したらいいのではないか

 そんな私は4年前、ラグビーワールドカップ2019日本大会の中盤に衝撃的にラグビーに出会ったいわゆるにわかファンだ。この4年、にわかファンなりにまったくのラグビー無知状態から草ラグビーチームのマネージャーに就任してみたり、国内リーグの試合観戦へ赴き推し選手を追いかけたり、フランス大会のことも数ヶ月前からカウントダウンをしながら待っていた。今年の春に向こう1年分の有給休暇の登録を要請された際には、念のためラグビーワールドカップイングランド対日本戦の日程をカバーできるように少しばかりの有給登録もしていたが、本気でフランスへ行こうなどとはみじんも考えていなかった。
 フランスに行くつもりがなかった理由は2つ。1つめは、各種予約作業やそれらの組み立てに頭が割れるほどの苦痛を感じるので国内旅行に出かけることすら腰が重いし、帰省も諦めるほど。2つめは、精神的にスタジアムに足を運べなかったから。ある時期まではシーズン中は毎週末欠かさずスタジアムに行くほどのめりこんでいた。しかしラグビー選手たちの日々のたゆまぬ努力やまっすぐ目標を見据える姿を見れば見るほど、自分は何も努力せずのうのうと過ごしてることに焦りを覚えていった。だからここ1-2年はずっとラグビーのことを忘れていなかったが、堂々とスタジアムに行けるようになるために自分のことをがんばろうとしており、結果的に年に1回スタジアムに行けるか行けないかくらいになっていた。
 そんなこんなで、わたしがひとり海外旅行のしかもラグビーワールドカップ観戦になんて本当に行けたらウケる、行ったら周りもほぼ全員驚く事態、行くわけないけど念のため精神だった。お盆頃までは。
 8月にひとり合宿を終えて思考の整理がつかない永遠の沼からどうにか脱出したいと思った時、私の中にはもうこれしか次の手を思いつかなかった。

 「そうだ、ラグビーワールドカップフランス大会へ行こう」
 「もしひとりでフランス大会に行って帰ってこれたとしたら?」

 多くの人にとってはたかだかお気楽な旅行と思われるかもしれないが、その日から、私にとっては腹をくくって限界を何個も突破しなければ到達できない目標となった。

 フランス行きの準備を決めてからは、楽しみよりも不安だらけで1日に何度も怖くて涙を流すような心境だった。実際に泣いた日もあった。「誰がひとりでフランスの、しかもラグビーワールドカップに行こうなて言い出したんだよぉおおおおおお」と本気で口にした日もあった。出発前にワールドカップの開幕戦を日本の自宅でのんびり見た日なんかは、家で見た方が安全安心なんだからもう全部やめようかと本気で思ったりもした。めちゃくちゃな毎日だった。フランス航空管制官によるストライキ予告が私の搭乗予定と重なることが判明した時は、乗り継ぎのための異国の地で夜に宿無しでひとりで取り残される恐怖に出国前から心臓が縮み上がり、たくさんのことを調べた。ごはんも寝る時間も部屋もぐちゃぐちゃになりながら、ただ一つの大きな目標のために毎日「今日できることは限界までやった…」と思いながら眠りについた。幸いにも私の搭乗予定と重なるストライキの予告は直前に撤回されたが、もし実行されていたら日本から13時間のフライトの直後、ドイツ〜フランス8時間耐久ほぼノンストップ格安夜行バスに乗り換える旅を経験していただだろう。脳内ではバックパックを抱きしめて知らんドイツ人おじさんの隣で長距離バスに揺られたし、夜行バスの車窓から見るフランスの朝焼けまでありありと思い描くほどだった。その他には、ミラノに一泊して宿の陽気なご主人(妄想)ご自慢のイタリア料理をいただき、長時間鉄道旅からフランス入りをする作戦もあった。

松田選手のペナルティキック@イングランドVS日本戦
3階席最上段より3万人の観客と共に@RWC2023France,Nice

 それでも、ちゃんと行って、ちゃんと観て、ちゃんと帰ってこれた。

 試合の前半は泣きながら観た。推しが日本代表に返り咲き、めちゃくちゃ楽しそうにラグビーしているのが嬉しかったのか、ここまで来れたという気持ちだったのかなんなのか全くわからない涙だった。

 いろんな人に助けてもらったから、ひとりじゃないんだけど、ひとりでできたもん。

<やってみてわかったこと・改めて思ったこと>

試合終了後、心身ともにやりきった抜け殻の田中


・恐怖に縮み上がったりドキドキして心臓が口から飛び出そうな思いを何度したとて、実際に心臓が飛び出して死んだりすることはない。もとのキャパが小さかったとしても、そこを乗り越えれば自分の限界を広げることができる。
・異国の地でクレジットカードを落としたり少額の電車の切符を騙し取られた疑惑もあったけど、大きな目標がまさに達成されようとする状況においては取るに足らない想定内の旅のスパイス程度の出来事になる
・これを成し遂げるぞという目標を持っていたからまだよかったものの、目標を持たない状態の私はただのポンコツ野郎である。
・何をするにしても心に余裕がなく私は本当に周りが見えていない。もし余裕があって周りのことが見えていたならばもっと豊かな時間があっただろう。
・備えすぎて精神的にも実体的にも荷物が多い。その多い荷物をさばくことに足元をすくわれて、いざという時の機動力に欠ける。
・「ドイツからひとりで長距離夜行バスに乗るよりは怖くない」「だいじょうぶ、ここは日本だ」「国際線の飛行機にひとりきりで乗り遅れるよりマシ」「海外旅行の手配よりイージー」「フランス帰りだぞ私は」と思えば、私がこれまで怯えていた日常生活の多くの些細なことが平気になる。
・1ヶ月前はあんなに怖かったけど、あの瞬間にフランス行きを決めたという明確な瞬間なんてなかった。気がついたら「フランスに行く人」になりきっていた。目標達成までのやることを小さく分解して、それをこなす時に「ここまでは安心してできる」ゾーンから一歩だけ先にはみ出すように動いていくと自分をだましながら限界を超えられた。
・向こう4年間、私自身も「ラグビー日本代表を勝ち取りに行くぞ」ぐらいの気持ちで過ごさなければ、次回のワールドカップ観戦には行けない気がする。

<次にやること>
・断捨離(物理的なもの、思考も)
・ラグビーワールドカップ2027オーストラリア大会の日本代表を目指して日々努力を続ける選手たちにも胸を張れるぐらい、次の4年分の自分の目標をガツンと決めて実行にかける(代表とりに行くマインド)

出陣する田中

〜つづく〜

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