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ミツバチのはなし


子供が眠った後に、そのまま寝落ちたい気持ちを堪えて起きると、ほんの少しだけ、おひとり様時間を満喫できる。
お気に入りの音楽を流しながら、本を読んだり、日記を書いたり、勉強や考え事をしたり、こうして文字を打つ時間がとてもとても尊い。
私は、この数時間の有り難みをまだ誰かと共有したことがない。
きっとこの先分かち合うことも、ないだろう。

本の紹介

ミツバチのはなし
ピョトル・ソハ 絵
ヴォイチェフ・グライコフスキ 文
武井 摩利 訳
原野健一 日本語監修
2018年7月31日 発行

大型サイズの絵本にミツバチの生態、蜂蜜の歴史などが細かく描かれています。なるほど、と思うような豆知識や雑学っぽいトピックもあったりして全部が興味深い。
例えば、この絵本の話によると、地球上にはミツバチの巣がどこにあるのか教えてくれる鳥がいるらしい。彼らと人間は長年協力関係にあって、今日でもその関係性は崩れてないとか。
そういう事実を知ると、人間もまだまだ地球から拒絶されてないんだな、なんて前向きに感じてしまう。

イラストは、カラフルな色使いでダイナミックにミツバチが絵本いっぱいに飛び回っていて、アニメチックでありながら毒針の形態とか足や羽の構造などがリアルに描かれていてじっと見入ってしまいます。
ページの下の方に添えられた小さな文字が詳細な説明を加えてくれています。

感想

ミツバチは人間社会とは違う、超合理的な生存戦略の下で生きているようです。ハニカム構造も、蜜蝋を効率的に使って丈夫な巣にするための作り。
人間社会にも模倣され今日でも取り入れられてるんだから、すごい。
無駄が何一つなく、シンプルで、洗練されている。
自然に対する畏怖の念を抱かずにはいられないですね笑

卵をひたすら産卵する女王蜂さん
女王蜂と交尾のために生かされている雄蜂さん
働きバチさん
働きバチになる幼虫と女王候補の幼虫さん
みんな違ってみんな良い、じゃないけどそれぞれの役割を全うしてるところに畏敬の気持ちを持ちます。
雄蜂には針もなく働く能もなく、あるのは生殖機能だけ。それも交尾が終われば弱って死んでしまうらしい。
交尾ができなくて巣に戻った雄蜂は、秋を過ぎると追い出されて野垂れ死ぬとか。世知辛いな。。
そして女王蜂の針は外敵を刺すためではなく、他の女王候補を殺して女王として君臨するための毒針だそうです。
ミツバチ先輩、すごい・・・感情、ってないんだろうな。虫の社会って殺伐としているっていうか、シビアだ。

切ない事実ですが働きバチは毒針と一体化しているので、一度刺すと死んでしまう体の作りになっているらしいです。
命を顧みず、種の存続のために自分の役割を全うするのですね。
何故、毒針を何度も刺せるように進化しなかったのかは疑問が残りますが。
何でもスズメバチは、彼らとは異なるらしく、1度と言わず何度でも刺せるらしい。。
体格差も強さも一対一だと敵わない天敵ですが、ミツバチは熱殺蜂球という
必殺技を持っています。
ミツバチとスズメバチの間にある耐熱性を利用した攻撃らしいですが、おしくらまんじゅうの原理のように身を寄せ合ってスズメバチを包み込んで熱で殺すらしい。ミツバチすごい…
他にも目から鱗であるミツバチの生態が色々書かれていて、読んでいて感心させられます。

文字が細かくて、とても読み聞かせはできそうにないですが、いつか子供に紹介してあげたい絵本の一つになりました。

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