嫌いになれない、夏のこと。
夏は暑い。
それにここ数年で異様な暑さになって、外に出るのが危険なまでになってしまった。
生まれた時から夏がこんなにも暑い娘はきっと夏なんて好きにならないだろう。
でも、私は夏のことを嫌いにはなれない。
今日午前に買い物のため家の外に出たら思いの外柔らかい暑さに包まれて、そんなことを思った。
夏にしかない空気がある。風情がある。
思い出もある。
子どもの頃の夏休みの記憶。
うちの家族は遠方の祖父と祖母の家に行くくらいしかイベントはなかったけど、それでも夏の思い出としてしっかり刻まれている。
お墓参りに、みんなでした花火。
今は大の苦手だけれど、蝉の抜け殻を集めたりもした。
高校生、大学生、社会人になってからも。
花火に夏合宿に、まだ見ぬ友人に会うために訪れた初めての九州旅行。
悩める仲間たちと夜の港を訪れて徘徊したりしたこともあった。
全部ぜんぶ、夏に詰まってる。
だからこの先夏がどうなってしまっても、
たとえ花火大会や夏の高校野球が5月になって、今生まれた子たちにとってはそれらが春の風物詩になったとしても、
昔の暑さとこれからの暑さが全く別物でも、
今日みたいにどこか懐かしい柔らかい暑さを感じられる瞬間があったなら、
これからもその空気が昔を思い出させて私を夏を嫌いにはさせないんだろう。
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