食べ塾114:値上げメニューの失敗例の現場報告!
これ以上食品の値上げやガソリンや光熱費などの値上げが続いたら、
生活費の帳尻合わせは、「外食費の切り詰め」に行き着きます。
コロナ過~食材高騰~売上の減少とつながると予測しています。
どうしたら自分のお店が生き残れるのかを考えて、決めて、実行した
お店しか生き残れない ということは火を見るより明らかなことです
今まさに溺れている自分がいるのに、手足をバタバタ動かさないで
どうして生き延びることができるでしょうか?
いま、飲食店はそういう状況にあります。
今年4月~7月にかけての飲食店の動きでメニュー切り替えたお店の
見聞きした失敗例を参考にお知らせします。
■時期を考慮していなかった例:
コロナ感染拡大期にメニュー切り替えをした
通常は、繁忙月に新メニューに切り替えます。
まして今回は、4月の食材値上げを受けての「値上げメニュー」です。
値上メニューであればあるほど、切り替え時期を見定めて、
外食需要上昇期の入り口で値上げ新メニューを投入する
ことが必要です。
決して、新メニューが出来上がったから、すぐに投入しないと
値上げ分を取り返せない と考えたら失敗します
理由は、
コロナ禍の広がりで来店客数が減少して売上が低下する からです。
お店から見ても、お客様から見ても、メニューが変わったら、売上が落ちた
景色になるからです。
■お客様の期待に応えていない例:
値上げメニューに新メニューがなく、
ただの値上げ告知メニューになっていた
新しく切り替わったメニューをお客様が開く時に、
考えること、思うことがあります。
●どんな新メニューがあるか?
●売れ筋のメニューの価格がどうなったか?いくら値上がりしたか?
●自分の好きなメニューが引き続きあるか?なくなったのか?
などです。
お客様にとって、
メニュー価格の値上がりがマイナス効果なら、
新メニューの登場は、
今度これを食べてみようというプラス効果なのです
だから、
新メニューがひとつもない値上げ価格のメニューは、
実に100%近く失敗しやすいメニューのあり方になります
■価格抑制するために商品力を犠牲にした例:
値上げしたトンカツが以前より薄くなっていた
きっとこのお店の経営者の方は、どういう風に調整するか迷ったと思います。そして、その挙句に、お店の都合だけを優先させてしまいました。
(当初の提案)
どのみち1,000円超えのトンカツメニューはすべてもっと値上げしなければ
利益率の悪いメニューになります。
よって、とんかつの商品力はそのままにして、
輸入豚のロース➡銘柄豚または黒豚のロースに替えましょう!を提案。
(お店のとった方法)
恐らく食材原価率37%くらいを目安に、売価を検討したと思います。
・輸入豚ロース➡国産の白豚に変更 表示を国産豚に変えた
・グラム数➡明らかに以前より20g分は薄くなっていた
(私の印象)
輸入豚から国産豚に変えて、食の安全性や美味しさからすると、改善方向になった点は、評価に値する。
しかし、
ある程度品質の良い輸入豚と国産白豚の違いが、食べて明確にわかる
お客様は何人いるだろうか?と思います。
それで、事前に「食べたら違いがすぐ分かる良質の豚ロース」をすすめて
いたのです。
美味しさの違いが分かりにくく、厚さが薄くなったトンカツで、しかも
以前よりは200円前後価格が上がったこのトンカツは、難しい商品に
変ったなと思った次第です。
結果を見てからの、再度の修正が必要になるかもしれません。
また時間とともに、国産豚でこの価格ならと今後定着するかもしれません。
■ローカル立地なのに値上げしすぎた例:
お客様がついてこれない価格は鬼門です
これからの焼肉屋さんは、中高級食肉の値上げ価格のメニューだけでは、
焼肉客を引き付けておくことはできなくなると見ています。
少なくとも、自分のお店の常連客の方が、焼肉1品で2500円が上限とか、
3,000円までが上限とかが、今後ますます明確になってくると思います。
そうなると、
新たな焼肉商材の開発や、肉や野菜や麺飯類の新メニュー開発に
力を入れて、来店客増対策を強化する必要が出てくる
と思います。
コロナ期でも活況を呈した焼肉屋さんでも微妙に変化しています。
①客数減
コロナ感染者数の過去最高値を受けて、小さな子供さんのいる
ヤングファミリー系や高齢者カップルなどの利用が減少しました。
②平均客単価減
若年層中心に、値上がりしたメニューが増えた分だけ、オーダーする
品数が減少してきて、予算コントロール感が強くなっていると感じます。
③重装備出店から軽装備出店への切替え
私の知るある焼肉屋さんでは、コロナ前の時期に複数出店したテナント
物件の出店でも、1店舗で1億5,000万円以上かかる重装備店の出店から、
1店舗6,000万円~7,000万円クラスの軽装備の出店にシフトしています。
売上高は重装備店の半分近くのようですから、投資効率が良くなる
計算ですね。
売上げ高よりも、投資額を抑えて利益額を追求する店舗へ切替える
ことがすすんでいるように思います。
■微細な10円、20円の値上げでは値上げした効果
が出ない例:リスクが大きく実利は小さい
こういう自信が乏しい値上げの方法は、百害あって1利なしです。
ここの麺類のお店は、小麦粉が上がるから、1メニューで10円又は20円の
値上げでいいということで実施されたようです。
しかし、
食材原価率が仮に35%のお店で計算すると、
10円×(Ⅰ-35%)=6.5円
20円×(Ⅰ-35%)=13円
わずかこれくらいの利益増になる計算です。
食材費や人件費、光熱費等の値上がりを考えると、6か月先にも
再値上げが必要になるかもしれません。
反面、
お客様から見れば、
10円値上げでも、20円値上げでも、倍の40円値上げでも
同じ値上げの印象です。
値上げメニューの投入は、
できるだけ1年に1回だけ にしておきたいものです
今回の投稿は、値上げ対策のひとつのヒントになるように
考えました。
まさに経営者の方の力量が100%試される令和の時代です
上り調子の時だけマスコミに煽られたいきなりステーキさんは
反面可哀そうに思います
(了)
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします