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【読書】『私のカレーを食べてください』

本日紹介する本は、著・幸村しゅう『私のカレーを食べてください』

あらすじ

幼い頃に両親が離婚し、育ててくれた祖母も失踪してしまい天涯孤独となった山崎成美(やまざき なるみ)の運命を変えたのは先生が作ってくれた一杯のカレーライスだった。
思い出のカレーを目指すべく調理学校へ進学した成美。試行錯誤の日々を過ごしていると「麝香猫」(じゃこうねこ)にたどり着く。
成美はカレーへの並々ならぬ情熱を燃やし「麝香猫」で働き始めるが、一筋縄ではいかないアルバイト仲間に店主の怪我に入院、と前途多難。
スパイスカレーのように人生はときにピリッと辛い、でも後味爽やかな食×お仕事の物語。
第2回「日本おいしい小説大賞」受賞作!

感想

飯テロ小説、大好物なのに「日本おいしい小説大賞」の存在を知らなかったなんて・・・。私としたことが。
と、反省しつつ読み進めていくとおいしそうなカレーがたくさんでてきて、あっという間にカレー食べたいモードに投入しました笑
両親の離婚、祖母の失踪、施設での生活。主人公が数々の困難を乗り越えていく原動力となっていたのがカレーであり、「麝香猫」でした。
しかし、「麝香猫」で働く楽しさがあれば辛いこともある。人間関係にお店の経営。様々なトラブルが発生し、一筋縄ではいかない。
カレーへの情熱も仕事への取組みも人一倍努力している主人公に順風満帆な人生を送らせておくれよ、と思っていましたがなかなかうまくいかなくて。そんな主人公に対して弁護士「トヨエツ」が送った手厳しいエール、「被害者ヅラするな」という一言にしびれました。
そうか、人生そう簡単にうまくいかないこともあるよね、と。
辛くて、苦しくて、どうしようもないときもあるかもしれない。
そんなとき、自分の境遇や環境を恨んで、哀れんでいても仕方なくて、とにかくできることを探して、前を向けるかもしれないと信じて、ときに休みながら希望をもって生きていくしかないのだと思います。
お仕事小説でもあるので、これから新社会人となる方、今も働いている方におすすめです。

P.S.
私の思い出のカレーを一つ、あげるとしたら高校の部活仲間と食べに行ったチキンカレーです。
これまでカレーといえば、学校の給食とか家で食べるカレーとか家庭的なイメージしかなかった私にとって、はじめて口にした本格的なチキンカレーにナン。
インドのカレー=辛い、というイメージが一瞬で崩壊し、マイルドでコクのあるスパイスカレーにゴロゴロのチキン。めちゃくちゃ大きいのに軽くて、モチモチと焦げ目のサクサクがたまらないナンをつけて食べると最高においしい。食後のチャイは独特な風味だったけど、こってりしたカレーを食べた後の体内をさっぱりさせてくれる爽快感がありました。
店名も場所ももうわからないのですが・・・。とにかくおいしてくて、楽しかった思い出の一品です。みなさんの思い出のカレー、おすすめのカレー、ぜひ教えてください。

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