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16 年ぶりにポケモンを始めたら、時の流れを感じた話

土曜からポケモン剣盾を始めた。実に 16 年ぶりのポケモン本編プレイだ。

まだバッジは 3 枚。ナックルシティへの道中、ワイルドエリア内にいる。ライバル・ホップの髪型は、その名の通りホップにしか見えない。

プレイ時間は短いが、既に過去の作品と比較して数多くの変更点に驚かされている。現時点までの所感をまとめてみた。

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便利になった点

16 年も経つと、基本的な機能も大きく変わっていることに気づく。便利な点も多く、油断すると「今時のトレーナーは〜」と、昔の苦労を語る高齢トレーナーになってしまいそうだ。

手持ちとボックス間のポケモンの移動がどこでもできるようになった

これで育成の負担がかなり減ったように思える。また、秘伝わざ「そらをとぶ」で行なっていたフィールド内移動が、持ち物「そらとぶタクシー」でできるようにもなった。パーティ内に秘伝わざ要員のポケモンを入れずに済む点はよい。では「なみのり」など他の秘伝わざはどうなるのだろう。

タンマなしで突然バトルが始まることが(今のところ)ない

旧作品では、ダンジョン終盤にパーティが満身創痍状態でも、理不尽としか思えないタイミングでライバルが登場し、強制的にバトルが開始することもあった。今作では対戦開始前に準備できるよう会話の選択肢が用意されており、ポケモン回復などにあてることができる。余談だが、赤緑のライバル登場 BGM はかなり好きだった。

別の言い方をすると、主人公が会話の選択肢を選べるようになった。旧作では会話中は A ボタン連打タイムになっていたが、今作では随所で返事を選択できるようになっている。そういえば昔のポケモン主人公(特にレッド)は、寡黙すぎて作中でもネタにされていたっけ。

レポートの重要性が薄れた?

これは言い換えると、ライバルの急な襲来を恐れてこまめにレポートを書く必要がないということでもある。また、Switch というハードの特性上、そもそもレポートを書く重要性はかなり薄れているのではないか。電源をオフにせずともスリープできるのだし。必要なのはせいぜいジム戦に挑戦する前くらいか。便利ではあるが、PC 作業中などに「こまめに保存」することの重要性をレポート機能から学んだ世代としてはやや寂しい。

ポケモン世界に Amazon があったら

残された不便な点と言えば、フレンドリーショップやお店に出向かないとアイテムが購入できない点くらいではないか。今後、ポケモン世界に EC が登場したりして、ドローン配送的にポケモンが運んできてくれたりしたら完璧だ。もちろんジム内やチャンピオンロードとかは除いて考えるとしよう。そういう機能ができたら、消耗品(体力回復、状態異常対策アイテム)を調達して持ち運ぶ必要はなくなるだろう。身軽になったトレーナー。しかしそれは RPG の大事な要素を捨てている気がする。

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モンハン化?

今作では野生のポケモンはフィールド内を移動している。なんなら見つからないように息を潜めて行動することも可能になった。フィールド内をポケモンが彷徨う光景は、かなりモンハン感(思い浮かべているのは 2nd G なのでかなり前だが)がある。また、ダンジョン内に設置できるキャンプでは料理(カレー)を作ることもできる。調理はスティック操作で行う。この調理過程にもなんだか既視感がある。楽しいことに変わりはないのだが。

敵キャラのマイルド感

シリーズでおなじみの敵キャラの集団。今回の敵キャラだと思われるエール団は、今の所は単なる迷惑者集団にしか見えない。見た目はいかついが、中身はだいぶマイルド。いわく、ジムチャレンジ(要するに旧作品でのジム巡り)に参加しているあるキャラを応援しているだけ、らしい。旧作品のように営利目的だったり、狂信者集団だったりの、ざっくり言って社会悪のような連中とは異なるように見える。ここから豹変するのかもしれないが。

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経験値システムの変更

いつから導入されたのかわからないが、ポケモン捕獲でも経験値を稼げること、かつ実際のバトルに出ていないポケモンも貰えるのには驚いた。パーティ内のレベル差が少なくなり、いい仕組みだと思う。実戦に出すには弱すぎるが、育成してみたいポケモンが育てやすくなったのも嬉しい。

自分の場合、過去作品では、御三家をパーティ先頭に設置し、あとは野生・トレーナー問わずそのとき一番威力の強いわざを連打する...という戦略性皆無プレイを続けていた。結果として御三家が一番強くなり、他のポケモンは成長しないままという状態が続いていたが、このシステムならパーティのレベルを揃えられてよい。結果、色々なポケモンを使う余裕ができている。

モブキャラのメッセージ性

かつてのポケモンといえば、モブキャラから制作側の遊び心、悪ノリが透けて見えることが多かった。ゲーム内にゲームフリークのオフィスがあって、その中にキャラクター愛をメタ的に語るキャラがいたり、金の玉発言を繰り返すキャラがいたり。今作では、どちらかというともう少し教育的なセリフを繰り返すキャラが多いように見える。個人的には、若者は老人の発言を気にせず好きにやれ...と伝えるエンジンシティのキャラのセリフが好きだ。

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ポケモンの思い出**

ここからは、筆者のポケモンの思い出を記す。

初めて遊んだポケモン作品はルビーだった。発売日の 11 月から年をまたいで 3 学期終了まで、クラス内でポケモンの話題が出ない日はなかったように思う。大人になった今でこそ、全員が同じ話題をする空間など息苦しく思えるが、当時は毎日毎日飽きもせず家でプレイしては、学校で情報を共有することが楽しかった。さらに情報交換では飽き足らず、小学校のすぐ脇にあった教会に放課後集合して、交換や通信対戦をした記憶がある。

図鑑を揃えるためにはポケモン交換が必要で、交換するには直接顔を合わせないといけない。その点は昨今のスマホゲームとの大きな違いだろう。今はどうかわからないが、当時ポケモンは集まって騒がしくやるものだった。今ではインターネット経由で対戦などもできるようだが、どうなら月額課金制の会員サービスに登録する必要があるらしい。多くの子どもたちは未だに直接顔を合わせる必要があるのではないか。そうであることを何となく祈る。

今でも覚えているのは、ホウエン地方のポケモン図鑑をコンプリートしたときのことだ。残る一匹はヒンバスというホネホネとした見た目のポケモン。これがどうしても釣れず、持っている友人に交換してくれるよう頼み込んだ。交換するとお前の図鑑が完成してしまうから、と渋られて憤慨し、別の友人に愚痴ったのを覚えている。結局、完全に交換するのではなく、また送り返すことで図鑑データだけ貰い、なんとか揃えられたのだった。

ルビー・サファイアのトレーナーカードは、ゲーム内での実績(殿堂入りや、図鑑の完成など)が解除されると色が変わった。図鑑の完成により、カッパーカード(二つ星)になったときの喜びは今でも覚えている。多くの友だちは、殿堂入りのみのブロンズカード(一つ星)だったので、図鑑完成も込みのカッパーカードは、言うなればちょっとしたステータスだった。

ルビー・サファイアには、コンテストやバトルタワーなど、他にもやり込み要素がある。だが図鑑の完成により、全てをやり尽くした気になったのを覚えている。そして、ほどなくしてセーブデータを消した。理由は単純で、また一からゲームを始めたかったからだ。

友人たちには散々呆れられたが、当時は今よりも純粋で、達成したステータスをひけらかすことよりも、プレイ体験の楽しさを重視していたのではないかと思う。何もデータを消去しなくても、とも思うが、この世界をゼロからもう一度廻りたいという思いはそれほど強かったのだろう。ポケモン世界で旅する体験は、自分にとってそれくらい鮮烈だった。

あれから 16 年近くが経った。同級生の一部は、現実世界で別のカードの色を変えようとしている。トレーナーカードよりももっとステータスと紐づいたカードだ。だが不思議とそちらの方にはとんと興味がわかない。それがなんだか皮肉に思える。

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