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創作講談〜地元ネタ

おにぎりの話作ったの

講談「まちの駅やながわ
           肉ゴロッとおにぎりの大快挙」

2018年4月26日
まちの駅やながわは、
この梁川町に華々しくオープンいたしました。

まちの駅は、既存の建物、
店舗、直売所などで、
無料で休憩でき、トイレの利用ができ、
街の案内ができる人がいる
いわば町歩きの拠点。

伊達市にも、いくつか
まちの駅はあるのです。

例えば、旧伊達町の
まちの駅まちづくり伊達は
布団屋の建物の再利用してできました。
保原駅の中の観光物産交流協会も
まちの駅になっています。
あぶ急の駅だけでは
飽き足らなかったんでしょうか。

伊達市には、
現在、紹介されているだけでも
13のまちの駅があります。

1998年3月に長野、山梨、静岡の10市町村で
連携センター実験をしたのを始まりに
日本全国津々浦々、さまざまな
まちの駅が誕生し、
伊達市でも、そのネットワークが生まれた
ということだそうでございます。

こちらの まちの駅やながわは、
昔ながらの木の小屋組に漆喰壁、
ガラス壁に金属屋根を組み合わせて
近代的な蔵のイメージで
新しく建てられました。

トイレ、休憩所はもちろん、
農産物の直売所、名産品、駄菓子などの販売
そして、食堂までもあるのです。

食堂の人気メニューは、
ゴロゴロ肉うどん。
コシの強いうどんに
伊達鶏もも肉をのせたうどん。
少々甘めの味付けです。

調理していますのは
伊達物産 
伊達鶏の専門店。

お食事処で
食事を提供していたのは 
その社長

このゴロゴロ肉うどん、
もっと気軽に楽しめる方法はないかと考えた。

こちらの社長は、
伊達市の市長と一緒で現場第一主義なんで
ございましょう。

お客さんの様子を
カウンターから見ていたんですね。

そのころ、
まちの駅駅長も
もっとこのまちの駅が
賑わいの拠点になる方法はないかと
考えていたのでございます。

いつの時代も食は人の中心にあり、
そして、食の傍には娯楽がある。

気軽に楽しめるもの
気軽に食べられるもの

まちの駅やながわの
お食事処が
たどり着いたのは
日本人のDNAに脈々と受け継がれる
そう!
おにぎりだったのでございます。

のちに大快挙を成し遂げる
肉ゴロッとおにぎりが誕生いたします。

販売に至るまでは、
試行錯誤がございました。

試行錯誤については時間の関係で
割愛しますが、


お米は相性の良いものをブレンドし
肉ゴロゴロうどんのつゆでたきあげます。

大きな伊達鶏のモモ肉を一緒ににぎり
おにぎりにします。

おにぎりの作り方は、
お椀にラップを敷いて肉を置き、
ご飯をよそって、
力を入れず、やわらかく握り
形を整えて完成。

包装は、
このラップに
シールを貼るだけ。

このラップが、食べるときに重宝する。
食べきれなければ、包んで持ち帰れる。
自分で何度も形を整えて食べられる。

これぞまさしくシンプルイズベスト。

と、誰かが言ったそうでございます。

一口食べてみてあれば、
ご飯は、ほろっとほどける
出汁の味が口に広がる
伊達鶏のモモ肉は、
弾力がありながらもやわらかく
つゆの味が染み込んでいる

肉ゴロッとおにぎりは
知る人ぞ知る名物になっていく。

「まちの駅やながわ、行った?まちの駅」
「え、どこそれ知らないけど」
「おにぎりがめちゃめちゃうまいんだよ
最近できたとこでさ郵便局の近くなんだよ」
「おにぎり買うならベニマル行くわ」

先に申し上げました通りに、
まだまだ、知る人ぞ知るという状態。
まちの駅やながわ自体が
まだまだ知名度が低かったのです。

町歩きの拠点
道の駅のように高速道路や、
バイパス沿いにあるんじゃあない。

駅長は、人が来る場所にしようと
イベントを開く
夏祭りを開く、
梁川ざっと昔の会のお話会を開く
コンサートを開く

イベントのたびに人が来るようになる。

お食事処にも
転機が訪れるのございます。

全国スーパーマーケット協会
お弁当お惣菜大賞2019へ
肉ゴロッとおにぎりを
エントリーしようという

しかし、肉ゴロッとおにぎり
写真審査は通るか不安だった。
全部茶色ですから。
よく言えば素朴、悪く言えば地味。

書類審査は無事通る。

実食になれば味は自信がある!
他にはない、贅沢なおにぎりであり、
価格は130円。

他のどの商品にも
負けるはずはない!

予感は的中、
大賞に輝いた。

さあ、こうなりますと
今まで見向きもしなかった
新聞、テレビが次々に取材に来る
伊達の広報誌にも載る
同時にお客も増えてくる

大きな釜を3台使い
作り続け必ず売り切れる

噂が噂を呼び、毎日お客が訪れる

「食べた?肉ゴロッとおにぎり」
「食べた、お前がいう通り美味かったよ」
「そうだろ!なあ!噂聞いたか?」
「何だい?」
「来たらしいよ、
大きなリュックに赤い傘、
タンクトップに短パン姿の男が、
カウンターで、
ぼぼぼぼ、僕はおにぎりが好きなんだな」
「嘘つけ、時代が違うじゃあねぇか」
「嘘じゃない。
その証拠にあそこには絵が飾ってある」
「あれは、蠣崎波響だ」

この話はみなさんに
通じてるんでしょうかね。


2019年の春には
肉ゴロッとおにぎりの第2弾
ハンバーグゴロッとおにぎりが
発売されました。

2周年を迎えた2019年も
おにぎり人気は止まらない。

春が過ぎて夏が来る
夏が過ぎて


10月12日、
台風19号が伊達市に上陸
伊達市内各所災害にあう
梁川町も豪雨による災害にあってします。


まちの駅やながわは
1メートルを超える床上浸水

水が引くと、
自分たちよりも市民の生活のため、
災害復興の拠点となりました。

キッチンも水に浸かり
営業はできなかったんですね。

それでも、
美味しいものを届けたい
伊達物産の社員は
唐揚げ伊達屋で
1日の販売数を限定し
肉ゴロッとおにぎりの販売を再開しました。

再開を聞きつけた伊達市商工会青年部は
SNSで宣伝する、
ふくしまFMでも、矢野真美アナウンサーが
それを知らせる。

ここにしかない
伊達の味は
梁川で途絶えることなく続いている。

一方のまちの駅
2020年に入りました今も
復旧工事は続いています。

講談というのは、
便利なもので、
この張り扇1本で、
過去へも未来へも行けるのです。

少し未来をのぞいてみましょう

2020年2月
まちの駅やながわが
再オープン。

まだ、家屋の立て直しをしている人もいる

賑やかなセレモニーはせず
記念品を配るだけの
ささやかな再オープン

果たして、
災害の前のようにお客は
来るだろうか

おにぎりも用意したが、
買ってもらえるだろうか

午前10時、
自動ドアを開ける
お客が切れ間なく入ってくる

食堂の再開も待ち望んでいたんでしょう

長蛇の列ができる

「肉ゴロッとおにぎりと
ハンバーグゴロッとおにぎり
10個ずつください」
「肉ゴロッとおにぎり10個ください」
「肉ゴロッとおにぎり5個ください」

来る人来る人、
どこに持っていくのか
おにぎりを大量買いする。

やはり、
まちの駅での販売が
本当の復活なのでしょう

再開後も
梁川町だけに限らず
伊達市内外から
人が来る。

今日も今日とて
おにぎりが飛ぶように売れる

今しも
日本一のおにぎりの復活の
噂を聞きつけてやってまいりましたのが

大きなリュックに赤い傘、
タンクトップに半ズボン
イガグリ頭の大きな男

「いっしゃいませ」
「ぼぼぼ、僕はおにぎりが好きなんだな」
「本物!」

時空を超えてまで
芦屋雁之助が扮する山下清が買いに来る

なんて話が
あるかどうかは分かりませんが

これから益々
おにぎりもシリーズを増やすことに
なっていくんでしょうか。
そこのところは伊達物産に
お任せすることにして。

さあ、この
肉ゴロッとおにぎり
まちの駅やながわ
どちらの歴史も
まだまだこれから刻まれていきます。

まちの駅やながわの
長い長いお話は
これから
この まちの駅やながわと
今日お越しの皆さん、
この街の方々で紡いでいくものです。

今日のところは
肉ゴロッとおにぎりの大快挙
読み終わりといたしまして
お後と交代でございます。

2020年1月筆 口演
まちの駅やながわ新春お楽しみ会にて


肉ゴロゴロうどん

肉ゴロっとおにぎり

まちの駅やながわ

背 景

2019年に発生した台風19号。
伊達市にも甚大な被害が出ました。

うちは遊水池がたっぷたぷだったんですが
大丈夫でした。

まちの駅やながわの
2020年新春お楽しみ会

みんなを元気にしたいと
駅長が企画。

ならば!私も!
と、講談を創作!!

当日は
伊達市長も見に来て
緊張のあまり絶句。

なんとか駆け抜けた記憶があります。

コロナ禍ではありますが、
まちの駅やながわは
街の人の憩いの場であり続けています。

#マイタウン
#実家じゃないけどふるさと


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