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2024東京大学入試問題二次試験 化学 解答解説

東京大学2024化学の解答解説です。
怪しいところがあれば教えてください。

問題はこのへんにあります。





【1】Ⅰ エステル

実験操作の意味が分かるか

実験装置については実際に実験したことがないとイメージしにくい。
起きていることは標準的だが…

「エタノール」がわかりにくい

エステル化によって生じる水を考慮する必要があるわけだが、「(混合物の)エタノール」の中にも水が含まれる。そのうえ、「水と(純物質の)エタノール」の記述もあるので非常に紛らわしい。

同位体を用いたエステル化の話は入試問題でいろいろ登場しているので見たことはあるはずだが、記述するのはなかなか大変かも。

っていうことは、今後、質量分析がらみのわけわからん話が今後も出てきそうな予感もする

【1】Ⅱ 糖類

イノシトールって何

文から推測してやっていくしかない問題が続く。イノシトールは分子模型などでいろいろ遊んでいると推測しやすい。そして、中間体の推測が問題になる…ビニルアルコールを思い出そう。

プシコースって何


そもそも、中間体のエンジオールについてもなかなか難しいわけだが、そっからどのような変化が起きるかまで考える必要がある。プシコースなんて覚えている人はいない。ヒントはちりばめられているが難しい問題だ。

【2】Ⅰ 無機、酸化還元

比較的取りやすい

このあたりでスピードと得点を稼いでおきたい。
硫化スズの色が意地悪だが難関大入試ではよくある話。

【2】Ⅱ  金属ってか金

金の錯イオンなんてわかるかよ

金がヨウ素で溶けるというのはなかなか知らない話。

テトラヨージド金(Ⅲ)酸イオンなど、知らなくていいが、欲を言えば王水に金が溶ける際の[AuCl₄]⁻あたりを知っておくとイメージしやすい。銀の錯イオンはグラフをしっかり読めればOK。
[NH₃⁺]を安易に読みに行くと危ない(対数軸なので誤差が危険かも)

文章が回りくどい

やってることはそんなに難しくない。序盤で疲れていなければここはとりたい。

【3】Ⅰ ヘンリー

気体側と溶解側をしっかり見極めて

やっていることはそんなに複雑ではないが、どの物質量を求めているかちゃんと見逃さないようにしよう。

ヘンリー定数ってなに

いきなりヘンリー定数とか言われるが、これもやってることは大したことはない。どうにかこうにか一次関数に持ち込もう、というやりかたは大学入試では定石。どっちのグラフを使うか、縦軸の切片が使えないなどの面倒くささもあるが、東大を目指してきた猛者ならクリアできたはず。

【3】Ⅱ リン酸の電離

色々電離するから考えにくい

三段階電離については練習したことがあるはずだが、とはいえあーだこーだ書いてあるのでなかなか読みにくい。後半で疲れてくるので物質量変化も、落ち着いて追いかけないとミスを誘いそう。

緩衝も定番ではあるが…

水酸化ナトリウムを加えた量も、落ち着いて計算していかないとミスりそう。やっていることはそんなに難しくはないが、記述も含めて練習しておこう。

【全体として】

構造決定がなかったが、糖類の想像力や無機の推理力などを含め読解に時間がかかる問題だった。網羅的に対策するのは難しいので、基礎はまんべんなく押さえたうえで様々な問題にあたって対応力や頭の柔らかさを身に着けていくしかない。もちろん読解・計算スピードも必要だ。