ベル

かわいそうな君のために歌を歌ってあげる
眠れない夜、満月の下で
伸びをした黒猫、あくびを噛み殺して
あなたが囁くリップヴァンウィンクル

昔の映画、
ドラマだったかな
「愛煙家は寂しがり屋だ」、って
あれ結構あたってるなって
君を見てると、
そう思う

自由を愛せ、ばかもの
俺ら野良猫
気ままに生きようぜ

孤独を受け入れろ、
自由を愛せ
そしたら最後、
いつだって敵無し
我ら孤児、故に最強
いつだって失うものなんてない
はなっから何も持っていない
この生命しか

かわいそうな君のために歌を歌ってあげる
眠れない夜、酌み交わす盃
散りゆく花
さよならは笑顔で、手を振って
あなたと幼い私
告げる決別、今日で決める集結
これで終幕、降ろせ緞帳
流れるエンディング
これがラスト、私たちの
これで終焉、
これにて落着

夢が終わっていく
打ち上げろ花火
今夜はダイエットもお休み
呑んで食って
朝まで騒ごう
祭りよ、祭り

はしゃぐ猫たち
我ら孤児、故に最高
いつだって失うものなんて

何一つ、此処には
何も無いの、はじめから

だから、もうずっと
何も無かったのよ、はじめから
はじめから、もう
何も、何も
無かった、
無かったよ
何も、
何一つ。

次の一音でお別れしましょう
たった一瞬で消え去る、喧騒
静まり返る
嘘みたいな静寂
全ては夢の中の出来事
終わりの始まり
そうして
次の始まりを告げる、
鐘が鳴る
朝が来る

伸びをした黒猫、
欠伸を噛み殺して
ひとり口ずさむ
リップヴァンウィンクル